上野特選劇場(上野特選地下劇場):職務尋問


満ち足りて、上野特選劇場から、出て来たところ、後ろから声を掛けられた。

「もしもし、今、上野特選劇場から出てこられたのですね」

振り向くと、若いおまわりさんだった。

「お手数ですが、お荷物を拝見できますか」

“え、何で”と思ったが、警察官に逆らうと、ろくなことは無い。素直に、担いでいたリュックサックを下ろした。

警察官は、リュックの中を改めて、

「これは、お宅の財布ですか?」と聞いた。

「そうですよ、落とさないように、忘れないように、リュックにワイヤで取り付けているんですよ。」

「何か、身分を証明するものは、お持ちですか?」

「免許証で良いですか」

「結構です。」

Ichiは件の財布から免許証を取り出した。

「竹田さんですね」

警察官は、免許証を見ながら無線で確認しだした。

「田んぼの”タ”、毛糸の”毛ケ”・・・・・・」

免許証が正規のものかどうかどうかを確認しているようだ。

「有難う御座いました。」

「何かあったのですか?」

「別に、今日届出があった訳ではありませんが、時々、あの映画館のお客さんから、盗まれたとか、脅かされたとかの訴えがあるのですよ」

「私も聞いています。三千円ほど盗まれたことがあります。だから、いつもは、荷物を預けて、貴重品を持たない、空身で入館するんですが、今日は急いでいたので、持ち込んでしまいました。」

「中はどんな状況ですか」

「混んでいますよ、いつものように、賑わっていますよ。どんな状況かご存知ですか?」

「聞いていますが、入館したことがないので、実感がわきません。噂は本当ですか」

そこへ、もう一人、若い警察官が通りかかり、2人の会話に聞き耳を立てだした」

「百聞は一見にしかずといいますよ、入館されたらいかがですか、s制服だとまずいですが」

「けっこう、卑猥なことが行われているというのは本当ですか」

「まあね、おチンチンを弄りあったり、しゃぶったりは、結構、行われていますよ。」

「堂々とやっているのですか」

「皆、お仲間ですから、見ているほうも、見られているほうも楽しんでいますよ。」

「竹田さんもエンジョイされて来たのですか」

「ええ、まあ」

「争いごとはどうですか?」

「聞いたことはありませんね」

「ところで、今日の職務尋問の内容は家族に知られることはありませんか」

「大丈夫ですよ」

「申し訳ありませんが、急ぐので・・・」

「お忙しい中、お手数を掛けました。」

この尋問中、何人もの熟年が特選映画劇場から出て来、職務尋問されているIchiを訝しげに見ながら、通り過ぎていった。

上野特選劇場(上野地下劇場/上野地下特選劇場)に戻る。

カテゴリー: 上野特選劇場(上野地下特選劇場) パーマリンク

上野特選劇場(上野特選地下劇場):職務尋問 への1件のフィードバック

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

以下にコメント・投稿を記入下さい。お名前は必ず記入下さい(匿名可)。メール情報(非公開)は必須ではありません。既コメントに対しては、当該コメント下部の返信をクリックし、記入下さい。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中