(上野新平シリーズ)第20話:タクシーの運転手(By源次郎)


天神の地下街を久し振りに歩いて見た。
相変わらずの雑踏で、早くどちらかの出口に向かいたかったが、なかなか先へ進めない。会社帰りのサラリーマン、買い物かウインドウショッピングの主婦、それに女子高校生など種々雑多の人民大移動にも見える。
好き勝手に右や左を歩いている。

やっと、デパートの地階へ通じる出口に来た。
一旦外に上がって空気を吸ってから、チョット先のコアビルに入っている紀伊國屋書店に行くことにした。
最近、本を読む機会が少なくなっている。
新刊本のニュースも確認したかった。

「あら、上野さんでしょう」
デパートから出て来た派手目な小母さんに声を掛けられた。
「あ、はい、こんにちは・・・」
誰だったか思い出せない。
挨拶だけ交わして通り過ぎることにした。
「久留米の笹本ですわ、もう10年になりますかしら・・・」
「はぁ・・・久留米の・・・」
10年前に会った小母さんなんて覚えてるわけ無い。
ふっと、横に立っているコロコロとした微笑んでいるお爺ちゃんに目がいった。
「あ、そうでした、庭に紫陽花が植えられてた笹本さん」
「あら、覚えてて下さったの。ありがとう。でわ・・・」
「あ、どうも・・・」
挨拶だけだったのか、そんなコトで声かけられても慌ててしまう。
雑踏の中に消えていく笹本ご夫婦を苦笑いして見送った。

ちょっと広めのホールがある。
デパートの風除室を兼ねたエキスパンション部になっている。
建物と地下街の揺れを緩衝するためのものだが、防火シャッターなども化粧で上手く隠してある。
外気も取り込んで居る様で雑踏のムンムンした熱気も、少し和らいでいるようだ。
二重に設置された自動ドアーを抜けてデパートに入る。
バタバタと一階に登るエスカレータまで歩くのも気が引けて、ショウウインドウ覗いているかのようにゆっくり進む。

エスカレーターに足を踏み入れようとしている時、又しても名前を呼ばれたようだった。振り返ると、笹本のお爺ちゃんが片手を挙げて近付いて来ていた。
「あら、奥さんは・・・」
「まいて来た。行き先は判っているんで、しばらく迷子を決め込みました、あっはっはっはっ・・・」
「お久し振りでした」
エスカレーターの乗降者に邪魔にならないように、お爺ちゃんの、肩に手を添えて柱の陰に歩いた。
「ご無沙汰で、それより又逢って頂けませんか」
「ああ、是非お願いします」
「携帯電話を買い換えて、アドレスも番号も消えてしまったんです」
「機種間でのデーター転送出来なかったんですか」
「ああ、家内に任せておいたんで失敗したようで・・・」
「そうでしたか・・・裏に個人アドレスと携帯番号書きましたから」
「有難う、是非メールしますから、では・・・」
そんな短い慌ただしい会話だったが、柱の陰ということもあり、笹本のお爺ちゃんは、しっかり新平の股間に手を持って来て、ちんぽを擦ってくる。
上野新平の名刺を受け取ると嬉しそうに引き返して雑踏に消えて行ってしまった。
こんな所で、知人に会うなんて、偶然な再会にちょっと興奮してしまった。

デパートを出て紀伊國屋書店が入っているコアビルの方向に歩き出した。
相変わらず道路は車で渋滞している。
嫌な排気ガスの臭いがしていて、目眩がしそうだ。
自分が車で走行中では、あまり気にも止めないが、鼻の穴が黒くなるのも納得する。
地上でも歩行者が多い。
お祭りでもやっているのかと思うくらいだ。
コアビルに入ってエレベーターでテナントで入っている書店のフロアーで降りる。
先程、チンポを擦られて、ちょっと先走りが滲んだのだろう。
ちんぽの修まりも悪い。
先ずは、しょんべんを済ませてゆっくり見て廻ることにして、階段の方に歩きトイレに向かう。

トイレの入り口で、手を洗っている初老の男性の後ろを通ろうとした時、洗面台の鏡に目をやって、顔を上げた男性と目が合った。
「おや、上野さん」
まただ・・・誰だろう、初対面じゃなさそうだが思い出せない。
白髪頭で短髪だ。
タクシーの運転手の制服着ている。
帽子を小脇に挟んで手を拭いている。
「あ、こんにちは、お買い物でしたか」
そう言って、小便器の方へ行こうとしたら、馴れ馴れしく声を掛けて来る。
「こんな所で、上野さんにお遭い出来るとは思いませんでした」

(わ、そんな知り合いだったんだろうか・・・)

「はぁ、すみません、何方でしたか」
「上の階の杉下です」
「ああ、そうでした、すみません」
そうは言って見たが、マンションの住民との付き合いが少ない新平には、何となく顔はわかったが名前を聞いたのは初めてだったように思う。
会釈して小便器に行って、やっとジッパーを下げてチンポを引っ張り出し放尿を始めた。

(あれ、なんだろう・・・視線を感じる・・・)

小便器前の壁の染みを見るように、顔をチョット左に向けて、今入って来たトイレの入り口付近を視野の左端に入れて見た。
そこには、先程の杉下老人がまだハンカチを手にして此方を向いて立っていた。
新平のショウベンが終わるのを待っているようだ。
まだ何か用事でも有るんだろうか。
ひょっとして、他人のチンポに興味があるのかもしれない。

チンポを大袈裟に、何度もプルンプルンと振って、半勃起したちんぽを、2・3回シゴいてふんどしに納める。
その時、ごく自然に、一瞬左向きになって杉田老人に見せて見た。
目を丸くして、視線は明らかに新平の股間に行っていた。
やっぱり見たかったんだ。確信を持って、そう感じた。
洗面台の前に歩いて行くと、顔を赤らめているようだった。

「立派なモノで・・・」
「え、見られてしまったんでしょうか」
「すみません、見てしまいました」
「あらぁ、恥ずかしいところを・・・」
惚けて見た。
新平は、杉下老人の肩に手を置き、そのまま肘の付近まで揉むようにして滑らせて見た。振り払われるかと思ったが、老人は、ニッコリ笑って、手の甲に自分の片方の手を、そっと重ねてきた。何かの信号を受けた感じがした。

「もう、お帰りでしょうか」
「いや、今から、本屋を覗いて見ようかと思っています」
「そうですか、ご一緒していいでしょうか」
「ああ、でも買うつもりが無いんで見てまわるだけですが、杉下さんは、まだ勤務中なのではないでしょうか。良いんですか・・・」
「今日の仕事は終わりました。時々変則な昼間だけ勤務ってのがあるんです」
杉下老人は、ニコニコして新平の後を付いて廻ってくる。

法令集とか施工基準など、建設省営繕課編集監修が発行する最新年度版を手にとって、パラパラ捲って眺めながら廻った。
「難しい本を読まれるんですね」
「いいえ、大した内容が書かれているんじゃ無いんです。毎年、お役人の小遣い銭稼ぎに、ちょこちょこ変更して買わせるんですよ」
20分程見て周り、レジカウンターの横を通ってエレベータホールに出て来た。

「すみません、お付き合い戴いて、結局購入する本は無かったんですが」
「いいえ、私の方こそお邪魔してしまいました」
「そんなこと有りません、まだ道路は渋滞しているんでしょうね」
「上野さん、良かったらお茶でも飲んで帰りませんか」
「ああ、いいですね。どうせ帰っても、飯食って寝るだけですから」
「今夜は、私も、誰も待って居ないんですよ」
「あら、そうでしたか、それでは食事でもすませましょうか」
「出来ましたら、お付き合い下さい」
「こちらこそ宜しく」

目的の店があるわけでも無く、肩を並べて歩き出した。
繁華街を外れた居酒屋の前で杉下老人が立ち止まった。
「この辺で、軽くやりましょうか」
「ああ、良いですね」
誘われるまま暖簾をくぐった。
「結構な込み具合ですね」
店内を見回して、空いているテーブルを探すが見当たらない。
店員も忙しくバタバタしている。
入って来た二人にも気が付かないようだ。
「上野さん、カウンターが空いてるとこがあるようですよ」
入り口左の10人ほど座れるカウンターがある。
先のほうに2人座れそうだ。
「ああ、あそこですね、座りましょう」

杉下老人が先に行って、奥に座り、新平の椅子を引いてくれた。
やっと、おしぼりを持って来た店員に、ビールの生ジョッキと2・3品の注文をして、突き出しの酢の物に箸を付けながら待った。
「週末ってことも有るんでしょうが多いですね」
「評判が良いのでしょうね」
先に運ばれて来たビールで取り敢えず乾杯をした。

「一度、上野さんと飲みたかったんですよ」
「わ、光栄です」
「なかなかお忙しいようですね」
「この時期そうでも無いんですが、捗らないからでしょうね、いっつもバタバタモタモタしているんですよ」
「そんなこと無いでしょうが・・・」
「杉下さんは、現役だったんですね」
「えっ・・・」
「あ、そっちでなく、お仕事の方です」
「あっはっはっ、吃驚しました。仕事は、まだやっています。定年退職したんですが退屈だし、一日中、家内と一緒じゃ喧嘩ばかりやっているものですから」
「そうですか、身体が動く内は働いていた方が良いでしょう」
「ま、同じ仕事でも給料は半額くらいになっちゃいましたが」
「経営者は、そこが狙いでしょうね」
「ま、多くもらっても年金が削られますから」
「だ、そうですね。それで、何をされているんですか」
「タクシーの運転手です。73歳ですから、続けられても、あと一年か二年でしょう」
「それもまた大変な勤務でしょう。24時間勤務とか聞きますが。でも73歳には見えませんよ、お若く見られるでしょう」
「ええ、もう慣れましたが、歳相応ですよ。わっはっはっ・・」

ビールのあとは、焼酎のロックと進み、最後は、梅茶漬けで終わった。
会話の途中で、新平の右太ももに時々杉田老人の左膝が押し付けられているような気がした。
ちょっと離して見ても、すぐくっ付いてくるようだった。
自意識過剰かとも思ったが、空いてる左手を乗せて来たりもする。

「ここの勘定は、私に払わせて下さい」
先に立ち上がった、杉下老人が財布を手に、レジへ向かった。
「それは悪いですから、割り勘にしましょう」
「いいえ、大丈夫ですから。。。」
「すみません、ご馳走になります」
レジの前で、勘定シートの取り合いは見っとも無いと、かねがね思っていたので、新平は素直に勘定をまかせることにした。

レジーの兄ちゃんが、慣れない手付きで打ち込んで計算している時、杉下老人が振り返って小声で新平の耳元で囁いた。
「今日の日のためにヘソクリしていましたから・・・」
「えっ、今日・・・」
「あっはっはっ、こっちの話ですが」
表に出ると、酔っ払いが大声で喚いたり、道端に座り込んだり、肩を組んで危なっかしくよろよろ歩いたりしている。

「皆さんご機嫌なようすですね」
「そのようです、もう一軒寄りましょうか」
杉下老人に払わせてしまった負い目も有り誘って見た。
「ああ、いいですね。でも今日は帰りましょう」
帰宅しても誰も待っていないって聞いたようだったが、乗ってこなかった。
「そうですか、それでは今度奢らせて下さい。今日は私も大人しく帰りましょう」

午後八時過ぎの電車は、さすがに空いていて二人並んで座られた。
電車の揺れに合わせるようにして膝を押し付けてくる。
新平も、お返しに押し付けてみる。ぴったり、くっ付いてしまった。
太ももに杉下老人の体温が伝わってくる。
「これから帰って上野さんは何をされますか」
「ああ、明日は休みですから、洗濯などは明日にして、取り敢えずシャワー浴びて、テレビのサッカー観戦でもします」
「よろしかったら、私の家で飲み直ししませんか」
「私は、構いませんが、汗を流してからお邪魔しましょう」
「シャワーだったら、ウチで浴びて下さいよ」
一旦別れるのを、危惧しているように見つめてくる。
「ああ、そうですか・・・それでは、一緒に帰ってお邪魔しましょう」
「有難うございます。是非来て下さい」

強引にも思えたが、新平にも、ちょっとした期待もあって快諾してしまった。
電車を降りて、朝晩通勤する道を、今夜は二人連れで歩いている。
気付かなかったが、こうして歩くのは初めてだったようだ。
マンションのエレベータに乗り、自分が降りるフロアーを通過しているのが新鮮にも思える。
冒険が始まるようでわくわくさえしてくる。
杉田老人の自宅の玄関の前で、鍵を開けてもらっている間、誰かに見られないかとキョロキョロ見渡して見る。
何か犯罪に手を貸している心境だった。

玄関に入るなり、杉田老人が抱きついて来た。
新平も慌てるでもなく自然に抱き返した。
納得していた感もあった。
口付けするのかと思ったが、老人は、靴を脱いで、さっさと居間にいってしまった。
新平は、取り残された感じで手持ち無沙汰になってしまう。

「上野さん、上がって下さい」
杉田老人は緊張しているのか、慌てて新平に小声で声を掛けてきた。
「あ、はい、お邪魔します」
新平も、つられて小声で返事をして靴を脱いだ。

もっとも、隣の家に聞かれるのもマズイからだが、こそこそして居間に入るのも面白い。
「ちょっと待って下さいね。ここに座ってて下さい」
老人は、電話機を取って、どこかにダイヤルしている。
「ああ、オレだ。どうだった・・・そうか、それは良かった。で、帰りは・・・そうか、こっちは別に何も無い。うん、明日は出勤だから、もう寝る・・・じゃあな」
「奥さんですか」
電話を切ってニコニコしている杉下老人に聞いてみた。
「ああ、あいつの実家に帰っているんだが・・・急に帰って来るとか言われないか確認したんです。ほっほっほっ、悪いけどね」
本当に悪い爺さんだ。用意周到と言うのか悪知恵って言うのか落ち着かない様子で、テレビを点けている。

「一緒にシャワーを浴びましょう」
「は、はい」
やはり何か落ち着かない。
小声での会話でも有り、非常に悪いことをしているようだ。
確かに悪いことである。

新平は先に脱衣室に入って服を脱ぎ始めた。
「あら、上野さんも、ふんどしでしたか」
「ええ、この方が股間を締め付け無くって楽なんです。洗濯も簡単で、すぐ乾きますから無精者には助かります」
「私も、勤務中は座りっぱなしですから、復職を機会に家内を説得しました」
「そうでしたか・・・汚れ物は洗濯させてもらっていいですか」
「どうぞ、このまま乾燥まで済ませますから」
「わ、私のより最新型ですね」
「なに、家内が手を抜いているだけですよ。花だ踊りだってね。最近はカラオケ教室とか、折り紙教室と忙しいようで」
「結構ですね、多趣味で」
「以前は、ママさんバレーとかバトミントンなどやっていましたが、さすがに体力が衰えたんでしょう。はっはっはっ…」

シャワーを掛け合いながらの会話だったが、杉下老人の手が、身体をクネクネ這い回る。
「あ、そ、そこは・・・う、はぁー・・・」
石鹸の泡をたっぷり付けた掌で、ちんぽをシゴかれる。
その手が、後ろに回り双丘を割ってアヌス周辺を念入りに撫で回される。
そこまでされると、新平のちんぽは、ギンギンに勃起して、ゆらゆらと頭をゆらして獲物を狙う蛇のようだ。
新平も、杉下老人のちんぽをシゴいてみたが、半勃起のままだった。

「あ、あうっ・・・つ、つぅー・・・」
とうとう、ちんぽを咥えられた。
尻に手を廻して逃げられないように引き付けて尺八される。
「そ、そ、あ、ああ、そ、それ以上は・・・あ、ああ、あぁー・・・だ、駄目です」
やっと解放されて、安心した。
ここで吸い取られたら後の楽しみが無くなってしまう。
杉下老人は、さっさと石鹸を流して恥ずかしそうに脱衣室へ行ってしまった。
新平も慌てて石鹸を流して後を追った。

「バスタオル、これ使ってください」
「すみません、お借りします」
居間に行くと、杉下老人も、同じように、腰にバスタオルを巻いて、ビールの準備をしていた。
「では改めて乾杯しましょう」
誘われるまま、食卓に向かい合わせに座って乾杯した。
「たいしたツマミが無くってすみません」
「大丈夫ですよ、ツマミは、先程食い貯めしましたから」
「はっはっはっはっ。。。」
大声で笑いあった後、静かになった。

新平は、落ち着かない。これからどうなるんだろう。
ビールを飲み込む音が吃驚するほど大きく聞こえる。
先制攻撃に出てみようか、それとも様子を見てみようか悩んでしまう。
二人の沈黙が続く。先程の浴室での尺八は、何だったのだろう。

「上野さん・・・」
やっと沈黙が破られた。か細い声で杉下老人が声をかけてくれたのだ。
「はい?」
「そちらに行ってもいいですか」
「あ、どうぞ」
何となくぎこちなく返事をした。
左の椅子に座って来た。
新平が左手で杉下老人の股間をまさぐった。
「ごくんっ」
唾を飲み込む音がした。顔を見ると目を瞑って顎を上げている。
立ち上がって、顔を近づけてみる。
まだ目を瞑ったままだ。
そっと、口を近付け唇を吸って見た。
堅く結んでいた唇が震えながら、少し開けてきた。
舌を入れてみる。するっと吸い込まれた。
舌を絡ませて唾を入れてみる。
「ごく」っと飲み込んで、腕を広げて抱きついて来た。
体勢が不安定だったので、椅子から離れて立ち上がり、杉下お爺ゃんを抱えるようにして立たせた。
腰のバスタオルは、二人とも床に落ちてしまい、素っ裸で抱き合ってキスを続ける。

「初めてなんです・・・」
歯を「ガクガク」いわせて、舌を吸ってくる。
新平の半勃起したチンポが、お爺ちゃんの臍に当たっている。
両手で尻を引き寄せ股間をくっ付けた。
「あぁー・・・あぁー・・・はぁー・・・ふぅー・・・ふぅー・・・」
時々、唇を離して喘いでいる。
膝まづいてチンポを咥えてみた。
先程、浴室で握った時より明らかに大きくなっていた。
竿に舌を絡ませてシゴクように雁を攻める。
「はふぅー・・・い、い、いいぃー・・・あぁー、いいぃー・・・」
フローリングの床だが毛足の短い絨毯が敷いてある。
床に寝せて、シックスナインの体勢になる。

「す、すみません、ちょっと・・・」
お爺ちゃんは、寝室らしい部屋に行ってしまった。
部屋から出て来たお爺ちゃんの手には、紙袋が握られていた。
「段取りが悪くって、すみません」
そう言って紙袋からチューブに入ったラブオイルらしい物を取り出している。
改めて抱き合い、キスをする。何となく先程までと違って積極的のように思える。
その後の展開は、新平には予想もつかない出来事だった。
「初めてです」
と言った言葉を疑いたくなるような攻めで、たじたじだった。

何時の間に付けたのか、お爺ちゃんのちんぽにはリングがはめられ、73歳とは思えない硬さと太竿で、アヌスに挿入され攻めまくられたのだ。
まず
「入れていいですか」
と聞かれた時は耳を疑った。
しかし、ウソではなかったのだ。
半勃起状態で挿入し、じわじわと本格的に勃起を始める。
まるでプロだ。
新平にも大した痛みを感じさせない。
新平自身、アヌスセックスでいった経験も無かったので、痛かったら断れば済むことだと軽く考えていたが、正常位に攻められ、シゴかれだした時は、堪らず喘いでいた。
このシゴキもお爺ちゃんのテクニックで、新平に射精させて直腸の収縮を強くさせ、それによって殆ど同時にいってしまったのだった。
2回、3回と直腸の奥壁に打ち付けられる精液を感じた時は最高だった。
崩れるように、新平の腹の上に落ちてきたお爺ちゃんは、汗だくで、息も荒く口をつけて来る。

「有難う」
それだけ言って身体を離れ、新平の手を引いて起してくれた。
シャワーの後、居間の床に落としていたバスタオルで身体を拭いて一緒に寝室に入った。
「昼寝してたので布団は敷きっぱなしです」
恐縮してシーツの皺を伸ばしているお爺ちゃんの後ろから抱きつき、そのまま横にして、口付けする。
「初めてって聞きましたが恐れ入りました」
「長年、この方面の本を、タクシー会社の仮眠室で読んでいました」
「そんな本が会社の仮眠室に置いてあるんですか」
「いやぁ、お客さんが足元に捨てて帰るのを運転手達が拾って来るんです」
「わぁー、見てみたいですね。お仲間さんもいらっしゃるんでは」
「それは判りません。社内では、カミングアウトしたりしないでしょう」
「それもそうですね」
「しかし、明らかにナヨナヨしたのもいますが、虐めの対象にされています」
「ああ、オンナっぽい人って、どこにも居ますね。先天的な感じで」
「好きな同僚の面倒を細かく見てやっているようです」
「ところで本当に初めてだったんですね」
「正確に言うと違うのかもしれません」
「あらぁー、自白ですか」

ポツポツと杉下お爺ちゃんが話し始めた。
十数年前、午前0時頃、前後不覚状態の初老の男性を、その同僚らしい人に頼まれて北九州方向に走らせていた。
東区くらいを走行中に、初老の男性が目を覚まし
「戻したい」
と言って来た。車内を汚されたら大変と、考えていると都合良く道端に空き地があった。すぐさま、そこの空き地の奥に停車して客に肩を貸して降ろしてやった。
よろける足取りの男の左手を肩に抱き抱えるようにして空き地の端まで連れて行き、胃の中のモノを全部吐き出させた。
背中を擦ってやり、落ち着いた頃、運転席に戻って、持参していた水筒を取って来て、口を濯がせた。
恐縮した初老の男性を、タクシーまで連れて戻り、発進させようとしたら、まだ揺られたく無いと言いだしたので暫くシートに横にして寝せた。
料金メーターは、深夜料金で、待期タイマーで廻っていたから、迷惑でもないのでゆっくり寝せていた。

10分余りで客が目を覚まし起き上がった。
「運転手さん、ここはどの辺りじゃろうか」
「目が覚めましたか、東区を出たあたりです」
「すまんかったのぉー、定年退職祝いで不覚にも限度を超えて飲んでしまった。お世話かけたのぉ」
「いいえ、大丈夫ですか。そろそろ出しましょうか」
「あ、すまんから、もう少し待ってくれ・・・」
「そうですか、構いませんが」

暫く社会情勢や会社の人事関係などを聞いていたが、何時の間にか
「下ネタ」に移っていた。
「いやぁー、そんなにモテませんよ。5年前に妻が病気で子宮全撤してからは夜も夫婦関係も無くなり、2人の娘も片付いて孫の誕生を楽しみに待って居る歳ですから」
「それは、奥さんも大変でしたね・・・それでご自身は欲求不満とかあるでしょう」
「あっはっはっ、もう忘れましたから・・・」
「せんずりだけですか」
「えっ・・・まぁ^、そんなトコで・・・」
どうして、一限の乗客に、こんな話をしてしまったのか後悔もあったが、
シモネタを話題にするのも久し振りでもあったので、嫌悪感は無かった。
それより、このお爺ちゃんが、どんな顔してセックスに励んでいるんだろうかと想像してもみた。

「ちょっと、前に座って良いですか」
「あ、別に構いませんが・・・」
まさかタクシー強盗するようなタイプでも無いし、気にも掛けずに承諾した。
「どっこいしょっ・・・」
助手席に乗り込んで来たお爺ちゃんは、手早くベルトをゆるめ、ズボンを膝下まで下ろし、真っ白いふんどしの横から半勃起し黒々したちんぽを引っ張り出し「せんずり」を掻き始めてしまった。
「お世話掛けた序に、ちょっと触ってくれんじゃろうか・・・」
ちょっと興味もあって、そっと手を出して握ってみた。
ごつごつした血管が竿を這い付き、脈打っていた。
その手を上から捉まれ、シゴキだしたのだ。

「ああぁー、ああぁー、気持えぇなぁー・・・あぁー、あぁー・・・」
「お元気ですね」
調子に乗って懸命に手を動かして、老人の喘ぎ声を聞いていた。
「あぁー、あぁー、も、もう駄目だ・・・で、でるっ・・・」
慌てて、ふんどしの前垂れを竿の先に掛けるのと同時に、射精が始まった。
じわじわと、真っ白いふんどしの前垂れが濡れてシミが広がって行く。

「あぁー、気持良かった、有難う。今度は運転手さんのを触らせてくれ」
「私はいいですから・・・」
「そう言わんと、どれ・・・誰にも言わんと内緒にしとったらええじゃろう、恥ずかしいことじゃないから」
「い、いいえ、本当に・・・あ、ああ・・・」
その時は、制服の上着のボタンを外され、ズボンのベルトも引き抜いて、ちんぽを捉まれていた。
「おお、若いモンのは元気があって・・・ほれガマン汁もだらだら出てる」
「あ、あふっ」
生温い感じがして、口に咥えられていた。

「ほ、本当に・・・そこまでで・・・あ、あ、あぅ」
そう言いながらも、ちんぽを咥えられたままズボンを下げられようとしているのに気付き腰を浮かしてしまい、椅子を下げて背凭れも倒してしまった。
それから先は、この世のモノとは思えないくらいの快感が体中に走り、
気を失うほどだった。

話し終えた、杉下お爺ちゃんは、懐かしそうに目を瞑って、目尻に涙さえ流していた。
上の新平は、優しく頭を抱いてやった。
「そのお爺ちゃんは、それっきりですか」
「ああ、その後、博多駅近くまで引き返して、カプセルホテルに送って別れた。名前も聞いていない」
そう言って、また涙ぐんでいた。

居間の方から点けっ放していたテレビの深夜放送が静かに聞こえている。
誰の歌だろう、演歌が流れている。

・・・・・。

叶うものならもう一度 ひと目逢いたい ひと目逢いたい 
ああ すがりたい 消えぬ面影だきしめて
一人 たたずむ 霧多布岬(きりたっぷみさき) 

(おわり)

******************************************************************

(本作品は、旧「老いのときめき」に掲載されたものを、庵主さん、源次郎さん及び、新「老いのときめき」オーナーのご了解を得て、転載させて頂いたものです。)

*****************************************************************************

(第21話):阿蘇のお爺ちゃん(その1)」に進む。

★「(第19話):小学校の校長先生」に戻る。

★上野新平シリーズ(BY源次郎)に戻る。

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