(1)
爺ちゃんは、お友達が欲しくて、でんでん虫に友達募集と呼びかけた。
名乗りをあげたA爺ちゃんとメール交換を始め、A爺ちゃんから会ってみタイとの文面と共に、野外で撮影した全裸全身写真を送ってきた。
律儀な爺ちゃんが、同様な写真を送り返したいのだが、写真がなかった。
無いどころか、野外で全裸の写真など、取ったことが無いのである。
(2)
意を決し、撮ってみることにした。
どこが、良いのか、場所の心あたりが無い。
爺ちゃんの家の近くに里山があったが、その全てが宅地化されてしまったが、所々に緑地が残されている。
遊歩道が作られ、途中にベンチが置かれ、休み処が設置された所もあるが、獣道みたいな散歩道が残されているだけの所もある。
そんな緑地のどこかに適地があるのではないかと考えた。
(3)
里山には有名な精密機械メーカーの研究所がある。
その裏の北斜面にも緑地があった。
緑地は下の平坦地まで続いていて、横断する道と、何度か屈曲して、下の平坦な場所におりる道がある。
研究所の際は、緑地に隣接していて、殆ど窓がない。
従って覗かれることはないだろう。
下の平坦地からは、見上げても、木々に邪魔されて人影は見えないと思われる。
上の道からは、下りの道は見えるが、上の道は研究上に近接している。
下におりる道の途中にやや広い平坦地があり、大きな木が何本か道沿いにある。
爺ちゃんは、その場所が気に入った。
(4)
先ずは、試し撮りをすることにした。
カメラと三脚を持って、散歩と称して、家を出た。
折悪しく、婆ちゃんが、三脚をめざとく見つけ、
「三脚なんか持って、どこにいくの」と問いかけた。
爺ちゃんは、答えに窮したが
「邪魔だし、必要な時に使えるように、車に入れとくのさ」
と答えて、家を出た。
(5)
選択した平坦地で三脚、デジタルカメラをセッティングして、試し撮りをしてみた。
ちょっと暗いが、ストロボ焚くのは目立つので憚れた。
爺ちゃんのカメラはリモコンが付いていないので、セルフタイマーで撮ることになる。
セルフタイマーをセットして、撮ってみた。
(6)
何度か夢中で撮っていると、50代ぐらいのおばちゃんが、物珍しそうに眺めているのに気がついた。
犬が駆け回っているので、散歩をさせているらしい。
幸い、爺ちゃんは裸にならず、試し撮りをしていた。
「ここで、モデルの撮影会を企画しているので、試し撮りをしているんだよ、モデルが替わりに撮らせて頂けませんか。」
「嫌よ」
「それでは、撮って頂けませんか」
「わたしは、カメラは得てでないの」
そう言いながら上の道に登って行った
時々、立ち止まって、爺ちゃんの挙動を伺っているので、興味を持ったようだ。
すぐ引き上げるのは、疑いを呼び込む可能性があるので、何枚かセルフタイマーで自分撮りをして、その日は引き上げた。
(7)
おばちゃんの出現で、緑地には、殆ど人が入らないと決め込んでいた爺ちゃんは、びびってしまった。
何度も何度も緑地に出かけ、どの程度人が入り込むのか、何時が良いのかを観察した。
その結果、正午から午後2時頃が、良いことが分かった。
(8)
婆ちゃんは11時近くに昼食を用意し、12時半には済む
爺ちゃんは、脱ぎやすい、そして着やすい服装にした。
そのため、越中を外し、トランクスにした。
三脚は車から取り出し、件の平坦地に出かけた。
カメラをセルフタイマーにセッティングして、素早く素っ裸になり、撮った。
心臓が早鐘を打って、口がカラかカラになった。
少し、画像が小さいので、ズームにセットして撮った。
3枚撮って、爺ちゃんの心臓は止まりそうになったので、止めた。
(9)
爺ちゃんは元気なオチンチンで撮るつもりだったが、そんな余裕は全くなかったので、写真のオチンチンは幼時のように縮こまっている。
爺ちゃんは仮性包茎である。
爺ちゃんは、してやったりと、3枚のうちのベストの1枚をA爺さんに送った。
しかし、A爺ちゃんからは何の返事も無く、会うことも無かった。
爺ちゃんは、3枚の写真を後生大事に保管しているが、門外不出にしている。
終わり
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・「シリーズお爺ちゃん(第10話):ナオさんからのスカイプ」に戻る。
・「スリーズお爺ちゃん(第12話):痴漢のお父さん」に続く。
この爺ちゃんの野外撮影は、僕もよく似た体験をしているので、とても実在感がありました。
どんなに、人気が無いような所でも、突然、見知らぬ人が現れると言う恐怖感?でドキドキ!
それこそ、チンポを勃起させるヒマも無い。すばやく撮影を済ませて、すばやく片付けるのが精一杯なんです。