上野新平シリーズ(第40話):料理教室のお爺ちゃん


「あのぉ、失礼ですが・・・上野さんでしたかね。」
市内の『ふれあいセンター』で時々開催されている料理教室の受講申し込みを済ませて玄関を出たところで背後から声を掛けられた。
『ふれあいセンター』といっても昔の地域の公民館を建て替えて名前が変わっただけのようだが、色々なサークル活動が以前より多彩に開催されている。

「え、私でしょうか、何か・・・。」
振り返ると背広を着た70前後の薄く禿たお爺ちゃんだ。何となくおびえたようで恐縮した顔で見つめられた。
新平の視線は、直ぐお爺ちゃんの股間に行く。
左側がモッコリしている、大きそうだ。
小太りでクリクリした目と長い睫毛。
丸顔で太い眉、広い額に薄っすらと汗が滲んでいる。

「すみません、いま料理講習会の後半のコースを申し込まれていたのを聞いていました。」
開催される料理教室は半年単位であるが、前半の三ヶ月は全くの初心者向けで、あとの三ヶ月は、初心者及び2回目、3回目の受講者を対象に色々なレシピが勉強出来るように配慮されている。
おおむね週に一回で、昼の部と夜間開催の2コースある。
新平は、離婚した直後の25歳の頃とその後数年ごとに仕事が比較的閑散な時期に夜の部を受講していた。

「あ、そうでしたか。で、お爺ちゃんも申し込まれたのですか。」
「いや、知り合いも居ないし経験も無いので考えています。」
「それは急いだが良いですよ、すぐ定員になって締め切られますから。」
「自信が無いので・・・。」
「あっはっはっはっ、いやぁ失礼しました。お爺ちゃん、そうした初心者の為の教室ですから心配ありませんよ。」
「ワシみたいな年寄りでもいいのかなぁ。」
「年齢には関係有りませんから、印鑑と保険証は持っていますか。」
「はい、広報に書いてありましたから一応持って来ました。」
「それじゃぁ折角ですから申し込み済ませましょう。さぁ一緒に行きましょう、難しい手続きではありませんから。」

お爺ちゃんの身体に触って見たかったのもあったが、イマイチ勇気がないお爺ちゃんが可愛そうになり肩を押して受付カウンターに向かった。
申し込み手続きを済ませて恐縮して、お礼を言ってるお爺ちゃんに激励の言葉をかけ、そのまま別れて新平だけトイレに向かう。
久し振りに出会った可愛いお爺ちゃんだったが、あそこで別れてしまって残念だった、でも一通りの手続きも済んだので致し方無い。
洗面所の先の入り口左側に小便器のストールが6個並び、右側に大便用ブースが3箇所ある。
誰も使用者が居なかったので一番手前の小便器に立って放尿をしていたら、後から誰かが入ってくる気配がした。
それとなく入り口付近に目をやると先程のお爺ちゃんがニコニコ笑って入って来る。

「お世話掛けました、ワシも我慢していたんで連れしょんを・・・。」
そう言って新平の右側小便器を使い始めた。これだけ空いているのにわざわざ隣に立って、大きく腰を突き出して新平が立っている場所より半歩後ろから小便している。
ちんぽの下を人差し指で持ち上げ上向きにさせ放物線の先が小便器にとどくようにしている。
わざわざ覗かなくてもその仕草が目に入る。
見せたがっているようだ。
「おやぁ、勢いが良いですね、それにデカイちんぽで。」
一物とか言わずちんぽと直接言ってみる。
「そう言う上野さんのちんぽも羨ましいくらいデカイですね。」
「お爺ちゃんのには負けています。」
「そんな事はありませんよ、ちょっと良いですか。」
良いも悪いも返事をする前に、ぷるんぷるんと始末をしようとするところをいきなり掴まれた。
「あらら、汚れますよ。」
「構わんちや。」(注:『ちや』は博多弁で言葉の語尾に使われます)
「それでは私も触らせて・・・。わぁ、やっぱデカッ。」
勃起してはいないが重量感のあるテカテカ光ったちんぽだ、まだちんぽの先が濡れている。しょうべんが付いているようだ。

その時誰かがトイレに入ってくる気配がして、シゴいて見たかったがちんぽを仕舞いチャックを上げて一緒に洗面台に向かう。
2個ある手洗い器に並んで手を洗い鏡に写った顔を見合わせてニッコリ笑い会う。
「危なかったですね。」
「あっはっはっ、見られたかもな。」
「大丈夫でしょう、それにしてもイイモノ触らせてもらいました。」
ちんぽを触り合った中だ、古い友達同士のような会話をしながら、ふれあいセンターの玄関を肩を並べて一緒に出て来た。
「有難うございました。関西に嫁いでいる娘から、何度も電話で薦められて来ては見たんですが、どうも気が進まなくって躊躇していました。お陰で踏ん切りが付きました。」
「そうでしたか、趣味で始める人や、必要に迫ってって人など様々ですが気楽に勉強されたらいいですよ。私は夜の部だから後半が始まってもお会いすることは出来ないでしょうが頑張って下さい。」
「はい、そうします。ところで上野さん。」
「はい、何でしょうか。私で分かることなら。」
「あ、それもお願いしますが、時間が有りましたら、もう少しお話を聞かせてもらえませんか。」
「はい、お安いことです。時間も持て余していますから昼食でもしながらお話しましょう。」
「是非お願いします。」

土曜日でもあったが、昼食の時間には早過ぎるのか、ふれあいセンター近くの大衆食堂は閑散としていた。
新平は、お爺ちゃんにも
『日替わり定食』
を薦めた。
向かい合わせに座ったお爺ちゃんに、料理教室受講の動機を聞きたかったが、それぞれの事情があってのことだと思われたので新平からは触れないことにした。
改めて「申し訳ありません。」と恐縮した可愛いお爺ちゃんが小さくなってすわっている前に、大き目の盆に乗せられた日替わり定食が運ばれて来た。
鯵の開きを焼いたもの、ポテトサラダ、若芽の味噌汁、たくあん、それに平皿には板ワサ、若生姜の甘酢漬け、昆布の佃煮、卵のだし巻き、金山寺ミソが乗ったのが出て来た。

「惣塚(そうづか)さんでしたね、この惣菜の中で自分で出来るのは幾つ有りますか。」
いきなり箸を割って味噌汁を口に運ぼうとしていたお爺ちゃんが
『ビクッ』
として、クリクリした目で新平を見てきた。
悪戯していた子供が親から咎められた時のようで可笑しくもあり可愛くって抱きしめたい
感情が湧く。
「ああ、食べながらで良いですよ。私も朝食抜きだったので早速戴きます。」
あらためて目の前のお盆の定食を眺めながら首を傾げている。
「うぅーん、ご飯と焼き魚くらいかなぁ・・・。」
「味噌汁とか卵焼きは出来ないんですか。」

「味噌汁はな、朝げとか夕げってのを買ってる、インスタントです。卵焼きは、真っ黒になっから・・・、そうだ、スクランブルエッグとかを見よう見真似で出来るようになった。そのくらいかなぁワシに出来るのは。」
「味噌汁は難しいでしょうね。でも意外と誰にでも出来るんですよ。卵焼きだってコツを覚えたら色々と出汁を変えて楽しめますよ。」
「ワシ卵焼きが大好きなんだが・・・作ってみたいなぁ・・・。」
「そうですか、初心者コースにありますから楽しみですね。そんなことより食べながら・・・。」
「戴きます・・・、うーん、美味しい味噌汁だ。」
「余計な話ししてて冷めてしまいましたね、あっはははっ。」

食事をしながら、料理の質問でもあるかと思っていたが、お爺ちゃんの自己紹介が始まってしまった。
四人の子供さんを育て終え、それぞれが独立して家を出てしまい、これから夫婦二人でゆっくり過ごそうとマンションを購入して転居した矢先、奥さんが55歳で子宮癌で入院されたそうだ。
手術後五年間に再発がなければ大丈夫とのことだったので、ホットした六年目に大腸に転移したのが見つかり、それも手術。
しかし二年後に肝臓にまたしても癌が出来た。
その手術後に、かねがね気になっていた高血圧が悪化して脳梗塞で倒れ、退院することも無く植物状態で延命装置をつけたまま寝ているとのことだった。

「すみませんね、すっかり一人で喋っていました。普段から話し相手がいないので、調子に乗って喋り過ぎました。ご迷惑かけましたね。」
「そんなこと有りませんよ、それより奥さんが大変ですね。」
「ま、今日明日ってわけじゃありませんが、元気になって退院することも無いでしょう。痛むのかどうかさえわかりません。」
「苦しい表情とかは。」
「全くありません。ただ寝ているだけで、栄養補給も排泄も全て機械がしています。それでも床ズレがしないように看護師さんが大変です。」
「ご本人が本当に望まれているかどうかですね。」
「そうなんです、自然死とか尊厳死などを考えたりします。ワシの話ばかりで、上野さんの話も聞かせて下さいよ。お一人住まいですか、ハカチョンとか。」(注:博多チョンガーの略称)
「ま、似たようなものです。学校出て就職と同時に幼馴染と結婚しましたが、共働きでしたからでしょうか、同居しているだけの関係で、どちらからとも無く離婚を望んでいたようで簡単に別れてしまいました。」
「お互いの仕事が忙しかったんでしょう。」
「それもあるでしょうが・・・。」
「すみません余計なこと聞いてしまいました。」
「いいえ構いませんよ、それ以来何度か縁談もありましたが、ずるずると気楽に歳をとってしまいました。あっはははっ。」
「ところで、これから料理の基礎を少し話ししてもらえませんか。」
「ああ、良いですよ。話と言うより実践がいいんでしょうが、取り敢えず大好きだって言ってた卵焼きの要領から話しましょうか。」
「あ、その実践を聞きたいです。ちょっと私の家に来て指導していただけませんか。近くですから。」
「はい、私も近くに住んでいます。先程の申請書に住所を書かれたとき、お近くだなぁと拝見していました。」
「そうでしたか、それなら都合が良かった、早速お願いします。」

成り行きでもあったけど、お爺ちゃんの誘いに乗ってしまった。
食堂を出て20分程並んで歩いた。普段あまり散歩しないので都合よく適度な散歩だった。
「あのマンションです。子供達が出てしまったので小さいマンションをと思っていましたが家財道具を捨てきらずに結局ここに決めたんです。」
エレベータを降りて家に入ると、暫らく一人住まいとのことだったが、綺麗に片付けられていた。

「4LDKですか、私の家の2倍ですね。先程の道を真っ直ぐいった左手が私の住まいです。あ、ここから見えていますね。」
少し開いたカーテンから新平が住んでいるマンションが見える。
お茶の準備をしていたお爺ちゃんに手招きして呼んだ。
「あら、そうですか。どれどれ・・・。」
ベランダ側に面したリビングの窓から見える新平のマンションを身体をくっ付けて、お爺ちゃんが確認しに来た。

身体を寄せられて、そのまま抱きつきたい衝動にかられる。
新平にその気があるせいかも知れないが、身体を必要以上に寄せられている感じを受ける。
「もう少しこちらからの方が・・・。」
そう言ってお爺ちゃんの身体に右手を回して引き寄せる。
「おっとと・・・。」
お爺ちゃんがよろけるようにして新平に寄り添った。
「お、危ない大丈夫ですか。」
両手で抱きかかえるようにして受け止める。お爺ちゃんも両手を出して抱きついてしまった。
誰が作ったシナリオでも無くゴクゴク自然に抱き合ってしまったのだ。
「・・・・・。」
ニコニコ微笑んだお爺ちゃんの顔を見下ろす格好で目が合った。
悪戯っぽくお爺ちゃんの額に唇を付けてみる。
お爺ちゃんは顔を上向きにして唇を尖らせて口付けを待っているようす。
抱き合ったまま窓から離れてキスをする。
絡ませた舌先が生き物のように互いの口の中を出入りしていく。
互いの片手は相手の股間部に持っていきズボンの上から擦りあう。

惣塚寅雄は、久し振りで味合う甘美な口付けに酔いしれ気が遠くなっていく。
数年前の思いがけない男同士での、この道を教えられた初体験を懐かしく思い出していた。
妻の子宮癌は入院して一週間目に手術が行われることになっていた。
定年を半年後に控えて仕事一筋で来た惣塚には、腹立ち
たいほど仕事がヒマになっていた頃でもあった。
「惣塚部長、奥さんの具合は如何ですか。」

惣塚の定年後には、この男が予定されている。惣塚を見る目が
『早く辞めてくれたら…』
と言っているようで、忌々(いまいま)しく感じていた。
「ああ、特別変わったことは無いようだ。」
「手術の日程は決まったんですか。」
「うん、明日の午後らしいが、私が傍に居てもどうしようも無いからね。」
「そんなことは有りませんよ、傍に付いていらっしゃった方が奥さんも安心されるのではないでしょうか。仕事の関係はご心配無く。私達で大丈夫ですから、しばらく付き添ってあげられたらどうですか。」
「うん、有難う。君のお陰で助かるよ。しばらく休ませてもらおうか。」
「是非、奥様を安心させて下さい。」
そんな会話の後、一週間の有給休暇を出した。妻の手術も無事に終わり、朝から夕食までの世話をして三日もたつと、雑誌を読むのも飽きて気分を晴らそうと街へ出かけてみることにした。

40年近くも仕事一筋だった惣塚寅雄には、パチンコしたり麻雀等で時間を過ごす方法も知らなかった。
メイン通りから路地に入って暫らく歩くと所謂三流映画館がある。
上映されている内容も確認しないでフラフラと入って行く。
ロビーで喉の渇きを自販機のコーヒーで潤しタバコをもみ消して重いドアーを押して観客室に入る。
瞬間、スクリーンに映し出されるオンナの股開きした姿と異様な善がり声に立ちすくんでしまう。
客もまばらであったが椅子に座ってマジマジと観る映画でもなさそうだったので最後部座席の後ろの鉄パイプの手摺まで進んで様子を見ることにする。
モザイクは掛けて有るが全裸の男女が重なって上に乗った男が腰を上下させている。
カメラがターンして男の絞まった筋肉質の尻の方に移り接合した部分をアップで映し出している。
モザイクしてても何の役にも足っていない。
ブラブラさせた金玉が腰を打ちつけるのに合わせて揺れている。
プリンプリンの男の尻にも色気があるのに不思議な感覚を覚える。
驚くほどの太くて長い陰茎がオンナの陰部に抽送(ちゅうそう)されている。

思わず
『ゴクン…』
と周囲に聞こえたかと思われるくらいの音をさせて唾を飲み込んでしまう。
そんな時、惣塚寅雄の左に背広姿で同年代の熟年男が寄って来た。
(こんなに空席が在るのに…)
そう思って顔を見たかったが、自分の顔も正面から見られる恐れがあったので気づかない振りを決め込んだ。
近付いて来た熟年の男は、黙って横に立ったままだ。
何もくっ付いて見ることも無いので、ちょっと離れようと一・二歩右に動いてみる。
その瞬間、さっと身体を寄せられ右腰を捕まれた。
声を出すのも大人気ない気がして相手が掴んで来た手を振り払おうとしたが意外と強く捕まれている。
「どうしましたか。」
耳元で小声で囁くように言ってくる。
何となく清潔そうな爽やかなコロンの匂いと、温かい身体の温もりが伝わり
『ゾクッ』
とした感じが走った。
(何だろう…)

安堵した気持ちみたいな感覚に不思議な気持ちで腰を抱かれた格好で数秒間そのままでいた。
次の瞬間、惣塚のズボンの前袋を、サァーっと撫でられた気がしたが、気のせいかもしれないので黙っていた。
しかしどうしたことか、惣塚の愚息がムクムクと騒ぎ出した。
それを見はからっていたかのように
『ぐっ』
と、ちんぽ全体を一気に掴まれてしまう。
腰を引いて逃げようとしたが、熟年の男が後ろに回って腰を押し付けている。
どうにもならない状態で掴まれ、ちんぽを上下に優しく撫でてくる。
惣塚の尻には男の硬くなった竿の形が温もりと一緒に伝わってくる。
(気持ちいい…)
されるが儘にしていると、ブリーフの中がジワっと先走りで濡れて行くのがわかる。
ここ数年、妻とのセックスも無く、もっぱら『せんずり』掻いて欲求を満たしていた惣塚寅雄には新鮮さが感じられる。

チャックを開けられブリーフの中から、勃起したちんぽを「くの字」に曲げられ引き摺り出され、そのままシゴかれる。
先走りでヌルヌルになった鈴口を指で弄られ、雁全体に塗り拡げられ、指2本で輪っかを作り竿の根元から雁の鰓(えら)までを往復させてくる。
人に触られるのがこんなに気持ち良いとは思わなかっただけに、恥ずかしさより快感に酔ってしまった。
(このまま逝ってしまっても…)そう思って擦らせていた。
申し訳無い気持ちも出て、そっと手を尻に当たっている硬くなった熟年のちんぽを触って見た。
「あぁー、気持ちいい・・・。」
小さく耳元に息を吹きかけるように喘いでくる。
勇気付けられたように擦る手を早めてみる。

「あ、あ、あぁー善いです…、うまいなぁ・・・外にでましょうか。」
思わず首を立てに頷いてしまった。
敏感に成った雁を、そっとブリーフに納めチャックを引き上げてくる。
映画館を出ると目が開けられないように眩しい。
熟年男はサングラスを取り出して先に歩き出した。
(喫茶店にでも行くのだろうか…)取り敢えず後を追う。

映画館の裏に人が交されないような狭い路地があった。
その途中に二階に上がる階段があり、踊り場の小窓に手を入れて鍵を貰ったようだ。
階段の下で躊躇していると、サングラスを外してニッコリ笑いかけて、上がって来るように手招きしている。
ギシギシ軋む階段を上がって廊下を熟年の後から着いて行く。
何かが始まる予感が退屈だった惣塚の気持ちを後押しする。
目指す部屋の番号を確認して鍵を差込ドアーを開けて先に入るよう即される。
後から入った熟年男が内鍵を掛けて背後から抱きついてくる。
そこは四畳半の和室で布団が一組敷かれている。

それを見て連れ込みホテルだったことに気づく。
男は、無言で惣塚の身体を反転させ唇を押し付けて来る。
長年連れ添った妻とは経験したことも無い濃厚なキスだった。
身体全体に電気が走り感電したようにブルブル振るえてくる、
支える物が無く男の身体に手を回し抱きついていった。
それでも身体の震えが止まらない。

唇を離した男が耳たぶを甘く噛みながら聞いてくる。
「初めてなんだね。」
返事の変わりに男の唇を捜して吸い付きにいった。
「心配要らないからね、こっそり気持ち善い事しましょう。」
そう言って舌を絡ませ唾液を入れて来た。
(あまい…)
初めての男とのキッスの第一印象だった。熟年の男は左手で惣塚寅雄の腰に回し、右手で股間を擦って来る。
「まずは先にシャワーでも浴びましょうか。」
男は優しく声を耳に吹きかけて身体を離し浴槽に誘った。
洋服を脱がされブリーフ一枚にされ、他人の前では恥ずかしい格好だ。
腕を胸のところで交差させて両肩に手を置いて、男の次の動作を待った。
男は自分で上着とシャツを脱ぎ、ズボンのベルトを緩めチャックを下げる前に惣塚寅雄の顔を見て微笑みかけ、一気にズボンを下げた。
『ハッ』
として男の股間に目をやると、真っ白の越中褌が見えた。

子供の頃親父や祖父が着けていた懐かしいふんどしだ。
すっかり忘れかけていた褌だったが、男の色気を感じさせる姿だった。
男は褌の紐を解き、ハラリと足元に落としていった。
そこには赤黒い艶のあるすでに勃起した雁と青筋が這った竿が上向きで現れた。
男は惣塚に近付き裸で抱きしめる。
分厚い胸板だ。
口を据われ、男の唇は、惣塚寅雄の首から乳首、さらに臍の周囲と下がり、既に半勃起したちんぽをブリーフの上から甘く噛んで来る。

天井を見上げながら震えていると、ブリーフのゴムに指が入り、そのままずり下げられた。その時点では、上向き程では無かったがマックス状態のちんぽがプルンと露わにされた。
腰を両手で捕まえられたまま
『パクッ』と咥えられる。
逃げようが無かったが逃げる気持ちも無かったようだ。
それでも
「汚いですから…」
と一応断るが、気持ちと身体は反対に反応し熟年男の頭を掴み腰を前後させて恍惚状態だった。
布団に寝せられ、膝をM型に曲げ股間を開かせられる。
そこに男の顔が埋まり尺八が続けられていく。

妻とのセックスでも素っ裸で抱き合うことが無かった。
下半身は脱いでいたが上半身は何時だってパジャマは着たままだった。
傍に寝ている子供達に気づかれないように息を殺して、2・3分で終わらせていたようだ。
前戯とか余韻を楽しませる後戯なども記憶に無い。
ただ欲求をいかに短時間で済ませるかを考えていたように思う。
セックスを楽しむなんてことは考えられなかったようだ。
まして尺八などさせたことも無い。
一度、雑誌で読んだ知識を、酔った勢いで妻のクリトリスを舐めてことがあったが、大声を出され辞めてしまった。

こんなにも尺八が気持ち良いものだったのか。
また、シックスナインにさせられ目の前に隆々としたちんぽを口に含んだ時の感激も味わった。
最初は、頬や鼻先に先走りが糸を引いた饐(す)えた臭いから逃げようと顔を振っていたが、唇に触ったときに無意識で咥え込んだ。
男が男を責めて善がらせる。
考えもつかないことだったが、身体全体で快感を味わい熟年男の口の中に射精させた時は、

また違った征服感さえ覚えた。
その後、熟年男も惣塚寅雄の口の中で爆発させた。
初めて口にした青臭いドロっとしたものだったが、男がしたように惣塚寅雄も飲み込んでやった。
その日以降、あの熟年男とは気が向いたときに映画館に出かけて4,5回逢ったが、突然プッツリと姿を見なくなった。
転勤でもあったのだろう。
何回逢っても、シックスナイン以上には進まなかった。

アナルセックスの行為は、何となく存在を知っていたが、菊座を舐めあったり、軽く指を挿入して前立腺を擦りあっただけで終わっていた。
もう10年も前のことだ。
『ペタペタ…』
「お爺ちゃん、惣塚さん…、大丈夫ですか。」
上野新平は、惣塚お爺ちゃんと抱き合ってキスをしながら、洋服を脱がしてソファーに寝せたが、トロンとした目で、抵抗もせず新平がなすがままでいた。
頬を軽く叩いて起こして見るが
「うんうん・・・。」
と返事はするが夢遊状態の惣塚お爺ちゃんが心配になってきた。

ソファーにクッションを置き、静かにお爺ちゃんの頭を乗せる。
モグモグさせている唇をそっと舐めてみる。
「あ、上野さん。」
褌一枚にさせていた惣塚お爺ちゃんが目をクリクリさせて新平の名前を呟くように言ってきた。
「気が付きましたか、どうなさったのかと途中から心配になりました。」
「すみません、気持ち善くって・・・何か遠い昔を思い出していました。意識はあったようなんですが、金縛りって言うんでしょうか、身体が動きませんでした。」
「もう大丈夫なんですか。お疲れなんでしょう、このまま暫らく休まれたらどうでしょうか。毛布でも掛けましょう、今日はこれで失礼しますが、お爺ちゃんの体調が良くなった時に改めて・・・。」

新平も褌一枚の姿だったので、脱ぎ捨てたズボンを拾い上げながら諦めて帰る準備に掛かろうとしていた。
「いいえ、大丈夫です。」
そう言うと両手を差し出して新平に抱きついてキスを求めて来た。
「う、うぅー、お爺ちゃん・・・。」
「寂しいから・・・ね、ね。」
ソファーから起き上がったお爺ちゃんが裸になっている新平の身体に腕を回して抱きついてくる。
「わ、本当に大丈夫なんですか。」
「ああ、大丈夫です。タイムスリップした感じで10年前の思い出の中を彷徨(さまよ)っていたようです。」
「楽しい思い出だったんでしょうか。」
「むふふ、それは内緒。」
「そんなぁ・・・教えて下さいよ。気持ちの良いことのようですね。」
「え、どうして分かった。」
「お爺ちゃんの顔に書いてあります。」
「え、本当か・・・。」

慌てて両手で顔を擦って大笑いする。
その後、顔を赤くした、惣塚寅雄お爺ちゃんに促され手を引かれて寝室に連れて行かれる。
「上野さん。」
「はい?」
「好きです。」
「あはははっ、改まってなんですか。私もお爺ちゃんが好きだから付いて来たんですから。」
セミダブルのベットに並んで横になる。

足を新平の身体に絡ませ抱きついてキスをしてくる。
「わ、わぁー、うまいなぁ・・・あ、あぁー、気持ち善いです。」
シックスナインで新平の上に跨った寅雄お爺ちゃんの尺八は一
味違ったものだった。
竿の根元のブツブツしたみみずが這ったような静脈を丁寧に唇を強弱つけてしゃぶってくる。
新平の目の前に寅雄お爺ちゃんの菊座がヒクヒクうごめいている。
頭を上げて舌先で舐める。
「あ、あ、そこは・・・シャワーを、ひっ、ひ、ひつ・・・そんなぁ、あとで、ね、ね、あっふぅー・・・。」
卵焼き講習は、惣塚寅雄が初めてのアナルセックスを体験した後の二時間以上もあとで、二人ともシャワーを掛け合ってからのことでした。

おわり

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(本作品は、旧「老いのときめき」に掲載されたものを、庵主さん、源次郎さん及び、新「老いのときめき」オーナーのご了解を得て、転載させて頂いたものです。)

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