上野新平シリーズ(第45話):植木屋のお爺ちゃん(中編):By源次郎


植木屋の松木お爺ちゃんに頼まれて、メモされていた携帯電話番号にワンギリしていたが、何があったのか心が騒ぐ。

それから一週間ほどした水曜日の午前、待ち遠しい電話があって食事に呼び出された。
以前何度かご一緒したシティーホテルのレストランでなく、郊外の団地近くの大衆食堂だった。

まだ昼時には時間が有ったためか食堂は空いていた。
「お久し振りです。お元気でしたか。」
いつものスーツ着たお爺ちゃんではなく、作業服の松木お爺ちゃんだった。
「済みません、こんな遠くまで来ていただいて。」
「松木さんの会社は、此の近くでしたか。」
「いいえ、此の団地の公園に植樹に来ていましたので、ここのトコ、ずっとこちらに来ていました。」
「そうでしたか、私は、数年前ココの団地が造成され始めた頃から来ていましたので懐かしい場所でした。」
「大した食事はありませんが日替わり定食で良かったでしょうか。」
お互い久し振りに合っていながら、肝心の話題には触れずじまいだった。
黙々と食べていたが、新平から話し掛けられる雰囲気では無かった。
時々、顔を上げて新平を見ているようだが、話し掛けるキッカケが無いのか、すぐ下を向いて食べ始める。
「もう、こうしてお会いできないのでは無いかと淋しかったんです。」
溜まらず新平が声を掛けた。

下向いて箸を止め
「私もお会いしたかった。」
松木お爺ちゃんは、それだけ言って箸を置き、ハンカチを取り出し口を拭き始めた。
「あのぉ…。先日の娘婿の…。」
やっと先日の娘婿の電話の件を話すつもりになったらしい。
「松木さん、今日は聞きたくありません。久し振りにお会い出来たんですから、あの話は無しにしましょう。」
「そうですか、有難う。」
新平も箸を置いて口を拭きながら、お爺ちゃんと目を合わせた。そのお爺ちゃんの目が潤んでいるようだ。
「私達は、時々お会いして食事をするだけだったでしょう。」
「はい、でも私には、上野さんが忘れられない人になっていました。それは本当です。そうした気持ちが、嫉妬深いアイツに誤解されてしまったようです」
「松木さん、前にも何度か言いましたが、私も松木さんが好きになって仕方ありませんでした。だから、それだけで良いのじゃないですか。」
「・・・・・。」
「ですから今日は、その話は止めましょう。」
「はい、でも…。お詫びだけでも言わせてもらいたいので。」
「そのお気持ちは充分判りました。それで良いでしょう。」
「はい、申し訳在りませんでした。」
「そろそろ店が込み始めました、出ましょうか。」
まだ話し足らずの様子だったが、お爺ちゃんを苦しませているようで、それ以上話をさせたくなかった。

会社に戻りながら、松木お爺ちゃんが言った言葉が気になっていた。
『嫉妬深いアイツに誤解されて・・・』
会社に戻って、机に載せられた図面を整理し始めた新平だったが、松木お爺ちゃんの言葉を遮って娘婿との関係を聞かなかったことが気になって後悔していた。

「新平、どうしたんだ、最近、元気が無いぞ。婆さんも心配していたぞ。」
「あ、お爺ちゃん。只今…。」
晩ご飯の仕度をしていた新平の後ろに立ったお爺ちゃんを引き寄せて唇を合わせた。
「あ、ああ、ちんぽは良いから。まだ風呂にはいっていないし。」
抱きついたとき、善吉お爺ちゃんの片手は新平のチンポを掴んでいた。
その手をゆっくり離してお爺ちゃんのちんぽに被せる。
「な、新平。悩み事があったら言ってみろ。」
「悩み事? あはははっ、そんなの在りませんよ。」
出来るだけ明るく否定してみたが、善吉お爺ちゃんには、新平のそうした態度が可哀想だった。
「結婚でもしようかと思っているのか、だったら応援するぞ。心当たりもいるからな。」
「お爺ちゃん、有難う。でもね、結婚なんて考えていないよ。」
抱き合ってた善吉お爺ちゃんを強く引き寄せ目を合わせて、きっぱり言った。

「そうか、でもな…。」
「言いたいこと判っているよ、だけどね…。悩んでなんかいないからね。オバさんにも、そう言っててよ。」
唇を合わせ舌を絡ませ、入れ歯に着いてたラッキョウを吸い取るようにして取り出してやった。
「おや、新らっきょう食べてきたんですか。クッサイなぁ。」
「はははっ、何か引っ掛かって具合が悪かったんじゃが、ラッキョの皮だったか。」
「オバさんは、どうしているんですか。お出掛けですか。」
「なあに、くだらないアホタレント達のゲームだかクイズ見ている。様子を見て濃いって駄菓子食いながら命令するんだ。」
「そう、宜しく言っててね。仕事が忙しいってね。」
「うん、判った。今日は帰るからな。」
玄関に降り掛けた善吉お爺ちゃんを引き留め、お休みのキッスをして帰ってもらった。

新平は、心配してくれる善吉お爺ちゃん夫婦に感謝して食事を済ませて布団に横になる。
松木お爺ちゃんの悲しそうな顔が思い出されて眠れない。
松木お爺ちゃんが言いたかったのは、何だったのだろうか。娘婿のことには違いないけど、新平には理解出来ないコトに思えた。
考えたくなかったが、いや、考え難いことだが、娘婿との、ただならぬ関係しかないようだ。

『終わったんだ…』
新平は、自分に言い聞かせるように呟いた。大好きになった松木お爺ちゃんだったが、これ以上お爺ちゃんを苦しませるようなことは出来ない。
どうして好きになったんだろう、何故愛してしまったのだろう。
短い間だったが、楽しかった、松木お爺ちゃんとの昼食したことを思い出し、涙さえ流れてくる。

その頃、松木政治は、自宅の風呂に浸かって天井を向いて目を瞑っていた。
「ふぅー…。」
涙を流しながら溜息ばかり吐いていた。
「あなた、眠っているんじゃ無いでしょうね。」
松木の妻、加奈子が脱衣場から声を掛けてきた。
「ああ、眠っちゃいない。疲れたので、ぬるい湯で浸かっていた。」
「着替えのクレープと、ふんどし置いておくわよ。食事の準備出来たから早く上がってきてね。」
「うん、判った。今あがる。」
松木政治は、湯を掬って顔を荒い涙を拭いた。

食卓に向かい合って夕食を摂る。
「あら、今夜は、お酒がすすまないのね。」
「ああ、最近疲れが溜まってな。」
「そう、団地の仕事が済んだら、たまには温泉にでも行って来たら。以前は、毎月のように良く行ってたじゃないの。」
「そうだな、そのうち一緒に行こうか。」
「いやだわ、いつだって往復だけで、お風呂に行ったら別々だし、ひとりで入るのって楽しくないんだもの。行くんだったら、ご近所の人誘っていくわ。」
「うん、混浴だったら水着きせられるしな。」
「あれって、温泉に入った気がしないよね。」
「ところで、淳子達はどうしてた。昼間行ってきたんだろ。」
「忠志さんの引越し荷物造りで大変だったわ。」
「それで、やっぱり単身赴任することに決めたのか。」
「あら、何も聞いていないのね。忠志さんの単身赴任は先月決めたって言ってたでしょう。」
「そうだったな、子供達もまだ小さいから。」
「それもあるけど、長くっても3年らしいのよ。前の人は2年で戻られたらしいの。」
一人娘の淳子が22歳で結婚して、15歳を頭に3人の子供を育てている。
役所に勤める夫の忠志が東京に赴任することになり、どうしたものかと再三実家に来て相談していた。
松木政治は、この娘婿との誰にも言えない男と男の関係を、十数年にわたって続けていた。

ーー§ーー

「忠志君、有難う。初孫が男の子で嬉しかったよ。いや、女の子でも嬉しさは同じだろうがな。昼前に早速面会してきた。」
一人娘を取られる思いで、結婚を反対したことが、何時までも二人の心が打ち解けない状態が続いていたが、初孫の誕生で、それも雪解けムードだった。

松木政治が55歳、香川忠志が30歳の時だった。
「ああ、お義父さん。お祝い有難う御座いました。」
「いやいや、取り敢えずだよ。これから妻が、あ、婆さんだ、その婆さんが、せっせと何だかんだと持って来る筈だよ。誕生前から何かと買い込んでいたようだから。」
「わ、それは嬉しいですね。」
「ココだけの話しだがな、あっはははっ。」
「そうですか…。ところで、お義父さん、お義母さんが病院の帰りに寄られるんでしょ。風呂にでも入って待たれたらどうですか。」
「そうだな、まだ陽が高いが、ひと風呂浴びて祝杯でも上げようか。」
「いいですね、それでは一緒に入って背中でも流しますから。」
「おお、それは嬉しいな。昔は娘に流してもらってたが、小学校の低学年頃から一緒に入ってくれなくなってな。あっはっはっはっ。」
松木政治が先に風呂に行って忠志が入ってくるのを待った。

「お待たせしました、お義母さんから電話でした。」
「何だって言ってた。」
「此方らには寄らずに帰られるそうです。」
「そうか、他に何か言ってなかったか。」
「折角だから、お義父さんと、ゆっくりお酒でもって。」
「なんだ、あいつ。気を使っているのか。あははっ。」
松木の妻、加奈子にしてみたら、夫と娘婿との間の蟠(わだかま)りを気にして会話が少ないのを常ずね考えていたので、この際、二人っきりで話をさせようと考えていた。
その加奈子の気持ちは松木にも、忠志にも伝わっていた。

「お義父さん、筋肉が凄いんですね。」
松木の背中をタオルで擦りながら、忠志は、始めてみる義父の身体に感心していた。
「なに、40年も肉体労働だからな。」
「それにしても立派な身体ですよ。」
「そうかな、有難う。」
松木は忠志の言葉を素直に喜んでいた。こうして可愛い孫を授けてくれた娘婿に感謝もしていた。
「やあ、有難う。気持ち良かったよ。交代しようか、ワシも流してやろう。」
「お義父さん、いいですよ。ゆっくり浸かって温まって下さい。」
「そんなこと言わないで、ワシにも息子の背中流させてくれよ。」
遠慮する忠志を椅子に座らせて、腰に巻いていたタオルを取り上げた。
「あっ…。」
忠志が慌てて自分の股間を手で隠したが、松木には、手で隠せないほど
に勃起した忠志のチンポを見てしまった。
「お、さすが若いな。」
「す、すみません。」
真っ赤な顔を下向きにして椅子に座った忠志が可愛く思えてくる。
数ヶ月もの禁欲だったのだろう。

松木にも、妻が妊娠した時は、大喜びした反面、その後、娘が生まれてか
らも半年以上性生活が出来なかったことを思い出していた。
「恥ずかしがることは無いんだ、若いんだから、裸でチンポ揺すったら誰だって勃起するんだ、隠したりすること無いんだよ。」
「でも…。」
松木は、娘婿忠志の背中を流してやりながらも、忠志の剥けきったチンポから目が離せない。
若い男の子のそれも腹にくっ付くように上向きに勃起させているチンポを初めて見せられて、自分のチンポも勃起してくる。
たまらず、忠志のチンポに手を伸ばして掴んでしまった。
それは、ゴツゴツとした金属にも似た『こん棒』だった。温かく手の中でビクビク動いている。

「あ、ああ、お義父さん。そんな…。」
忠志は、身体を反らして松木の腕の中に倒れるように身を委ねて来た。
それを、片手を首に巻き、しっかり抱きしめて忠志の顔を見た。
目を瞑って荒い息遣いで、黙って抱かれている。
松木は、ちょっと躊躇したが、顔を近付けて、唇を重ねる。足を突っ張って腰を浮かせた忠志のチンポを軽く扱いてみた。
「あ、ああ、お義父さん、い、いいです。あ、ああ…。」
重ねた唇を舐め、舌をいれると、それを吸い込んで自分の舌を絡ませてくる。
「抜いて良いか。」
忠志のチンポからは、すでにダラダラと先走りが糸を引いて、松木のシゴク手の滑りを助けている。
「あ、ああ、お義父さん、い、いいです。あ、ああ…。気持ちいい、あ、ああ、どうにかなりそう…。」
忠志の手が夢遊病者のように、松木の腹を撫で回し、すでに隆々と勃起させているチンポを掴んで来た。
「お、いいな。」
松木は、掴んで扱いただけでは我慢できなくなって、口に咥えてしまう。
「あ、ああ、お義父さん、い、いいです。あ、ああ…。気持ちいい、あ、ああ、どうにかなりそう…。」
同じような言葉を何度も繰り返し、とうとう松木の腰を引き寄せて、黒光りしたチンポを咥えてしまった。

二人が我に帰ったのは、互いの射精を顔に掛け合って暫らく後だった。
『このままでは、お互い気まずい』
そう考えた松木は、忠志を抱き起こし、あらためて唇を重ねていった。
「う、う、お義父さん。あ、ああ、有難う。」
忠志は目に涙さえ浮かべ、松木にしがみ付いて嗚咽した。
「泣くことは無いだろう。今日だけの二人だけの秘密だ。一緒にショウベンしたようなもんだ。」
シャワーを掛け、狭い浴槽に身体を、くっ付けて抱き合って温まった。
こうして始まった二人の関係も、今では忠志が主導権を握った形で十五年も続いている。
松木にしてみたら、娘婿が他の女に向かせないようにとの気持ちでもあったが、会うたびに身体が、ときめくのさえ嬉しかったのだ。
『忠志が浮気して、娘を悲しめたくない』
との大義名分だと考えて、自分の性癖を認めたくなかった。
何度も悩んだが、それだけでは無かった。
他のオトコに取られるのではないかとも恐れていた。
孫も三人産まれたし、娘とは上手くいっているようで安心もしていたが、想像以上に松木に対して嫉妬して色々詮索されて困ってもいた。
そんな時、出会ったのが上野新平だった。

忠志と違った新鮮さと優しさ、それに逢っているだけで心が安らぐ。
そうした気持ちが新平への愛情さえ芽生えさせていたのかもしれない。
そうした時に、忠志の東京への転勤の話だった。
松木は、少しホットした気持ちだったが、その頃から娘婿の忠志の嫉妬心が酷くなりだしていた。

携帯電話の履歴さえチェックして相手を確認してくる。
「上野新平って誰?」
松木政治は、正直に「時々仕事の打ち合わせで昼食をしているお客さんだ。」
と逃げた心算だったが、忠志には、わずかな動揺を見抜かれてしまった。
「そう、お義父さん。浮気していたんだ。」
「ち、違うって…。」
「時々、お義父さんが物思いに耽っていた原因が、このオトコだったんだ。」
忠志には、聞く耳が無かった。
結果、上野新平の番号を抹消し『受信不可』にしてしまった。
それで、こっそり別に新しい携帯を買って、マナーモードにしたまま、自宅の作業場に隠していたのだ。

ーー§ーー

「あなた、そんなとこで寝たら風邪引きますよ。」
テレビをつけてはいたが、松木は暫らくの間だけでも忠志と別れられることで、嬉しさが込み上げてくる。
「ああ、眠っちゃいない。植樹のレイアウトがきになっててな。」
「あら、大変ね。湯冷めしたらいけないからパジャマ着たら。」
「おお、そうだな。褌一枚のままだったか、あっはっはっ。」
「そうですよ、お客さんでも来たら笑われますわ。」
松木は、妻の加奈子が食事の後片付けを済ませて、風呂に行くのをみて、立ち上がりパジャマに着替えて作業場にやってきた。

「もしもし、上野さんですか。」
「あら、松木さん。どうしたんですか。」
「ああ、昼間、言い出せなかったので…。」
「その話でしたら聞きたくないって言ったでしょう。明日は週末で忙しいので早出しないといけませんので、ごめんなさい。おやすみ…。」
新平にしては、忘れなければと心の整理を付けようと考え悩み悲しんでいたところに、またしても聞きたくない話を聞かされそうで不機嫌な声になっているのを自分でも気付いていた。

「あ、切らないで下さい。あの話では無いんです。」
「は?」
「久し振りにお会い頂いて有難う御座いました。」
「いいえ、こちらこそ、お久し振りで、松木さんもお元気だったので安心しました。」
「あのぉ…。」
「はい、何でしょうか。」
「あ、済みません。また電話します。」
不機嫌そうな、くぐもった新平の声を聞いて、勇気を出して電話した松木政治だったが『怒ってる』と感じて恐縮してかけなおそうとした。
「待ってください。切らないでと仰っていて…。」
「本当にご免なさい。」
「松木さん、どうしたんですか。怒ってなんかいませんから、なにかお話されたかったんでしょう。」
「はい、でも…、急ぐこともないし。」
新平は、奥歯にモノが挟まったような、松木のオドオドしたこえに可哀想になって来た。
「松木さん、良かったら来週にでも、また食事に誘って頂けませんか。」
新平も、自分が優柔不断な気持ちに苦笑したかったので、明るく声を掛けてみた。
「え、本当に逢っていただけるんですか。」
「はい、松木さんがご都合さえ良かったら今後も時々逢って貰えたらと…。」
「有難う御座います。上野さん、嬉しいです。」
涙声にさえ聞こえる松木政治の声だが、ニコニコした顔が浮かんでくる。
「私も嬉しいです。ちょっと眠かったので不機嫌な声聞かせてご免なさい。」
「そんなこと有りません。ああ、電話して良かった。」
互いの蟠(わだかま)りみたいな物が取れて大声で笑い合って電話を切った。
週末の土曜日は、梅雨の中休みと思えないような、澄み切った青空だった。

「おい、新平。良い天気だぞ、布団でも干すんじゃなかったのか。」
車に乗り込んだ新平に、隣の善吉お爺ちゃんが駆け寄って来た。
「やあ、お爺ちゃん、おはよう。良い天気になりましたが、今日は会社の上司の引越し手伝いなんです。」
「なんだ、それはご苦労だな。気を付けてな。」
「うん、有難う。行って来るからね。」
「引っ越し祝いの酒なんか飲んで運転するんじゃないぞ。」
「判ってるって、そんなことしたら、今は即クビだからね。あはははっ。」
人の善い善吉お爺ちゃんを騙したようで心苦しかったが、新平の気持ちは、初めての松木政治との待ち合わせ場所に急いでいた。
「松木さん、お待たせしました。」
「やあ、上野さん、私もたったいま来たところです。」
地下鉄入り口から離れた公園のベンチで待っていた松木お爺ちゃんを助手席に乗せて出発した。
「今日は、いいドライブ日和で良かったですね。」
「うん、私達の初ドライブを祝福されているみたいです。」
そう言って、松木お爺ちゃんが、新平の膝に、そっと手を載せて来る。
その手を包み込むように新平の手を載せた。
「今日は、加奈子…、妻は娘のトコとに行ってて泊まってくると言っていましたから、ゆっくり出来ます。」
「あら、そうですか。だったら遠回りして海岸線を走りましょう。泊まって帰って良いんですか。」
「はい、上野さんが良かったら宿泊したいです。」
「私は、誰にも断わらなくって大丈夫ですから。」
そう言いながら善吉お爺ちゃんの顔が思い出された。
『祝い酒飲んだから上司の家に雑魚寝したことに…。』
新平の手が、一段と強く松木お爺ちゃんの手を掴んで、自分の股間に引き寄せた。
松木お爺ちゃんも、ニッコリ笑って新平の顔を見てくる。
「おっと、安全運転しないとね。あはははっ。」
松林が続く海岸線を走る車に、まだ柔らかい朝日が当たっていた。

(つづく)

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(本作品は、旧「老いのときめき」に掲載されたものを、庵主さん、源次郎さん及び、新「老いのときめき」オーナーのご了解を得て、転載させて頂いたものです。)

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