上野新平シリーズ(第59話):家庭菜園のお爺ちゃん(9)By源次郎


晴れた日の土曜日の午後、久し振りに大量の洗濯物や布団を干して、コーヒーを沸かし、一服しようとしていたが、すこし陽が陰り出したので慌てて洗濯物などを取り込んだ。

昨夜は長い時間、老け専関係のDVDを見ながら、思いっきりセンズリかいていたので、今日は抜くのを止めにして雑用をして過ごしていた。

冷蔵庫や冷凍庫も午前中に整理していたので、すっきりしている。しかしこれでは、一週間分の食材が不足しそうだ。

調味料の在庫も僅かになったのもある。重い腰を上げ、クーラーボックスに氷を詰めて郊外の大型ショッピングセンターに出かける。

クーラーボックスは、冷凍品を入れるのだが、以前、コンビニ袋で持ち帰って溶けてしまい大部分を廃棄せざるを得なくなり、それ以来、買い物には車に積んで持参している。

大方の買い物を済ませ、曜日ごとの、大まかなレシピを頭に描き、忘れ物は無いかと店内を一周する。

陳列台の商品を見て思い出すこともあるからだ。今日のところは大丈夫のようだ。

レジーを済ませて駐車場までカートに移し押していく。途中、カートの下に可愛い飼い犬を乗せて移動しているお婆ちゃんに会う。

新平も、犬か猫を飼いたいのだが、出張で数日帰宅出来ないこともあるので、なかなか手が出せない。

車の後部座席のスライドドアーを開けて、買い物した食材を積み込んでいるとき、ふっと顔を上げ、駐車場前の道路を白い軽ワゴン車が通り過ぎるのが見えた。

『あれ、今のは戸畑お爺ちゃんだったようだ』

こんな所を走って行ったけど、何処に行ったのだろうか。お爺ちゃんの自宅が有る方向とは違うようだし、例の野菜配達だろうか。

ちょっとした興味もあったので、駐車場を出て後を付けて見たくなった。

しかし、お爺ちゃんが通過して数分後だったので、新平の前方に戸畑お爺ちゃんの車は見え無い。

暫らく走ってみたが渋滞気味で、なかなか追いつけない。

進行方向は間違いないのだが途中何カ所かの交差点もあったので、いずれかに左折か右折したのかもしれない。

追っかけるのを諦めて、適当な場所で、Uターンしようと歩道側の車線に移り、次の交差点で左折してから戻ろうとしていた。

その時、遥か右手前方に山側に向かって走る白い軽ワゴン車が見えた。しかし、それが戸畑お爺ちゃんの車だとの確信は出来ない。

すぐに木の陰に隠れてしまったのだが、新平には、何かしらに誘導されているかのように、躊躇せず右折車線に割り込み次の交差点で、軽ワゴン車が見えなくなった方向に走る脇道に入っていく。

この道は、以前走ったことがある。たしか峠を越えると、綺麗な海岸線が広がる景色が眺められる所だ。

その途中に寺に登る石段があり、その石段の両側には、ツツジだかサツキが植えられている。

そのツツジだったかサツキの花が咲き終えた頃、工事現場の帰りに寄り道したのだが、そこでであった和尚が面白い話をしてくれたのを思い出した。

寺は、鬱蒼と茂った木立に囲まれて、山門までは五十段余りの石段がある。

石段を登りつめた山門の両側に大きいヒイラギの木があって、納骨堂や修理されたばかりと思われる鐘楼がある。

本堂から渡り廊下で繋がった住まいを囲むように翌檜(あすなろ)の木が生い茂るように何本も植えられて、それも大きく成長していた。

左手奥には『しゃくなげ園入り口』と書かれた杭に打ち付けられた看板がある。
寺の庭だろうが手入れも大変だろうと思っていた。

あの日は本堂の入り口の段に腰を降ろし、買って来た缶コーヒーを飲んでいるときだった。

シャツとステテコ姿の小太りのお爺ちゃんが、竹箒で白い玉砂利に落ちた木の葉を掃除していた。

麦わら帽を脱ぐと、テカテカのスキンヘッドから汗が滴り落ちている。

それを、腰に下げた手拭を取って、頭と顔を拭きながら新平のところに近づいて来た。

80歳近い年齢だろう。それでも、艶々した顔の肌だ。

「兄さんは、この辺りの人じゃ無いようだが、お仕事の帰りだろうか。」

「はい、仕事の帰りですが、一休みさせてもらっています。」

「おお、そうじゃったか、ゆっくりして行きなさい。もうちょっと時期が早かったら、石楠花(しゃくなげ)が咲いていたんだけどな。」

「さっき、石楠花園って看板を見ましたが、広い庭園があるんですね。」

「人手が無くってな、そろそろ手をやいているんだけど、これも明治以前からの檀家さんのものだから処理できないんだ。手伝ってくれる者が少なくなってしもうてのお。淋しくなった。」

「そうでしょうね、大変でしょう。ところで気になっていたのですが、向うの、お住まいの方に沢山ありますが、あれは翌檜(あすなろ)ですかね。」

「おお、良くご存知だ、確かに翌檜です。あれだけは、大して手が掛からないから大事に育ててやっている。」

「美しい深い緑ですね。」

「そう思われるか、さすが名前を知っていなさったくらいだから、あの濃い緑の美しさがお判りになるんだね。」

「そんな、以前、どこだったかの神社に植えられていたのを聞いて知っていただけです。」

「そうじゃったか、それで名前の由来とかは聞かれましたかな。」

「いいえ、そこまでは聞いていません。」

「そうでしたか、これの名前の由来も色々あるらしいが、私が一番信じたい由来があるんだが、聞いて下さるかな。」

「是非、聞かせて下さい。それと、失礼なことかもしれませんが、この寺の住職さんですか。」

「あははっ、失礼と言われるのは、こんな格好だからでしょうな。手伝いの者と二人でココの寺を預かっている住職です。」

「そうでしたか、大変失礼しました。」

「そんな事はありません、どうです、ココは西陽が当たり始めますから、向うでお茶でもどうだろうか。」

「有難う御座います。コーヒーが甘過ぎて口を濯ぎたかったんです。遠慮無くお茶を戴きます。」

一見、寺の手伝いしているお爺ちゃんにも思えたが、失礼があってはいけないと確認してよかった。

間違えてなくって胸を撫で下ろす。

住職の後ろをついて歩いて行きながら、ステテコの下に、汗で濡れて緩んだ、越中褌が透かして見えている。

何となく嬉しくなって来た。

ほのかに、香りのいい線香の匂いがする、白檀(びゃくだん)だろうか。

陽が陰り始めた本堂の北側の縁側だ。

「おおーい、ゴンゾー、お客さんにお茶を入れてくれ。」

住職が、本堂の東側の広縁に上がり、新平を座らせながら渡り廊下の先の住まいの方に声を掛けた。

「はーい、少々お待ち下さい。すぐに、お持ちします。」

住まいの奥の方から厳蔵(ごんぞう)と呼ばれた男の返事があって、間もなく羊かんを添えた茶を持って来てくれた。

その厳蔵が、腰を屈め、膝を揃えて折り、大きい身体を小さく見せようとしているのが可愛かった。

180センチ近くもありそうだ、これだと体重も100キロあるのではないだろうか。
年齢は還暦過ぎたくらいのようだ。

汗ばんだ白い半襦袢には、ピンク色の大き目の乳首がへばり付いたように、くっきり見えている。

立ち上がったとき、作務衣のズボンの股間がモッコリさせていた。

新平とチョット目を合わせて、はにかんだ様にニッコリ微笑み、顔を伏せ、数歩あとすざりし、無言で会釈をして、そのまま奥の方に引っ込んでしまった。

『オトコ臭さ』が、ムンムンと伝わってくる。
あんな大男が善がる姿は迫力がありそうだ。

住職が勧める香りの良い熱いお茶を飲みながら翌檜の語源や、石楠花園の話を聞いた。

こうした寺の和尚は、話好きらしく、30分あまりも喋り通しだった。
薄赤い唇が美味しそうで、別れるまで、目が離されなかった。

その間、和尚は、遠く高い翌檜の頂上を見たり、新平の顔を見てニコニコ笑いかけてくる。

喋るとき、微かだがカキカキと入れ歯の音をさせている。

この翌檜(あすなろ)はヒノキ科の常緑高木で日本特産だということ。
山地に生え、庭園にも多く植えられている。

大きいものは、高さ30メートル、直径1メートルにもなる。
葉は見て判るようにヒノキより大きく、肉太く、鱗状(うろこじよう)で重なり合っている。

雌雄同株で、材は綺麗な淡黄色で建築材、船材、家具などに使われ、樹皮は縄などに用いるのだ。

羅漢柏、アスハヒノキ、アスヒヒバと言うのだが、「明日はお兄ちゃんのような立派なヒノキになろう」と、大地に力強く根を張って育っていくとの、いわゆる俗説があるそうだ。

そのような話を聞いたのを思い出していた。
別れ際に新平が差し出す手を、なんの躊躇することも無く強く握り返してくれた。

握手するとき、左手が、自然に自分の股間にいき擦っていた。

和尚の話を聞きながら、はしたなくも先走りが出ていたようだ。

それを知ったかどうかは判らないが、ニッコリ笑って、更に手を強く握り返されたのだ。

あの柔らかいが力強い和尚の手の温もりが思い出される。

石段の下に車を駐車させて、また、あの住職か厳蔵と呼ばれていた男にでも会えればと石段を登っていく。

綺麗に手入れされた白い玉砂利に、弱い夕日が当たり、そこだけが緑の木々から浮き上がって見える。

本堂から、住まいの方を眺めてみたが、ひっそりとした広い庭があるだけで、人影は無かった。

腕を組んで、暫らく庭を眺めながら佇んでいると、遠くで飼っているらしい鶏の声が聞こえて来る。

帰ろうとして石段を2、3段降りたところで、寺の住居の裏庭が見えた。

流行のハッチバックの乗用車が止められていて、その横に、白い軽ワゴン車が見えた。

石段の上り口の先から、ここまで、車が上って来れる道があったのだろう。

また、数段降りてから思い直して寺に戻った。

参道を散策しているように、ゆっくり一歩ずつ歩を運び、本堂の横から住居の方に腕組みしたまま歩いて行く。
翌檜の見学をしている風に高い梢を眺めながら歩く。

悪い事をしている訳じゃないが、心臓の音が聞こえるのではないかと思えるくらいに高鳴りしている。

軽ワゴン車を覗き込み、戸畑お爺ちゃんの車だと確認できた時、ドキドキして、足早に立ち去ろうとした。

その時、褌一枚で、バスローブだけを身に付けた和尚を両腕に抱え込んで、赤ん坊を抱くようにして廊下を歩く戸畑お爺ちゃんの姿が見えた。

住職の両腕は、戸畑お爺ちゃんの首に巻きつくようにして抱かれている。

一瞬だったが、その時、戸畑お爺ちゃんと目が合った様にも思ったが、もしそうだったら戸畑お爺ちゃんが立ち止まるなり声を掛けてきそうなものだが、何やら楽しそうに会話しながら開けられた障子の陰に隠れてしまった。

『褌一枚』

何だろう、和尚と風呂にでも入っていたのだろうか、和尚は足でも怪我してあるけないのだろうか。

だったら、あの体格の良い厳蔵の仕事ではないだろうか。
厳蔵は留守なんだろうか。

色々と考えが浮かぶが、何となく怪しい臭いがする。
新平が、そうだからだろうか、戸畑お爺ちゃんと和尚の関係を想像してみたくなる。

裏庭にまわり、翌檜の木に隠れながら、音を立てないように先程、戸畑お爺ちゃんが入った部屋の近くまで来てしまった。

雨戸が開放された広い縁側があり、障子が閉められた部屋がある。

広い縁側に近付こうとして足を止めてしまった。
部屋の中から、微かだが戯れあう会話が聞こえたようだったからだ。

『そんな筈は無いだろう』と思う気持ちと『聞いてみたい』との思いがして、知らず知らず、抜き足差し足状態で縁側の上がり石の所まで来てしまった。

そこの上がり石には、戸畑お爺ちゃんのものと思われるスニーカーが脱いで置いてあった。

戸畑お爺ちゃんは、裏から上がったのだろう。

「そうだい、い、いい、う、うう。」

「和尚、好きです。あ、ああ、い、いい。」

部屋の中からは、耳を疑いたくなるような、艶かしい二人の喘ぐ声が確かに聞こえてきた。

『そうだい?』

何だろう、檀家総代だろうか、だとすると戸畑お爺ちゃんが、この寺の檀家総代をやっているのだろう。

部屋の中からは、二人がキスしているらしい音と、微かに、泣き声にも似た喘ぎ声が続いている。

新平は、これ以上は近づけない所まで行って、中で行われている二人の行為の生々しい声を聞いていた。

『信じられない』と言う気持だが、現実に聞かされてしまうと、今までの新平に対する戸畑お爺ちゃんの優しさが納得出来るようにも思えてきた。

「あ、ああ、総代。い、いい、うっふーん、あ、ああ。」

「和尚、あ、ああ、和尚、あ、ああ、会いたかった、あ、ああ。」

戸畑お爺ちゃんと和尚の顔が思い浮かび、苦痛にも似た濃艶な喘ぎ声に、新平のチンポが半勃起してきた。

右手で、ズボンの上から股間を擦り、納まりが窮屈になったチンポを褌の中で上向きにしてやる。

一緒に、この部屋の中の行為を聞きながらセンズリかいてみたくなったが、広い裏庭では流石に出来なかった。

衣擦れの音と、畳を転がりあうような擦れた音が聞こえる。

「さっきのお方は、知り合いだったのか。ワシも見かけたことがあるような御仁だったが。」

「はい、知り合いの方だったようです。」

「黙ってていいのか、あ、ああ。」

「はい、彼は口が堅いから興味本位で喋るようなオトコではありません。あ、ああ、和尚、あ、ああ。」

明らかに新平の話題のようだ、和尚は気付いていないと思っていたが、二人とも新平の姿を見ていたようだ。

戸畑お爺ちゃんが『興味本位で喋るようなオトコではありません』と言ってた言葉が『喋るんじゃないぞ』と言っているようにも思えた。

このまま、聞かなかったことにして戻ろうと一歩下がったところで『バキッ』と足元の小枝を踏んで音を出してしまった。

その時、部屋の中の喘ぐ声が一瞬止ったような気がしたが、すぐに二人の喘ぐ声が一層大きく聞こえて来た。

胸を撫で下ろし、戻ろうと振り返って、目の前に何の景色も見えないのに驚いた。

そこには、何時の間に来ていたのか、厳蔵と呼ばれていた白い半襦袢と作務衣のズボン姿の大男の身体があった。

新平が上向きに見上げるくらいの高さに鬼のように怒った厳蔵の顔と合う。

「あっ。」

思わず声を出してしまった。厳蔵に手を捕まれて引き摺られるようにして、勝手口まで連れて行かれる。

『あ、このオトコに殴られる』

連れられて行きながら、そう思っていた。
出来ることならスキを見て手を振り切りたかったが、ガッシリ掴まれている。

先程の部屋から離れた勝手口のドアーの前に来て、やっと手を離してくれた。

後ろめたさもあり、新平は声を出せなかったが、手を離されて、やっと声が出た。

「な、何をするんですか、痛いじゃないですか。」

捉まれていた右手を擦りながら厳蔵を睨み返した。

暫らく無言のままで目を合わせていたが、厳蔵の怒った顔が、泣き出しそうな涙顔に変っていく。

厳蔵は、新平と目を合わせたまま数歩後すざりして、地べたに膝を揃えて正座し、両手を膝の先でハの字に置き、眼に涙を溜めて見上げてくる。

「ど、どうしたのですか。」

先程の鬼のように怒ってた顔が、泣き顔に変っただけでも不思議だったが、土下座して新平の足元にうずくまられては、引き摺られたことは何だったのだろうか。

「兄さん、お願いです。お座敷からの声は聞かなかったことにして下さい。」

でかい身体とは反対に、低いか細い声で、一言一言をかみ締めるように言ってくる。

厳蔵は、額を地べたに擦りつけるようにして、大きい尻を見せている。
そそられる大きい尻だ。

「え、座敷の声って、何も聞いていませんよ。」

「いいえ、兄さんは聞いていました。お願いですから忘れて下さい。」

「忘れるも何も聞いていないんですから。」

「いいえ、聞かれていました。お願いです、口外しないと約束してください。そうでないと、私は何をするか判りません。」

低い声だが、重々しく、一言一言が、訴えるように聞こえる。

「それって脅しですか。」

「違います、ただただお願いしているのです。忘れて下さい。」

足元の厳蔵が、土下座して揃えた膝を新平に近付いて両手で、靴の爪先を掴んで自分の顔を押し付け、身体を震わせている。

「判りました、忘れますから、その手を離してください。」

「本当に、約束して頂きますか。」

「だから、忘れると言ってるでしょう。その手を離してください。」

厳蔵の両脇に手を入れて立ち上がらせようとしたが、重くって、彼を膝立ちさせるのがやっとだった。

新平の股間付近まで起き上がった厳蔵が、そのまま抱きつく格好で先程まで萎んでいたはずのチンポが半勃起状態になって居る所に顔を押し付けてきた。

「あ、あれ、なんか・・・。」

股間に頬擦りされたようにも感じたが、助平な新平の早とちりだったようだ。

厳蔵にも、自分の顔が、新平の股間部に有ることがわかったのか、顔を上にずらせて胸付近まで上げてきた。

それでも、抱き締めた両腕はそのままで、顔を上に向けて、新平を見上げ祈るような涙目で見てくる。

新平のチンポが厳蔵の胸付近でムクムク起き上がっているようだが、身体を離してくれないので、気が付かない振りして、そのままで顔を合わせているしかなかった。

「ね、どうしたんですか。忘れるって言ったでしょう、約束しますから。」

下から見上げてくる厳蔵の眼には涙が滲んでいる。

「兄さん・・・。」

新平に抱きついたままの厳蔵の言葉は、涙声に変っている。

「厳蔵さんって言われましたよね。住職のことが好きなんでしょう。それとも戸畑お爺ちゃんが好きなんですか。」

横向きに新平に押し付けていた顔が吃驚した顔に変り、下から見上げてくる。

目を合わせ、顔を横に振って、囁くように「ち、違います。」と強く否定して再び顔を新平の身体にくっ付けて来る。

「きっとそうだ、厳蔵さんは住職が好きなんだ。焼きもちでしょう。」

右片膝を立てて、立ち上がろうとした厳蔵に手を貸すようにして引き上げた。

『わ、やっぱデカイや』

よろけるようにして立ち上がった厳蔵の身体に手を回して抱きついてみたが新平の手には、予想したブヨブヨの身体では無く、がっしりした肉体が伝わってきた。

二人は無言で抱き合ったまま、相手の体温と心臓の鼓動を感じあっていた。

抱きついた厳蔵の半襦袢のちょっと開いた前合わせからは汗の臭いがする。

それがまた男臭く、新平の脳に安らぎに似た感じと、なにかしら淫猥な気持ちが伝わり、より一層抱き締めていた腕に力がこもる。

しゃくり上げるように鼻を啜っていた厳蔵の両腕にも力が入り新平の身体がギシギシ音を立てて崩れていくようだ。

新平が顔を上げて見ると、可愛い優しい眼に変った厳蔵の顔があり、鼻汁が唇まで垂れている。

どちらからとも無く、唇が近付いていき、ヌルっとした分厚い厳蔵の唇が新平が尖らせた唇に触れてきた。

『可愛い』

今の新平は、いつしか、このデカムチの厳蔵が、可哀想でもあり、可愛いとも思えてきた。

舌を絡ませていた二人だったが、そこが屋外で人に見られるのではないかとの思いがあった。

「兄さん、好きです。約束して下さい。」

「ああ、私も厳蔵さんが可愛くって好きになりました。聞かなかったことにします。約束します。」

唇を離した二人が確認しあうように顔を見つめ合い、厳蔵に手を引かれて勝手口から家の中に入った。

そこは、寺の厨房らしく、広い土間の中ほどに綺麗に磨かれた大きな釜が3個並んでいる。園先には、これもまた厳蔵の性格なのだろうか磨き上げられている大鍋がならんでいる。

珍しそうに、クドの釜や鍋を眺めている新平に厳蔵が急須にお湯を注ぎながら話しかけてきた。

「これらは、今は殆ど使っていません、以前は、法事や彼岸のときなどは活躍していたのですが、最近は手間が大変なので、近くの仕出し屋さんの弁当を取っています。」

ちょっと照れたように、また何か言い訳するように言ってくる。

「住職と私の食事の準備だけに使うのは、この板場に作った流し台を使っています。」

「こんな広いお寺で二人っきりですか、淋しいでしょうね。」

「はははっ、寺は何処もそんなものでしょう、淋しいなんて、この寺に来て40年以上になりますが一度も考えたことありません。」

「そうですか、私達とは全く違った世界なんですね。」

「そんなことは無いでしょうが、毎日が修行です。」

厳蔵が差し出した、お茶を啜りながら、新平達が生活する俗世と違った話を聞いていた。

飲んでいた湯呑み茶碗を盆にのせる新平の動作を見ていた厳蔵が、手を握ってきた。

新平も、直ぐに厳蔵の手を握り返して顔を見つめ合う。

手を引かれて広い板張りの部屋から、奥の4畳半の部屋に案内された。

「私が寝起きさせてもらっている部屋です。」

そこも板張りの部屋で、一間幅の腰高の窓しかない薄暗い部屋だった。

部屋の隅に、小さい文机(ふみづくえ)があるだけの殺風景な部屋だ。こんな板張りで寝起きしているなんて本当だろうか。

新平を部屋に入れて、厳蔵が後から入って後ろでに襖を閉め背中から抱きついてくる。

振り向くと、厳蔵の顔が近付いて抱きつき、キスを求めてきた。

新平も、それに答え、抱きついて唇を付け、舌を絡ませる。

「あ、ああ、兄さん。い、いい、好きです。あ、ああ。」

年齢的には10歳ほど上なんだろうが、おまけに大きい割には、ウブな所作が伝わる。

厳蔵が絡めてくる舌も身体も振えている。

布団も敷かれていない板張りで、裸になって横になり抱き合う。

「う、うう、あ、ああ、良いです、あ、ああ。」

唇を合わせただけで、大きな身体が脈打つように揺れ悶える。

シックスナインになって、厳蔵の股間に顔を近づけようとした時、急に立ち上がり身体を離してしまった。

「あれ、どうしたんですか。」

折角、盛り上がろうとした矢先だったので、あっけにとられてしまう。

「すみません、ちょっと待って下さい。」

厳蔵は、立ち上がって押入れを開け、仕舞われている布団の奥の下に手を差し入れて小さい布の袋を取り出した。

古いかすり地の布で、昔の着物の端切れで手作りした物入れのようだ。袋の口を幾重にも紐をクルクル回して絞めている。

大事そうに取り出し紐を解いて床に置き、新平の顔を、はにかんだように見て首を竦めた。

「何か大事な物が入っているようですね。」

「あ、これですか、秘密の物です。」

改めて抱きついて来てキスを始める。先程よりは、何かがふっ切れたかのように、ゆったりと舌を絡ませ、唾液をジュルジュル音を立てて吸い込んでくる。

厳蔵の股間に顔を持って行き、既に勃起したチンポを眺める。

新平のチンポは厳蔵の口の中で舌を絡ませられて先走りを音を立てて吸い込まれている。

厳蔵のチンポは特別大きいとは思わなかったが、それは、大きい太腿の根元に根を張ったように茂みから新平を睨みつけ『早く咥えこんでくれ』とビクンビクンと揺れながら言っているようだった。

暫らく尺八していたが、大袈裟とも思えるくらいの厳蔵の喘ぎ声に、新平の次の行為が思いつかない。

このまま、しゃぶり続けられたら、早々に爆発してしまいそうだ。

厳蔵の竿から金玉に移り、小振りだが硬く縮こまった金玉の皺に舌先を沿わせて唾液でヌルヌルにしていく。

ラジエーターの皺々が、睾丸の放熱をやっているのがわかる。これだけ金玉に皺がくっきりしたのは初めてみるようだ。

金玉を持ち上げ、蟻の門渡りに舌を持って行きたいが太腿を閉めるようにくっつけているので顔が入れられない。

抉じ開けるようにして股を開かせたが、それでも太腿が顔を入れようとしているのを拒んでいるようだ。

厳蔵の口から自分のチンポを引き抜き、膝の方に身体を移動させて、重い両太腿を持ち上げ膝を開かせていく。

「あ、ああ、あれ…、そ、そこは、あのお…、あ、ああ。」

今更恥ずかしがることも無いだろうに、厳蔵は、チンポに手を被せて隠そうとしている。それとも、何かを掴んでいないと不安だったのかもしれない。

重い尻を持ち上げてみたが、腿の内側の肉が邪魔して菊座が拝めない。

「ふうー、重い。厳蔵さん、うつ伏せになって尻を上げてください。」

「・・・・・。う、うう。」

まだ恥ずかしそうに、ゆっくり身体を回転させうつ伏せになり、膝を揃えて、おもむろに尻を上げてきた。

まだ、何をされるのか判っていないようだ。それとも、ウブな様子を演技しているのかもしれない。

双丘を両手で押し広げ、やっとの思いで顔を入れていった。

ピンク色の、おちょぼ口をした菊座を期待したが、そこは、濃い褐色で花びらの並びも揃っていなかった。

『なんだ、使い込んでる』そんな第一印象だった。

顔を埋めて、菊座を舐めてやりたいが、鼻で呼吸が出来ない。新平の顔が潰れるかと思うくらい股が開かない。

開いてはいるのだろうが、腿の肉が邪魔をする。

「あっひぃ、あ、ああ、うっをおー。」

何度か舌先が菊座に届いて舐めるたびに、絞め殺されるような悲鳴をあげてくる。

こんな悲鳴を聞くと、新平のチンポもギンギンに勃起してくる。

「厳蔵さん、その布袋の中はゼリーとかは入っていないですか。」

先程の厳蔵が押入れから取り出したときから、そんな感じを持っていたのだが、おずおずと、布袋に手を入れて、水性のゼリーを取り出して渡してくれた。

「このての油性のは持っていないですか。」

センズリかいたりする時は、水性の方が後始末しやすいが、セックスでは、乾きが早いので油性の方が途中で塗り足さなくてすむからだ。

ゴソゴソさせていた厳蔵が、太目のチューブを取り出し、恥ずかしそうに渡してくれた。

その時、布袋から『コットン、カラカラ』と木片が転がり落ちた。

厳蔵が慌てて拾い上げ、布袋に仕舞い込んだ。

『あれ、綺麗にツルツルに磨かれた木製のチンポのハリガタだ』

これを、自分のアナルに入れて遊んでいるのだろうか、そう思ったが、気が付かなかった振りをする。

「おお、さすが準備が良いんですね。」

早速、厳蔵の菊座の周囲に、たっぷり塗りつけ、徐々に中央に近付き、指を押し付けていく。

『ズブッ』と中指が菊門に吸い込まれ、直ぐに2本の指が入って行った。

それでも、しばらく指を出し入れしたり、グリグリ回して、痛がらないか様子を伺う。

「あ、ああ、い、い、いいです。あ、ああ、早く、早く入れてください。ね、ね、お願いします。あ、ああ。」

催促されて、新平は、自分の竿にゼリーを塗り、厳蔵の尻に手を添えて、じわじわとアナルに挿入していく。

「ふっわ、あ、あ、お、おお、兄さん、あ、ああ、良いです。」

直ぐに始めた抽送に、厳蔵は、悶え狂うように反応してきた。

新平としては、何か大きな岩に穴を開けて、そこで抽送しているかのような感覚さえある。とにかくでっかい尻だ。

「あ、ああ、い、いいです、あ、ああ、いきそう、あ、ああ。」

ちょっと早すぎるようだが、遅れないように、新平も足を広げて突っ張り抽送を早めて集中していく。

だが、どうしても竿全体が気持ちよくなるところまで挿入できていないため、なかなか気がいかない。

「厳蔵さん、正上位に変りたいんだけど。」

「はい、あ、ああ、このまま上向きにかわります。」

すんなり正上位に変えることができたが、厳蔵の足を肩に担いでいては、重たくって、抽送がぎこちない。

「ごめん、両足を膝の下から抱え込んで上げててくれますか。」

あまり注文を付けた事の無い新平だが、初めての重量級だもんで、色々と要望をだしたくなる。

「ふ、ふん、ふ、ふ、あ、ああ、いきそうです。あ、ああ。」

『何だ、トコロテン?』

そう思ったが、抽送を一休みして、手を伸ばして、厳蔵のチンポを掴み扱いてやる。

異常に多い先走りで、厳蔵のチンポは、ベトベトに濡れていた。

「あ、ああ、来た、来た、あ、ああ、射きます、あ、ああ。」

厳蔵の精液も半端な量ではなかったようた。新平の胸まで吹き上げてくる。

新平が、握っている竿からは、ドックン、ドックンと尿道が長い間脈打っていた。

抽送を忘れて手に伝わる脈打つ竿を握っていたが、我に戻って、『グッチャ、グッチャ』と腰を打ちつけていった。

厳蔵のアナルが、面白いように気持ち良く絞め付けてくる。

その締め付けに、抽送が出来なくなるくらいだった。

「あ、あ、あ、来た、来た、い、い、あ、ああ。」

最後は、厳蔵の腹の上に出してやる心算だったが、引き抜く前に気がいってしまい、直腸内に思いっきり打ち付けてしまった。

射精後の新平は、厳蔵の胸に抱きついて余韻を楽しんだ。

そのまま、二人は板張りの床に崩れ落ち、並んで天井向いて寝転んでしまう。

厳蔵が手拭で新平の汗ばんだ身体を拭きにきた。その手を引き寄せ抱きついて唇を合わせにいく。

「兄さん、思いがけない体験でした。有難う御座いました。」

厳蔵は、本当に初体験だったのか、涙目で新平に礼を言ってくる。

勝手口の土間に下りて、ドアーを開ける前に、厳蔵を抱き寄せ長いキスをしてやって別れた。

表に出ると、すっかり日が暮れていた。駐車場に戸畑お爺ちゃんの車が無かったが新平と厳蔵が絡んでいる頃帰ったのだろう。

だとすると、あの部屋の横を通った筈だから、気付いたことだろう。

薄明かりの庭園灯に浮かんだ境内の玉砂利を歩いて、石段下の車に戻る。

買い物帰りだったことを思い出し、苦笑いしながら運転席に乗り込んだが、ワイパーに紙切れが挿んであるのに気づき、駐車禁止の張り紙でも無いようだがと不審に思いながらも車を降りて走り書きされた紙切れを取り外し車に戻る。

ルームライトを点けて、走り書きされた文字を読む。

『ゆっくり飲みにでも誘ってください。安全運転で帰ってくださいね。』

宛名も、差出人の名前も無い、それだけの走り書きだったが、新平は、顔を赤くして車のエンジンを掛けた。

帰りは、峠を越えて、綺麗な松林がある海岸線を走らせる。

新平は、走り書きされた紙切れを、運転しながら何度も何度も読み返し、心ウキウキで渋滞の都市高速を走らせた。

ニッコリ微笑んだ優しい戸畑お爺ちゃんの顔が思い浮かんでくる。

(つづく)

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(本作品は源次郎さんのブログ「お爺ちゃん達のときめき物語」(http://sinpei53.at.webry.info/)に掲載されたものを、源次郎さんのご了解を得て、転載させて頂いたものです。)

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