上野新平シリーズ(第65話):海釣り公園のお爺ちゃん(1) By源次郎


(1)

海岸の岩場から、急な傾斜の山がそびえている。

その山が穏やかな湾を取り囲むようになってスリ鉢の底のようになった場所に海釣り公園がある。

湾の入り口には、東西から防波堤が突き出ていて、外洋の荒波を鎮めているようだ。

ここの湾に一旦迷い込んだ魚は、出口を探すのが大変ではないだろうか。

しかし第三セクターで運営されている海釣り公園としては幸いなことだろう。

時間帯によっては『入れ食い』状態で釣り人に人気があるとのうわさを聞いている。

岬に通じる整備された国道を走り峠を越えた所から、この穏やかな湾の海釣り公園が一望出来る。

岸から湾の中央に歩道橋が突き出すように作られ、先の展望所のようなところから螺旋階段で海面に浮かべた長い浮き桟橋に降りられるようになっている。

この歩道橋の下の浮き桟橋が釣り場になっていて、多いときは、100人を超える釣り客で賑わっている。

上野新平(53)は、最近この釣り場の存在を知ったのだが、岬に建設されているホテルの現場への行き帰りに通るだけで、わざわざ立ち寄ることも無かった。

『キュウー、キ、キキッ!』

突然、海釣り公園用の駐車場から釣り客数人が飛び出して来て横断歩道を渡り始めた。

海釣り公園の入り口になっている管理人事務所から国道を挟んで駐車場があるのだが、そこから釣場に急いでいたようだ。

慌てて急ブレーキで回避できたが、歩行者が新平を睨みつけるようにして歩いて行くのには少なからず腹が立つ。

それでも気を取り直して、エンストしたエンジンを起動させている所に、帽子を脱いで頭を下げている老人が海釣り公園入り口前の横断歩道の端にいるのに気が付いた。

エンジンを掛け、車を少し前に出し、横断歩道を過ぎたところで停車させる。

何度かココを通過するときに、海釣り公園の入場料を受け取る窓口に座っている老人だとわかった。

新平は、軽く頷いて発進させようとしていたが、その老人が通過する車に手を挙げて停車させ小走りで駆け寄って来ている。

ウインドウガラスを下げて待ってみた。

「兄ちゃん、ごめんな。ああして自分のことしか考えないのが居るんだ。釣り場の良い所に早く場所を確保したくって慌てているんだがな。」

「ああ、そうでしたか、その気持ちは判りますが、ちょっと慌てました。でも接触しなくって良かったですよ、お互い注意して貰いたいですね。」

「うん、一旦立ち止まって注意するように書いた看板も立てているんだが、読んでいるんだろうが守ってくれないんだ。それに、ココは車が少ないので、通過する車も両方とも下りだから結構スピード出しているから危ないんだ。」

「横断歩道が見えていましたからスピードは落としていたんですが、以前にもヒヤッとさせられたので注意はしていましたので、では。」

老人は、発進させようとしている新平の車のウインドウに手を掛けていて離れようとしない、その間も数台の車が新平の車を追い越して行く。

「あのぉ、まだ何か…。」

追い越していく車が通過するたびに、新平の車のドアーに腰を押し付けるようにして車を避け、何か言いたいようである。

「兄ちゃんは、岬のホテル建設現場に行くんだろ。」

「あ、そうです。あれ、どうしてご存知だったのですか。」

「うん、以前・・・。」

言いかけて、傍を追い越していく車が気になるらしい、新平の車のドアーに腰を押し付けている。

「危ないですから、左側に来て下さい。」

どうして、新平がホテルの建設現場に向かっているのを知っているのか気になって来て、老人を助手席側のドアーを開けて乗り込んでもらう。

新平の車の前をチョコチョコ小走りで横切って乗り込んできた。

「よいしょっと、皆スピード出すから危ないんだよな。」

「そうですね、ここは、両方から下り坂ですから、結構スピードが出ていますね。それで、小父さんは、私がホテルの建設現場に行くのを、どうしてご存知なんですか。」

「あはははっ、そうだったな。話しの途中でも何を話していたのか忘れるんだよな。」

見たところ70歳前後だろうか、話を聞いているとなかなか素敵なお爺ちゃんだ。

近くで良く見ると新平の好みのお爺ちゃんだったと気になって来ている。

5分刈りの白髪交じりの頭髪、顔髭も綺麗に剃っていて、それも白髪が多いようである。

真っ黒に日焼けした顔だ、喋るとき真っ白い丈夫そうな歯をみせる。

ニッコリ笑うと、上の前歯に、キラッと銀色の差し歯を一本光らせている。

今日の新平は、会社の軽トラックを運転してきていたのだが、乗り込んできたお爺ちゃんが、必要以上に近付きすぎているように思える。

ベンチシートだから、助手席と運転席の区別の堺が無いので、無意識なのか新平の膝に触れて来ている。

「ホテルの地鎮祭に出席してただろう。」

「ああ、先月ですね。関連した建設業者の一員として最後部に座っていましたが、お爺ちゃんも出席していたんですか。」

「うん、付き合いでな、仕方なく出席していた。その時に兄さんの顔を覚えていたんだ。」

「こんな平凡な顔をですか、それは恐れ入ります。お付き合いって、あのホテルの関係者だったのですか。」

「あっはっはっ、関係者じゃ無いんだが、近所だったから迷惑かけますっての挨拶代わりの招待だったんだろうな。お神酒と祝いの弁当もらったよ。」

「そうでしたか、気付きませんでした。あの時は、代議士まで来てて護衛が大変だったようでしたね。」

「あれこそ迷惑なんだがな、色々しがらみがあったんだろうな。影で動いていたようだから。」

「ふぅーん、そうですか。私達には関係無いので、そんな上層部での動きなんか判りませんからね。えっと、何かご用だったのではないですか。」

「あっはっはっ、またまた余計な話をしてしまったようだ。ところで、兄さん、今日は何時ごろ帰宅されるんじゃろか。」

「はぁ? 帰宅ですか、ここを通るのは午後4時過ぎ頃かなぁ、どうかしましたか。」

「そうか、そんじゃ帰りに声掛けてくれ。魚は嫌いかな。」

「いいえ、嫌いなことはありません。普通に食べますけど。ひょっとして頂けるんですか。」

「ああ、少しだけどな。暇に任せて釣ってるから持って帰ってくれ。時間取らせてしまった、すまんな。では待ってるからな。」

「時間は良いのですが、貰って良いのですか。」

「ああ、遠慮要らんから、じゃあな、お疲れさん。いってらっしゃい。」

不思議なお爺ちゃんだ、急に声掛けて来てて、さっさと車を降りて小走りで海釣り公園の管理所に戻ってしまった。

どうして、魚なんかをくれるんだろう。急ブレーキ掛けて止まってやったから謝罪のつもりだろうか。

それにしても、地味な存在で列席していた地鎮祭の際に見かけて顔まで覚えられていたとは恐れ入る。

ひょっとして、お仲間さんだろうか。だったら、この上なく幸いなことだ。

見た目も元気な様子だし、身なりも清潔そうな洋服だった。

顔も、体つきも、喋りや笑顔も全て新平が思っている好みのお爺ちゃん像に合格なんだが、そうそう出会えるものじゃないから期待してガッカリしたくないので忘れることにしよう。

それでも、何となく気になってしまう。帰りに、わざわざ魚を持たせてやると言っていた。

海釣り公園から再び上り坂をアクセルいっぱい踏み込んで上り、峠に差し掛かるまでバックミラーで、気になるお爺ちゃんが表に出て来ないかと後ろを見ながら走った。

峠を越えて半農半漁の集落がある海岸線まで出て来た。

護岸が作られたコンクリート壁には「ホテル建設反対」と書かれたポスターが、あっちこっちに剥がれたりしたのが見える。

雨ざらしになって、殆どが破れていて、潮風にあおられるようにバサバサ音を立てている。

それが、なんとなく願いが叶わなかった結果に対する最後の抵抗にも見えてくる。

今まで何度か通ったが、あまり気にしていなかったポスターだ。

国道から脇道に入り、海岸から数キロ入ったところの山を削り取った傾斜地にホテル建設現場がある。

短期滞在型のリゾートホテルが計画され、アスレチック公園やテニスコートなども併設されるよていになっている。

また、将来は、西側にプライベートビーチまで計画されているらしく、それが付近住民から反対されている要因になっているらしい。

緑の山の中に、不似合いな赤い鉄骨が6階まで組み上げられ、間もなくコンクリート打接が行われようとしている。

周囲には、ダンプカーやショベルカー等のエンジン音が喧しく鳴り響き、静かだった漁村の集落も迷惑なことだろう。

変りばえしない工程会議中も、海釣り公園の老人の顔を思い浮かべ、時々チンポを硬くさせていた。

海釣り公園の老人が、どうしても気になって仕方無い。

副主任に、後を任せて早めに現場事務所を後にする。

先月の地鎮祭には、代議士の警備員を含めて200人位の雑踏の中で、新平の顔を憶えていたことも不思議だが、帰りに魚を持たせると言ってくれたのも、気になっていた。

「な、なな、新平。早く、早く入れてくれ、な、なな、早くチンポを、ワシのケツに入れてくれ。もう駄目だ、待てない、あ、ああ。」

シックスナインで、この釣堀公園の田川萬蔵と言うお爺ちゃんのチンポを咥えながら新平は『ふっ』と我に返った。

工程会議の帰り道、約束していた時間より早かったが、それでも待ちくたびれたようにしていた田川萬蔵お爺ちゃんにクーラーボックスに釣りたての魚と氷を詰めたのを渡された。

パートで働いているらしく、勤務時間は、とっくに済ませて釣堀で時間を過ごし、それでも早く目的の量が釣れたので待ってくれていた。

「こんなに沢山の魚、食べきれませんよ。一人住まいですから。」

「なに、一人住まいって単身赴任だったか。そんじゃ塩してもいいし、それでも余ったら近所に分けてやったらいいじゃろ、結構油がのった太った良い魚なんだ、その辺の市場では、お目にかからないだろう。」

田川お爺ちゃんに、押し付けられるようにして頂戴することにした。

「あ、バスが来た。クーラーボックスは、序での時でええから、受付に預けててくれ、急ぐから、またな。」

峠を越えたバスが、坂道を下って来ている。

「あ、お爺ちゃん。私が送りますから乗って下さい。岬まででしょう。」

「でも、兄さん、会社に帰るんだろ。岬は戻らないといけないんだぞ。」

「判っていますよ、今、岬の現場から来たんですから。」

「ええのか、悪いな。無駄な時間取らせるが、遠慮なく送ってもらおうか。規制緩和とかいってな、バスの回数も減ってしまったうえに、路線統合だとか言って山の上まで遠回りするんだ。」

そうした会話の後、とうとう田川お爺ちゃんの一人住まいの家まで送ってきてしまった。

時間も早かったので勧められるまま風呂に入って、湯上りのビールまで飲んでしまう。

ココに向かう車の中で簡単な自己紹介したり、お互いが一人住まいの淋しさなどを語り合っていたこともあり、双方から慰めあう形で抱き合ってしまった。

帰りの車の運転もあったから、決して酒の力でと言うほどは飲んでいなかったのだが、お爺ちゃんの強い誘惑でもなかったし、成り行きだったのか、弾みでもあったのだろう。

「お爺ちゃん、入れてって言われても・・・、ご免なさい、出来ません。」

カマトトぶる訳では無かったが、何となく気が進まなかった。

それに、持ち歩いているゼリーなどを入れているポセットも今日は会社に置いて来ていた。

悶えているお爺ちゃんの身体を起こし、抱きつき唇を付けていく。

「あ、ああ、お、おお、新平。あ、ああ、入れて欲しかった。でもわかったから謝らなくってもいいから。あ、ああ。」

新平に抱かれたお爺ちゃんが、身体を震わせながら、口に吸い付き舌を絡ませてくる。

大きく口を抉じ開けられ、自分の口を中に入れ、新平の舌をぎゅうぎゅう絞め付ける。

舌を巻き込み吸い取られそうだ。文字通り痺れるような濃厚な口付けだ。

「ご免ね、まだまだココに来る機会が多いから、私も色々勉強しますから今日はこれで我慢してください。」

いきり立った赤黒いお爺ちゃんのチンポを唾液を垂らして、再び尺八する。腰を持ち上げて新平の頭を両手で掴んで来た。

ゆっくりと手で扱いていると、小刻みに腰を上下させ、喘ぎながら、くねくねと、身体を震わせ始めた。

「あう、あう、あうあう、い、い、いく、新平、出るぞ。」

2発3発と、竿の先から垂直に飛び出していく精液を、身体を避けて畳みの上にべっとり落ちていくのを見ていた。

「うんうん、悪かったな、あ、ああ、新平。あ、ああ。良かった。あ、ああ、まだ身体が震えている。あ、ああ。」

お爺ちゃんが、涙声で言ってくる。ちょっと可哀想な気もしたが、今日の新平は何故かアナルセックスまでは出来なかった。

今までだって、初めて出会ったお爺ちゃんとは、そこまでの関係を持ったことが無かったように思う。

ディープキッスをしていて、お爺ちゃんが急に身体を離し、再び新平の股間に顔を埋めてチンポを咥えに来た。

「あ、ああ、お爺ちゃん。あ、ああ、気持ち良い、あ、ああ。」

上手い舌使いのお爺ちゃんの尺八に、溜まらず新平は、上向きに寝転んで、股間のお爺ちゃんの頭を掴み腰を上下していた。

「そうか、気持ちええか、うんうん、たっぷり出して飲ませてくれ。」

「あ、ああ、お爺ちゃん、飲ませてって、あ、ああ、そんな、あ、あう、あう、あ、ああ。」

「いいから、たっぷり出してくれ。」

「ふあ、ふあ、あ、ああ、お爺ちゃん、で、出ます、あ、ああ、口を離して、あ、ああ、出る、出る、出ますから、あ、ああ。」

突っ張った足が震えだし、太腿の内側から金玉の裏側に痺れが走り、尻の穴がきゅーんと絞まった感じがし、目の前が真っ白になって尿道が膨らみ射精が始まった。

「あふ、あふ、あ、ああ、お爺ちゃん、あ、ああ。」

田川お爺ちゃんは『ごっくん、ごっくん』と喉を鳴らして、新平の精液を一滴も溢さないぞとの思いで、残らず飲み込んでいる。

「あ、ああ、お爺ちゃん、有難う。飲んでしまったんですか。」

「うん、新平の汁は多いなぁ、でも美味かった。良かったか。」

「はい、何時に無く最高に気持ち良く射かせてもらいました。私も久し振りでしたから。」

「そうか、うんうん、気持ち良かったか。うんうん。」

何に納得しているのか、ニコニコした笑顔で何度も頷いて、脱ぎ捨てていた自分の褌で口を拭いて唇を求めてくる。

そんなお爺ちゃんをしっかり抱き締め、舌を絡ませ頭を撫でてやる。

「あ、ああ、新平の肌の温もりはええなぁ、あ、ああ、このまま一緒に抱き合って寝たいな。泊まって行かんか。」

「うん、そうしたいけど、明日も勤務だし。第一、会社の車だから、車庫の決められた場所に戻さないといけないんです。」

「ああ、そうだよな、残念だが仕方ないな。」

「お爺ちゃん、ご免ね。又ゆっくり来ますから。」

「本当か、来てくれるか、約束だぞ。」

「はい、約束します。だから今日は、アルコールが抜けたら帰らせてもらいます。ご免なさい。」

「うん、約束してくれて有難う。それと何度も御免なさいって言わなくてええから。」

「あっはっはっ、ご免なさいは癖なんです。」

「何、癖だって、だったら謝っていないのか。」

「お爺ちゃん、そんな…、絡まないでよ。」

「あっはっはっはっ、すまんすまん、からかってみたかったんだ。」

悪戯っぽく笑う田川お爺ちゃんを玄関に降りて靴を履いてから一緒に土間に降りていた身体を引き寄せキスをして別れた。

(2)

出勤前に玄関の表のゴミを掃いていると、善吉お爺ちゃんが垣根越しに声を掛けてくる。

「新平。そんなコトは、後でワシがやっとくから、早く会社に行かんと遅刻するぞ。」

「ああ、お爺ちゃん。おはよう御座います。どうしてこんなに散らかるんでしょうね。」

「そうだよな、あれ門扉の上に空き缶まで置いてあるじゃないか。」

「夜に、置いていくんでしょうね。お爺ちゃん、それじゃ後お願いしますね。行って来ます。」

「うん、車に気を付けるんだぞ。」

「お爺ちゃん、子供じゃないんだから。」

「子供みたいなモンだ、あっはっはっ。」

「あ、それから、昼間晴れてたら布団干しといてくれますか。なんか湿っぽい感じがして、布団が冷たいんです。」

「わかった、わかった。さあさあ、遅刻するぞ。」

「すみません、行って来ます。お願いしますね。裏口の暗証番号は忘れていないでしょうね。」

「大丈夫だ、間違って開かなかったらぶち壊せば済むことだ。あっはっはっ、心配しないで、早く行きなさい。」

「壊すだなんて、取り替えたばかりですからお願いしますよ。」

言い残して、駅に急いだ。追い越していく人も、通り過ぎる人も、眠たそうに欠伸をしたり、顔を両手で擦ったりしながらも急ぎ足で歩いている。

駅の混雑は、何時もの通りだ。フレックスタイムとかが採用された会社も多くなったらしいが、朝と夕方の混雑と満員電車は改善されていないようだ。

朝一番の部署ごとの朝礼が終わり全員で「今日も一日、ご安全に!」と声を合わせて一日が始まる。

「上野さん、ちょっと良いですか。」

自分の机に向かっている背後から、先程まで社会の経済状態だの作業の安全性が業務成績を上げる第一条件だのと演説していた部長に呼び止められた。

この部長は、同期の入社であったが「現場を離れたくない」との理由で昇進を断わっている新平の代わりに部長になったようなものだ、そのため他の社員には「君」付けで呼ぶが新平にだけは「さん」付けで呼んでくる。

「はあ、部長。何かご用でしたか。」

他の社員の手前、名前を君付けと呼ぶわけもいけないので、社内では部長と呼んでいる。

「ちょっと応接室まで良いでしょうか。」

遠慮深げに聞いてくる部長が可哀想でもあるが、彼の性格のようだ。

「はい、すぐ行きます。」

わざわざ自分でインスタントコーヒーを二杯入れて新平が座って待っているテーブルに置いた。

両手に親指と人差し指でカップの取っ手を掴んでいるのだが、小指を立てている仕草が気になる。

「部長、気を使わないで下さい。それとも肩叩きとか言い出すのじゃないでしょうね。」

「あっはっはっ、上野君には参るな。二人で居るときは君で良いだろう。」

「そんな訳には行きません。作業安全も、社内秩序も同じですから。」

「まあ、それは置いといて、物件を沢山持っているけど、少しは副主任に任せて楽に行ったらどうだろう。」

「そんなに大変でも無いですが、これ以上の物件があったら、そうしないと工事進捗に影響が出ると不味いですよね。」

そうした雑談を含めて三十分ほど時間を取られてしまった。

要は、以前やっていた上得意先のメンテナンスを少し復活させてやってくれとのことだった。

最近、小口の得意先メンテナンスで、クレームが付くようになったとのことだが、小規模の修理工事だからと言って現場技術が未熟な若いのを回していたのが原因だった。

何年か前までは、気楽に小口工事を廻っていたのだが、ついつい大型工事ばかりをやらされていたので新平自身も忘れていた。

これだと、個別に得意先と直接会話が出来るし、上手く行ったら素敵なお爺ちゃんにも逢える機会が増えるだろう。

他の建設会社との進捗状況を把握しながら、あくせくしなくて済む。新平にとっては有り難い事だ。

しかしよくよく考えたら、これって左遷そのもののようにも思えるのだが、新平は気にならなかった。

次長も課長も、新平より後輩だし、仕事の指図もやり難いのは確かだろう。

新平は、机に戻り、パソコンに行き先の現場を三箇所ほど打ち込んで軽トラックで出掛けて来た。

一週間ぶりに岬のホテル現場での工程会議出席予定だが、途中で携帯で電話して副主任に代理出席を頼むことにした。

建設現場に登る道から脇道に入り、田川お爺ちゃんの家に直行する。

お爺ちゃんが屋根に上っているのが見える。

時間は約束出来ないが、午前中には行けるからと電話していたから大人しく待っていてくれるかと思ったが、何をしているのだろう。

屋根の上のお爺ちゃんは逆光線で良く見え無かったが、梯子を屋根に立て掛けアクロバットさながらの格好で身体を梯子から乗り出している。

雨樋の修理でもやっているのだろう。

クラクションでは付近に気付かれるので、お爺ちゃんの家に近付いてライトでパッシングしてみる。

それに気付いたお爺ちゃんが、手を振って答えてくれた。

玄関前に車を止めて待っていると、伸縮するアルミの梯子を肩に担いで近付いて来る。

「お爺ちゃん、おはよう御座います。何していたんですか。」

「うん、ちょっとな。雨樋がな。」

挨拶を返すことも無く、言葉少なに玄関横に梯子を立て掛け、先に玄関に入り振り返って新平を手招きしている。

『何だか無愛想な歓迎だな』

そう思いながらセカンドバックを手に車を降りて玄関に入って行った。

広い玄関土間があり左右に色々な植木鉢があり下駄箱の上には、百年以上と思われる枝振りの良い五葉の松が植えられた鉢が載っている。

「そこ閉めてくれ。」

先に玄関から上がっていたお爺ちゃんが、新平に玄関の戸を閉めるよう言ってくる。

相変わらず無愛想な言い方だ。なんだろう、場合によっては、何も無しで帰ろうかとも思った。

「鍵は掛けなくっていいんですか。う、うう、そんな、あ、ああ、突然に、あ、あう、ちょっと待って下さい。」

「待ちきれなかったんだ。」

玄関の土間に裸足で飛び降りて、玄関戸を閉めている新平の背中から抱きつき唇を突き出してくる。

今までの無愛想な態度は、テレていたのだろう、ちょっと涙声にも聞こえる。

一人暮らしのお爺ちゃんだから待ち遠しかったのは判る気がしてくる。

「ここだと外から陰が映りますよ。部屋に入りましょう。」

「誰も来ない、見られても良いんだ。新平、死ぬほど待ち遠しかったんだ。」

『ちゅっちゅ、ちゅっちゅ』

唇を合わせながら、忙しく話しかけてくる。

「昨夜、電話して今日伺いますって言ってたでしょう。」

「でも、時間がハッキリしなかったし。」

「だから午前中にはって言ってた、あ、ああ、でしょう。」

「うん、判ってた。でも、夕べから嬉しくって眠られなかったんだ。あう、あう、あ、ああ、新平。」

何とか落ち付かせて、居間に上がらせてもらい上着を脱ぐ。

その間も、新平の首に巻き付けた両腕を離してくれない。

「お爺ちゃん、先に風呂に入りましょう。沸かしているんでしょう。」

「ああ、今朝五時から湯を張っていた。自動で追い炊きしてくれるから冷めていない。」

「あれあれ、五時からだなんて、せっかちなんですね。あっはっはっ。」

「そうだ、生まれる前からせっかちなんだ。なにせ、予定日の一ヶ月前に生まれてきたって笑われてたくらいだからな。」

「そうですか、それにしては、まだ洋服脱いでいないんですか。」

素っ裸になった新平が、脱いだ服を居間の壁に掛けながら、お爺ちゃんに催促する。

「あ、ほんとだ、オレとしたことが遅れをとったな、あっはっはっ、新平の裸に見とれてしまってた。」

広めに作ってある風呂場に入ると、浴槽に蓋が乗せていないため湯気が浴室一杯にモクモクと立ちこみ、浴槽からは、ゆらゆらと湯気が立ち上っていて、温泉に入る気分だ。

「わ、お爺ちゃん。凄い体ですね、じっくり見せてください。」

真っ裸で入って来た田川お爺ちゃんの引き締まった日焼けした身体を見て感歎する。

盛り上がった胸、硬そうな腹筋、くびれた腰、その腰の位置も老人にしては高い位置で黒人に見かけるような上付きの尻だ。

それより新平にとって、もっともっと気に入ったことがある。褐色の身体に、腰から股間部に残る真っ白い六尺褌の締めあとだ。

それが、くっきりと浮き出ていてかぶり付きたくなる色気というのか、例えようの無いフェロモンを発している。

「そんなに見られると照れるな、真面目に船乗りしてた頃に作った筋肉だ。大分衰えてしまったけどな。」

「いっやぁ、驚きました。実に良い身体です、改めて惚れ直しました。」

「あっはっはっはっ、気に入ってくれて有難う。」

お爺ちゃんと新平の身体を簡単にシャワーで流し合い、抱き合っで唇を付けたままで浴槽に浸かる。

「あ、ああ、新平。あ、ああ、長生きできる。」

「長生きだなんて、お爺ちゃんは幾つですか。」

「今年、75歳になった。婆さんは70でな、誕生日が同じ日なんだ。」

「え、奥さんって、お元気なんですか。」

「ああ、まだまだ元気でな、港から見える島があるだろ、あそこに婆さんの両親が住んでいるんだ。ボケているが元気で困っている。そんで、看病で渡っているんだ。」

「それは大変ですね。長いんですか。」

「三年くらいになるかな、最初は週一で迎いに行って、帰ってきてもらってたたが近頃は洗濯も料理も自分で出来るから、向こうに行かせたっきりだ。」

「そうだったのですか、てっきり一人住まいと思っていました。」

「一人住まいと変わらないんだ、気楽でな。それより、新平、浴槽の縁に腰掛けてくれ。」

言われるまま、立ち上がって浴槽の縁に腰掛ける。浴槽の中で、しっかりチンポ掴まれて扱かれていたので、臍にくっ付きそうに上向きに勃起している。

お爺ちゃんは、浴槽に浸かったまま新平の足元に来て、天井向いたチンポに頬擦りした後しゃぶり出した。

「あ、ああ、お爺ちゃん。気持ち良い。あ、ああ、うっまいなぁ。」

身体を支える場所が無かったので、お爺ちゃんの頭を両手で掴んで天井を仰ぐ

「あ、ああ、それ以上は、あ、ああ。」

新平が爆発しそうになったのを知って、お爺ちゃんは浴槽から立ち上がり、新平の股間に座って来た。

お爺ちゃんの足は洗い場に垂らし、左腕で抱きつき尻を持ち上げ、右手を新平の竿を掴みグリグリさせ自分の菊座を探している。

新平の竿の先が少し入ったところで、お爺ちゃんの金玉が新平の腹が邪魔しているらしく、自分の金玉を掌で包み込み持ち上げて玉の位置を直している。

「うっほぉ、あ、あう、あう、あ、ああ、いたた、あ、ああ。」

ジワジワと腰を降ろしたり、持ち上げたりを何度か繰り返し、納まりが納得できたところで、新平の竿を根元まで呑みこんでしまった。

互いの腹が邪魔になって、お爺ちゃんは身体を反らせて両手で新平の上腕にしがみ付いている。

「あ、ああ、やっと入れてくれた、あ、ああ、いいなぁ。」

「お爺ちゃん、痛かったでしょう。無理しなくって良いのに。」

「大して痛いことは無い。その痛みも快感の内だ。あ、ああ。」

お爺ちゃんは、腰を上下させて軽く抽送を繰り返していたが、それも数回だけで、納まりが納得したのだろうか、そのままべったり座り込んでしまった。

新平も、互いの腹が邪魔で不安定だったが、身体を反らしあって、お爺ちゃんの硬い二の腕を掴み組体操の要領でバランスをとる。

田川お爺ちゃんのケツマンコは、今までと一味違う何かを感じさせる。

『みみず千匹』と言う言葉を聞いたことがあったが、このことだろうか。

ゼリーを塗ってもいない、ただお爺ちゃんの唾液で湿らせ挿入しただけで、腰を上下させたりすることも少ない。

新平のチンポを入れたまま、時々、腰を動かして座りなおすくらいのことであったが、中は温かく、ヌルヌルしていて、なにやらうごめいているようで、竿全体を包み込んでズキンズキンと絞め付けている。

また思い出したように菊門を、程好く絞め付けチンポの中に充満した血液が流れ出さないようにしてくれている。

ギンギンのチンポは、何時までも衰えることなくいきり立ったままで、お爺ちゃんの尻穴に突き刺さっていた。

時々、身体を起こして新平に近付き唇を吸いに来る。腹が押し付けられて苦しいので、長いキッスが出来ない。

「ね、お爺ちゃん。」

お爺ちゃんが、ちょっと唇を離したときに声を掛けてみた。

「あ、ああ、新平、なんだ、あ、ああ。」

「このままで、腰を動かされたら射ってしまいます。風呂から出ましょう。」

「ああ、オレは、此の侭でもええんだが、それでは新平は満足しないかもしれないな。判った、布団にいってやり直そう。あ、ああ、ちょっと待ってくれ、あ、ああ。」

新平の臍の周囲が生暖かく感じ出した。

「あ、あれ、お爺ちゃん。」

「すまん、後で洗い流してやるから、あ、ああ。」

どうしたことだろう、お爺ちゃんはケツに新平の竿を突き刺したままで、小便を始めてしまった。

新平の腹部に押し付けているお爺ちゃんの上向きのチンポが金玉を座布団に乗せた格好で鎮座している。

そのチンポの先から故障した噴水のノズルから水漏れするように、ジョロジョロと小便がこぼれ出ている。

独特の、赤ん坊のオムツの臭いを思い出すような臭さが、股間から這い登って鼻を刺激する。

生暖かい股間の感触が、たとえようも無く不思議な感じがする。

自分がお漏らししているように、お爺ちゃんの生温い小便が鼠頚部から金玉を伝って浴槽に垂れていく。

お爺ちゃんは、小便が済んだのか、じわじわと腰を持ち上げ、新平のチンポを引き抜き、汚れた竿と腰まわりにシャワーの湯を掛けて洗ってくれた。

「あ、ああ、お爺ちゃん。有難う、ちょっと身体もシャワー掛けますから。」

「うん、そうだな身体が冷えてしまっただろう。済まんな、時々こんなコトがあるんだ。吃驚しただろう。」

「あはははっ、大丈夫ですが、どうしたんでしょうね。」

「うん、射精感みたいなのがあって、代わりに小便漏らすんだ。でもな、それもまた気持ちが良いんだ。」

「そうですか、気持ちが良いんだったら構わないでしょう。でも、お布団の上だったら困りますね。」

「ああ、それは無いんだがな、浴室で、ハリガタ使ってセンズリかく時に時々やるんだ、そんで風呂から上がって改めてセンズリかくと、当たり前に射精するんだ。」

なんとも不思議だが、病気でも無さそうだし前立腺に刺激があると尿道と精管の切り替えが間違うのだろうか。

洗い場に立ってシャワーカランを開くと、屋外に置いている石油ボイラーが『ボンッ』と音を出し着火し『ゴーゴー』とボイラーの音が聞こえる。

「あれ、プロパンガスじゃ無いんですね。」

「ああ、石油は音がデカイが経済的なんだ。」

風呂から上がり、居間から廊下に出て、和室12畳の部屋を二間が開放された所を素っ裸で歩くのはチョット恥ずかしい。

縁側には、ダブルになったカーテンが引いてあり、綺麗に片付けられた部屋は、一人住まいのお爺ちゃんにしては感心させられる。

奥の部屋には大きな金ピカの扉が閉められた仏壇が中央にあり、右側が床の間に成っていて、名のある人だろうか重厚な水墨画の掛け軸がさげられている。

そんな和室には不似合いな布団が一組敷いてあり、天井には、これも大きな照明器具が4灯下げられている。

脱衣場で簡単に拭き取っていた頭の水滴を、和室に入ってからバスタオルで拭き直しているとき、居間に掛けていた新平の服に入れている携帯電話が鳴り出した。

「なんだろう、建設現場でトラブルでもあったのかな。」

居間の壁に下げていた洋服を取りに行くと、お爺ちゃんが冷蔵庫から冷やしたお茶を取り出してコップに注いでくれていた。

「ちょっと一口飲ませてください。」

頭から被っていたバスタオルを腰に巻き付け、携帯電話を片手に催促するように食卓に置かれたコップを取り上げて一口飲んでから受信ボタンを押す。

田川お爺ちゃんが、心配した顔で見てくる。身体を拭いていたバスタオルを肩に乗せ下半身は裸のままだ。

白髪混じりの茂みの中から、黒々としたチンポをぶらぶら覗かせている。

『大丈夫ですから』とのメッセージ代わりにウインクして、コップを置いて、親指と人差し指で輪っかを作って見せる。

携帯電話には、ホテル建設現場の副主任の番号が表示されている。

「上野だ、どうした。」

「あ、主任。今ドコに居ますか。」

「何処って、どうしたんだ。」

「港近くの田川さんの所ですか。」

「ああ、そうだ、でもどうして田川さんの家に居るって知っているんだ。」

平常心で答えた心算だったが、声が震えているのが自分でも判った。どうして自分がココに来ているのがバレているのだろう。

先ず考えられることは、副主任が、新平の車の後を走ってきて田川お爺ちゃんの家に入ったのを見られてしまったのだろう。

しかし、たとえそうだったとしても、副主任が、わざわざ電話してくることも無いだろうし、後ろから走ってきていたのだったらパッシングかクラクションでもして挨拶して来きそうなものだ。

色々と、目まぐるしく考えをまとめていたが納得出来ない。

「おい、受信状態が悪いから、此方らから掛け直すから待っててくれ。」

慌てても居たが、声も、電話を持っている手も震えていた。

食卓の椅子に座って心配そうに見ているお爺ちゃんが、建設現場で『ホモのお爺ちゃん』だと知られているのだろうか。

新平は、大きく深呼吸して、お爺ちゃんの正面の椅子に座って顔を覗き込む。

お爺ちゃんも、自分が関係した何事かが起こったと思ったらしい。すまなさそうな顔で、新平を見てくる。

一瞬だが沈黙して見詰め合っている二人には、庭先に飼って居る鶏が数羽エサをつついているのだろう『コッコッコッ、コッコ』と鳴き声が異様に大きく聞こえてくる。

(つづく)

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カテゴリー: 上野新平シリーズ, 作者:源次郎 パーマリンク

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