上野新平シリーズ(第68話):海釣り公園のお爺ちゃん(4) By源次郎


(7)

だいぶ冷え込んで来たようだ。

上野新平(53)は、今日も電車を降りて自宅まで歩くのに風が冷たくてコートの襟を立てて急ぎ足で歩道に出た。

途中、惣菜屋によって、晩御飯のオカズを買おうかと思っていたが、それも面倒になり帰宅して冷蔵庫に入っている有り合わせの野菜でも入れて冷御飯に炊き込んで雑炊にでもして食べることにしようと思い直した。

行き交う人も忙しく急ぎ足で白い息を吐いて通り過ぎて行く。

自宅近くに、名前ばかりの小さい公園があるが、そこのコンクリートベンチに誰か座っているのが見えた。

数日前にも、見かけた人影だったが、然程(さほど)気にもしないで通り過ぎていた。

こんな冷え込んだ夜に散歩の途中でも無いだろうに、そう思って通り過ぎていたが、晩ご飯を済ませて風呂の準備をしようとして、さっきの人影が、何となく気になりだして来た。

あれから一時間余り経っていることだし、まだ座っている訳は無いと思うが、帰宅してコートを脱いだだけだったので、それを着て出掛けて見た。

すっかり暗くなり、ぽつんぽつんと点灯している外灯が一層ひんやりと寒々しく見える。

公園には、以前は砂場もあったが、散歩の犬や猫の糞が衛生的に子供達に悪いからと撤去され、今はブランコが2個と滑り台、それにコンクリートのベンチが東西に有るだけだ。

公園に砂場が無いのは、子供達には淋しいことだろうが、改善したり注意させたりもしないで、住民の苦情があったからと、さっさと撤去してしまった。

これが、典型的なお役所仕事のような腹立ちさえ思える。

その内、ブランコで事故でもあったら、これも無くしてしまうのだろう。

先程ベンチに座っていた人影を探したが見当たらなかった。

寒くなったので帰宅したのだろうか。

ちょっと安心して、序でだから本屋でも覗いてみようと入って来た公園の反対側の入り口から出ようと歩いていたら、そこのベンチに人影があった。

前屈みに腰を曲げ、頭を抱え込んで座っている老人の後姿だ、その様子から見て何か淋しそうな感じを受ける。

「こんばんは、寒くなりましたね。」

新平が声を掛けると、吃驚したのか立ち上がって振り返って見て来た。

「あ、上野さん。散歩ですか。」

驚いたのは、新平の方だった。名前を知っているんだから近所の人だろうとは思うが、直ぐには思い出せなかった。

何処かで聞き覚えのある声だが、暗がりでもあり顔がはっきり見えない。

「え、あ、はい、上野です。今夜は冷え込みますね。寒くないですか。」

そう言いながら老人の顔を確認しようと近付いて行く。

「そうですね、だいぶ冷え込んで来ました。そろそろ帰りましょう。」

「あれ、惣菜屋のお爺ちゃんじゃないですか、臼杵(うすき)さんでしたね。何か落し物でも探しているんですか。」

新平が、時々立ち寄る惣菜屋のお爺ちゃんだ。

駅前通りから路地に入ったトコにある惣菜屋だが、古くからの営業で、評判の良い店だと聞いている。

腰高のショーケースから買い求める惣菜は若いお嫁さんが取り出して渡してくれるが、その後ろのガラス戸の向こうに手拭をバンダナ風に被ったお爺ちゃんが黙々と揚げ物をしている。

その若いお嫁さんが代金を受け取って、惣菜を渡してくれる時、声を合わせて「有難う御座います」と言ってくれる。

たまに顔を上げてニッコリ笑ってもくれる。そのお爺ちゃんの笑顔が好きで余計に買ったりもしていた。

一昨年前に一緒に惣菜作っていた奥さんが亡くなり、その後に息子さんのお嫁さんが店に出るようになったと聞いている。

白髪混じりの短髪で、笑うと少年みたいな綺麗な目で見つめてくる。

何時ものバンダナ風の手拭を被っていないので別人のようだが、声はまぎれも無くあのお爺ちゃんだ。

(何をしているのですか)と聞きたかったが、あまりにも直接的な、責めるような感じがしたので、マト外れな聞き方をしてしまう。

「いいえ、そうではないのですが…。」

言葉を途中で止めて横を向いてしまった。

そのくせ立ち去ろうとする様子でもない。

「お爺ちゃん、私の家は直ぐそこです。ちょっと寄って行きませんか、退屈しているんです。」

その時点で、自分に助平な下心が無かったとは正直言えないが、このまま帰らせたくなかったので、それとなく自宅に誘ってみた。

「ああ、上野さんは、この近くにお住まいだったのですか。折角ですが、黙って出て来たので今夜は帰ります。ご迷惑でしょうから、また寄せて下さい。」

惣菜屋のお爺ちゃんは遠慮して帰ろうとしている。

ズボンの尻のチリを叩いて新平の横を通り抜けようとした。

その時、暗がりに慣れた新平は、このお爺ちゃんの目に涙が光っているように見えた。

「お爺ちゃん、遠慮しないで下さい。退屈していますから迷惑ではないんです。また差し出がましいようですが私に話を聞かせて下さい。」

「え、話って…。」

新平に何かを感じられたと思ったのだろう、黙って顔を見つめてくる。

新平は、このお爺ちゃんを安心させようと、精一杯の笑顔で頷いて見せた。

お爺ちゃんは、安心したのかヨロヨロと、先程まで座っていたベンチに倒れこむように腰を落として頭を抱え込んでしまった。

肩を落とした後姿が淋しそうだ。

(あ、泣いているのかも…)

そう思った新平は、お爺ちゃんに近付き背中を優しく擦ってやった。

「お爺ちゃん、何も話さなくって良いですから、一先ず私の家に行きましょう。今夜は特に冷え込むようですから。」

お爺ちゃんの左側から右手で抱きかかえるようにして立ち上がらせて公園を出た。

「すぐそこです、ちょっと寄って熱いお茶でも飲んで下さい。身体が冷えたでしょう。」

俯いたままのお爺ちゃんの右脇腹に手を入れ、ベルト付近を掴んで一緒に歩く。嫌がる風でもなかったが足取りが重い。

後ろから枯葉がバサバサ音を立てて、二人を巻き込むようにして左側のブロック塀の根元に一旦集まり、そこに留まるモノと、再び風に吹かれ先の方に飛ばされているのもある。

新平は、コートを脱いでお爺ちゃんの肩に掛けてやる。

お爺ちゃんは、新平の顔を、済まなさそうに見て再び俯いて歩き出した。

玄関も居間も電灯を点けたまま出かけていたので、そのまま抱きかかえて履物を脱がせて上がってもらう。

「すみません、お言葉に甘えて寄せてもらいます。」

惣菜屋のお爺ちゃんは、コートを脱ぎながら上がり口でちょっと躊躇した様子を見せたが、何事も無かったように先に居間に入り、お茶の準備をしている新平を見て食卓に近付いて来てくれた。

「お待たせしました。身体が冷えたでしょう、良かったら、これに焼酎を垂らしましょうか、お茶割の焼酎も結構良いものですよ。」

「え、はい、有難う御座います。気を使わないで下さい。」

「はっはっはっ、気は使っていません。私が飲みたいものですから。」

「どうぞ私に構わず飲んで下さい。」

「そう言わずに、ちょっと付き合って下さい。」

大き目の二つの湯呑みに半分ほどお茶を入れたところで、サイドボードから焼酎を出してきて『トク、トクトク…』と注いでいく。

「あ、私は、そんなには飲めませんから。」

お爺ちゃんが、両手で湯呑みに蓋をするようにしたので、その手を、そっと掴んで外し、ニッコリ笑い掛けて注いでいく。

「どうぞ、温まりますから飲んで下さい。下戸ってことは無いんでしょう。」

「ええ、少しは飲めますが…、良い香りですね。それでは遠慮なく一杯だけご馳走になります。」

「それは頼もしい、少しはって人は飲める人だと聞きましたから、一杯だけって仰らずに、付き合って下さい。一人で呑むのも淋しいんです。」

「そうだ、上野さんは一人暮らしでしたね。」

「はい、それで、お爺ちゃんが作ってくれている惣菜屋さんにお世話になっているんです。」

「何時もごひいきにして頂いて有難う御座います。」

「いいえ、お礼を言うのは私の方ですよ。新鮮で美味しい惣菜で助かっていますから。」

「あっはっはっ、それは恐縮です。」

お爺ちゃんの顔にやっと笑顔が見られ、向かい合わせで飲み始めていたが、三十分くらい経った。

話しの内容は、私生活の事には触れないようにして、一方的に政治の話や会社での愚痴話を聞いてもらっていた。

「お爺ちゃん、結構いけるじゃないですか。肴が乾き物しか無くって申し訳ありません。今度来てもらえたらご馳走作って召し上がってもらいます。」

「あはははっ、肴だったら私が持参しますから期待してて下さい。」

「そうでしたね。失礼しました、私が作って食べてもらおうなんて僭越(せんえつ)でした。」

「そんなこと有りませんけど、私の家には酒の肴だったら売る程ありますから持参します。」

「それは、うまいシャレですね、座布団追加しましょうか。あっはっはっ、なるほど『売る程』ですからね、これは参りました。」

新平は、食卓を離れ、コードレス電話機を持って来て、お爺ちゃんの前に置いた。

「え、何ですか。」

怪訝そうに赤らんできた顔を上げて新平を見てくる。

「ゆっくりして良いんでしょう。取り敢えず家の方に心配掛けているかもしれませんから友達のトコに居るからとでも連絡して下さい。」

「上野さんは見た通りに優しいのですね。あの嫁のことですから心配はしていないでしょうが電話だけしておきます。」

その言葉で、このお爺ちゃんは、客には笑顔で応対する息子さんのお嫁さんに苛められているんではないかと、勝手に解釈した。

寒い公園で泣いていたのは、このためだったのだろう。

新平は席を離れて浴室に行って風呂の準備をして戻った。

お爺ちゃんは、短い会話だったのだろう、新平が食卓に座ると、礼を言って電話機を返してきた。

「心配されていたでしょう。」

「いや、何時ものことですから心配はしていませんでした。時々パチンコに行って来るからと出かけていましたので、またかって思っていたでしょう。」

「お爺ちゃんは、パチンコされるんですか。」

「いいえ、若い時はやっていましたが、電動式になった頃止めました。」

「わぁ、聞いたことがあります。それじゃバネ式で一個ずつ入れて打っていた頃ですか。」

「そうです、半プロでした。でも本気で家業の惣菜屋を引き継いでからはやっていません。いろいろ悪いこともして来ましたが。」

「そうですか、不良だったのですか、そんなに見えませんが。あははは、でも今は真面目なんですね。」

「それはどうでしょうか、あっはっはっ。」

つい三十分ほど前の涙は忘れてしまった様子の笑顔を見て安心する。

「お陰で温まりました。久し振りに楽しい酒でした。」

「そうですか、それは良かった。私もお話し相手があって、いつになく飲み過ぎたようです。」

「あっはっはっ、上野さん達は会社の仲間と飲む機会が多いでしょうが、私たち老人は、飲みに出かけることも少ないですから、何時だって一人で淋しく手酌ですよ。役所勤めの息子も帰りが遅いし。」

「今度は、お爺ちゃん持参の肴で飲みたいですね。」

「有難う御座います。そんな優しい事を言われると、毎日だって押し掛けて来ますよ。」

「あはははっ、是非お出掛け下さい。何時だってお待ちしていますから。」

「こんな時間ですか、そろそろ失礼しましょう。」

お爺ちゃんが、腕時計に目をやり、食卓の上のコップやサキイカが入っていた袋を一箇所に片付け始めた。

「あ、そのままで良いですから。それより風呂が沸いていますから入ってからお帰りになりませんか。」

新平としては断わられて、ダメモトと、下心があって入浴に誘ってみた。

「え、風呂ですか。そんな厚かましい、遠慮しますよ。」

「お爺ちゃん、私の家では遠慮すると刑罰が課されます。背中流しますから入って帰って下さい。」

「あっはっはっ、刑罰は怖いですね。これまで前科も無しで真面目に生きてきたのに、ここで刑罰は重すぎです。それで、どんな刑罰ですか。」

コップに残っていた焼酎を飲み干しながら聞いて来る。

刑罰と聞いて何となく興味がありそうな態度だ。

「重い刑罰なんですが、入浴して私の背中を流してもらいます。」

「あれ、だったら遠慮しても、しなくっても、同じじゃないですか。」

「違いますよ、黙って入ったら私が背中を流してあげます。」

「あっはっはっ、どっちにしても風呂に入らないと帰れないってことですか。あっはっはっ。」

「そうです、のみ込みが早いですね。」

酒のせいもあって、強引に風呂に誘ってしまった。

このお爺ちゃんのチンポを見たい一心でもあった。

「初めてお邪魔した家で、お風呂まで入らせてもらうなんて、ちょっと不良っぽいですね。ウッヒ。」

お爺ちゃんは、嬉しそうに右手で握りこぶしを作って顎に持っていき、離れた親指を唇の端に押し当てて悪戯っぽくテレ笑いしている。

「そうです、充分に不良です、不良老人です。こちらです、先に入って温もってて下さい。替えの下着を準備して来ます。」

「あはははっ、不良老人ですか。」

そう言いながらもチョット嬉しそうな顔をしたお爺ちゃんのお尻を、逆手にした両掌で押すようにして脱衣場に案内する。

腰を引き加減にしていたが、腹を前に突き出した格好で押され声を出して笑いながら脱衣場に入ってくれた。

『バシャバシャ』

お爺ちゃんが湯を汲んで身体に掛け湯をしているようだ。

新平は、着替えのアンダーシャツと越中褌を二人分準備して脱衣場のドアーをコッソリ開けて忍び込むように入って行った。

お爺ちゃんが脱いだ洋服とシャツが洗濯機の蓋の上に乗せてあるが、見たかった肝心のパンツが見当たらない。

そっとシャツを持ち上げると隠すようにして丸められたラクダ色のメリヤスのサルマタが出て来た。

隠すように置かれたサルマタが、お爺ちゃんの、戸惑いと恥じらいが感じられる。

手に取って裏返し、チンポが当たっていた付近を見るとモッコリした形がのこり、先走りか小便だかが付いて乾いたような染みがあり、そこだけがゴワゴワ硬くなっている。

高鳴る胸を沈めながら、温もりが残るサルマタの染みを鼻にくっ付けて嗅いで見る。塩垂れたような小便と、それでいて香しい男の臭いが残っている。

大きく深呼吸するように臭いを吸い込み、堪らず舌で舐めてみた。

確かに小便の味がする。それと微かだが期待した精液の味もする。

それだけで、新平のチンポはギンギンに勃起してしまった。

お爺ちゃんの服とシャツは壁側の洗濯物カゴに移し、新平の服と越中ふんどしを丸めて洗濯機の中に放り込む。

(8)

「お待たせしました、さあ背中流しますから、ココに座って下さい。」

浴槽に浸かっていたお爺ちゃんの目が新平の股間の勃起したチンポを見ているのが判ったが、そ知らぬ振りをして浴室椅子を勧める。

「う、上野さん。元気が良いですね。羨ましいですよ。」

先にお爺ちゃんがチンポの話しに持ってきてくれた。

「ああ、これですか、困った物で、どうしたんでしょうね、お爺ちゃんの背中を流せると思っただけで立ってしまいました。人格の無い愚息です。見なかったことにして下さい。」

そう言って、わざとお爺ちゃんが見易いように目の前に立ったまま、右手でプチンプチンと揺すって見せる。

「わ、ギンギンですね。私も若い頃は、そのくらいの元気があったようですが今は用無しで萎んだままですよ。ときめきも無いですしね。」

酔っているためもあるのだろうが、気が大きくなって下ネタも平気で話してくる。

「そんなコトは無いでしょう。お爺ちゃんは70前でしょう。」

「あはははっ、そんなに若く見てくれていましたか、73ですよ。」

「そうでしたか、あれ、お爺ちゃんのチンポも勃起して来たんじゃないですか。頼もしいなぁ。」

浴槽の中で立ち上がっているお爺ちゃんの白髪が混じった陰毛に、剥けきった黒い亀頭がこころなしか膨らみをみせ、勃起した様子だ。

「あ、これですか。あはははっ、元気な上野さんのチンポを見せられて興奮したのでしょう。でも久し振りですよ。」

浴槽の縁を跨いでお爺ちゃんが洗い場に出て来て座ろうとしたが、よろけて新平に抱きついてきた。

「おっと危ない酔ってしまいましたか。」

新平が、お爺ちゃんを抱きかかえるようにして立ち上がらせる。その際、新平の硬くなっているチンポが、お爺ちゃんの腹にくっ付いてしまった。

二人は正面を向き合って裸で抱き合っている。

互いに無言の時間が過ぎて行く。それは、ほんの数秒だったろうが、二人には何時間にも思える戸惑いと怪しい時間でもあった。

「うふふっふ…。」

お爺ちゃんが照れながらも含み笑いにも似た声を出し俯いた。

それでも新平の背中に回した両腕を離そうとしない。

新平にしては『棚からボタ餅』だったが、後ろめたさもあり、さらに抱き寄せるのを躊躇(ためら)った。

この侭お爺ちゃんを引き寄せて唇を付けにいって良いものか。

お爺ちゃんの腹に押し付けているチンポは音を立てるようにドクドクと脈打っている。

お爺ちゃんは、当然それには気付いている筈だ。どうして黙って抱かれたままでいるのだろうか。

新平には、ここで何かを起こしていく勇気が出ない。

お爺ちゃんの目を見つめたまま葛藤(かっとう)していた。

その時、お爺ちゃんが背中に回していた手で撫でるようなしぐさをして離れようとした。

新平にとっては、このままでは心残りだ。今しかチャンスはないんだ。

そう思うと、どうでも良くなった。

後でホモだ変態だと言われても構わない。

『酔っていたから』と言い訳も出来る。

行動しないまま後悔したくなかった。

離れかけたお爺ちゃんの身体を引き寄せ抱き締めてしまう。

抱き締めはしたが、その後どうして良いか迷ってしまう。

お爺ちゃんの肩に顔を乗せていると、お爺ちゃんが『ごっくん』と唾を飲み込んでいる音が大きく伝わる。

頚動脈の動きを頬で受けていたが、何故か涙ぐんでしまう。

その時、お爺ちゃんの態度に変化があらわれた。

新平の背中に回していた手を離しかけていたが途中で止めて一層強く引き寄せるように抱きこんできた。

どの位抱き合ったままだっただろうか、新平がお爺ちゃんの方に乗せていた顔を上げると、目の前に震えている真っ赤な唇がある。

これ以上は我慢出来ない。

顔をずらして頬擦りした後、思い切って唇を付けに行った。

それだけで満足だった。

そこの唇を抉じ開けると、美味しそうなお爺ちゃんの舌があるのだ。

ちょっとだけでも舐めて見たいが、今夜の新平にはどうしたことか出来なかった。

「うっ。うう…。」

思わぬ展開に新平が驚きの声が出てしまう。

お爺ちゃんの焼酎臭い口が開き『ヌメッ』とした舌が新平の唇を舐めてきた。

新平の声に、お爺ちゃんは顔を離し目を見つめてくる。

「嫌だったですか…。」

口ごもるように弱弱しく又すまなさそうにお爺ちゃんが聞いてくる。

それには返事をせずに、お爺ちゃんを更に強く抱き締め、舌先で唇を抉じ開けて口中を舐め回しにいく。

「う、うう、あ、ああ。」

お爺ちゃんは最初戸惑った様子だったが、自分も舌を動かして新平の唾液をジュルジュル音を立てて飲み込み、お返しにトロトロと甘い唾液を送り込んできてくれた。

「あ、ああ、お爺ちゃん。」

「うん、うん、これって内緒にしようね。」

「そうそう、お爺ちゃんと私だけの秘密のことにしましょう。」

その言葉を聞いて、お爺ちゃんが腹に押し当てられている新平のチンポを掴んで掌に包み込んで上下に扱いてくれる。

「あ、ああ、お爺ちゃん。」

今夜の新平は、初夜を迎えた花嫁のように、ぎこちなく自分から攻めていくのが出来なかった。

ノンケともお仲間さんとも思っていなかったお爺ちゃんにチンポを扱かれて腰が萎えたようになり座り込んでしまう。

お爺ちゃんは、新平を抱きかかえ浴槽の縁に座らせ、股間に顔を埋めて一気にチンポを口に咥え込んできてしまった。

期待していなかったことでもあったが、あまりにも新平が望んでいたことが勧められ、なされるがままで、あっけにとられてしまう。

お爺ちゃんの尺八は、ぎこちなく時々歯が当たって痛かったが、そのくらいは我慢できた。

竿を雁から根元までを、ゆっくり早くと唾液を流しながら、頭を前後させ黙々と進められる。

金玉に舌先が這わせられ始めた。

竿を手で扱きながら、金玉を持ち上げて裏側を舐めてくる。

「あ、ああ、お爺ちゃん。そ、そんな、あ、ああ。」

浴槽の縁に座らされている新平は、股を開いていくと、お爺ちゃんが両足の中に身体を入れてきて腰を掴みストロークがスムースに行き出した。

思わず、お爺ちゃんの頭を掴み引き寄せて、前後させるリズムに合わせ、腰を上下させる。

「あ、ああ、お爺ちゃん。それ以上は、あ、ああ、無理です。ね、ねね、お爺ちゃん、あ、ああ、そのままでは、くぅー、駄目です。」

「良いから、このまま最後まで射ってください。」

もごもごと、それだけ言うと、雁先を咥えたり、鈴口に舌を割り込ませ、ヌルヌルに唾液を付けた竿を優しく掌で包んでジャグジャグ音を立ててシゴキを早める。

「あ、ああ、もう駄目です。出る、出る、あ、ああ、顔を・・・。」

お爺ちゃんは、何を言っても聞いてくれない。聞こえているはずだが、相変わらず黙々と雁先を咥えたまま扱き上げる。

薄くなった頭髪のお爺ちゃんが、新平の股間で動くのを見ていると、まさかまさかと嬉しくなって来る。

「あっ、だ、駄目だ、あ、ああ、い、い、射くっ・・・、あ、ああ。」

コントロール出来る限界を超えてしまった。

太腿の内側を膝の上から金玉の付け根に向かってこみ上げる快感に目を瞑って、お爺ちゃんにお詫びと感謝の気持ちで射精してしまう。

お爺ちゃんは、流石に新平の精液を飲み込む勇気が無かったようだ。

口を開けて、新平に中の精液を見せ、どうしたものかとキョロキョロ見回している。

「お爺ちゃん、そこに、床に吐き出して下さい。」

ホッとしたように、お爺ちゃんは口を開き、ダラダラと糸を引く精液を、名残惜しそうに床に落としている。

「あっはははっ、お爺ちゃん、不味かったでしょう。ゴメンナサイね。」

「う、いや。不味くは無いけど、ちょっと慌ててしまった。」

精液を床に吐き出してしまったお爺ちゃんが、まだ萎えていない新平のチンポを見てドロドロした口で再び咥え込んでくる。

「あ、お爺ちゃん。止めて、ね、ねね、あ、ああ、離して・・・。」

敏感になっている亀頭を咥え、又しても鈴口に舌先を入れて攻撃してくる。

「あ、ああ、駄目だって、お爺ちゃん、あ、ああ、死ぬっ。」

新平は、堪らず立ち上がって、お爺ちゃんから逃れようとしたが、それでもタコが吸い付いたように口を尖らせて竿を離してくれない。

『ずぽんっ』

新平のチンポが、お爺ちゃんの口から音を立て、やっとの思いで開放され、ここで新平は反撃に出る。

「あ、私は、いいですから…。あ、ああ、上野さん。」

臼杵お爺ちゃんを床に寝せて股の中に身体を入れ、手で隠そうとして逃げ腰の身体を捕まえチンポを咥えに行く。

諦めた筈の、お爺ちゃんが時々「ああ、もう良いから」と遠慮深げに言ってくが、構わず舌と手で扱いていく。

最後まで硬くはならなかったが、それでも尿道が膨らみ、新平の口いっぱいに太くなり、立派に濃い精液を口の中に放出し、奇声にも似た大きな呻き声で射ってくれた。

風呂から出て、褌を勧められ、ちょっと嫌がるお爺ちゃんだったが、越中褌を締めてやった。

締め終わると気に入ったのか、前垂れを引き延ばしたり、金玉の納まりを直したりしてニコニコ顔だった。

ビニール袋に入れた脱いだ下着を、腰の後ろに隠すようにして玄関に降りた上機嫌のお爺ちゃんを抱き締めてキスして別れる。

翌朝の新平は、トーストを咥えながら通勤服に着替えて家を飛び出した。

臼杵お爺ちゃんとの絡みで興奮して眠つかれず、せんずり掻いて寝たのだが、こうした唐突の出逢いが嬉しくて眠れず、明け方になって寝てしまい朝寝坊してしまった。

「新平。今朝は遅刻じゃないのか。」

善吉お爺ちゃんが玄関先の植木に水を掛けている。

「お爺ちゃん、おはよう御座います。ひと電車遅れてしまいました。」

「夜更かしするからだ。今日は残業か。」

「いいえ、定時で帰宅予定ですが、何かありましたか。」

「でかい赤カブがあったので、酢漬け作ったんだ、帰ったら持って行くから楽しみにな。」

「ああ、そうですか。有難う御座います。美味しく出来ましたか。」

「ワシが作ったんだ、美味くて当然だろ。その辺の偽装表示した千枚漬けより出来が良いんだぞ。」

「はいはい、判りました。行って来ます。」

「うん、車に気をつけるんだぞ。」

「お爺ちゃん。あのね…、ああ、もう良いや、行ってきまーす。」

駅近くの臼杵惣菜屋がある路地を覗いて見たが、まだシャッターが降りたままのようだ、惣菜屋さんは朝が遅いのだろう。

大通りから入った路地にあったので、今まで、朝から気に掛けて見た事がなかった。

今日も相変らす奥で揚げ物するのだろう。昨夜のことを思い出してニヤニヤしながら仕事するのかもしれない。

お嫁さんとの事は気になるが、お爺ちゃんの事だ、これからも頑張って美味しい惣菜を作ってくれることだろう。

駅前では相変わらずの朝のラッシュだ。その中に割り込むように走り込んで行った。

「叶ちゃん、エアコン入って居ないんじゃないの、ちょっと寒いよ。」

課長の席の後ろを通り過ぎ自分の席に座ったが、事務所内の空気がひんやりとしている。

「あら、主任ったら珍しく遅刻でしたか。朝礼のとき見かけなかったので現場直行かと思っていましたよ。」

「うん、遅刻だったよ。それよりエアコンどうしたの。」

「まあ、主任ったら、ウォームビズでしょう。」

「あ、そうだったね。でもこんなに寒いのって仕事に差しさわりが出るんじゃないの。」

「知りません。私たちも内緒ですがババシャツ着込んでいるんですよ。」

「あっはっはっ、叶ちゃんには似合うかもね。」

「主任ったら、お茶出しませんよ。」

「あははは、ご免ご免。あ、携帯だ。お茶置いててよ。」

携帯電話の着信には、田川お爺ちゃんの番号が表示されていた。廊下に出て着信ボタンを押す。

『新平か、ご無沙汰だな。忘れられたのかな。』

「ああ、おはよう御座います。忘れてはいませんよ。ちょっと忙しくって失礼していました。お元気でしたか。」

『何だ、よそよそしい挨拶だな。会社に居るんだろうな、すまない。ところで週末は来れないか。逢いたいんだ。』

「えっと、今週末は大丈夫だと思いますが、海は荒れていないでしょうか。」

『来週始めまでは凪だそうだ。家でも良いが海にしよう。』

「判りました、大丈夫だと思いますから、また電話します。」

『それとな…。』

「まだ何か有るんですか。前原さんのこととかじゃないでしょうね。」

『それは解決しそうなんだが、探してもらいたいことがあるんだ。』

「探すって、探偵じゃないですから無理ですよ。」

『そうじゃ無い、40年くらい前の友達で、新平が住んでいる近くの駅付近に惣菜屋だったか弁当屋があったんだが、先日行ったら通りが変っていて探せなかったんだ。』

「駅前は都市開発で変ってしまったそうですから、でも近くに惣菜屋だったら2,3軒有りそうですが、名前は判りますか。」

『それがな思い出せないんだ。もう死んでいるのかも知れないが、世話になったから線香でもと思ってな。』

「名前が判らないんだったらどうしようもないですね。」

『「そうなんだ、あの頃は、ワルでな、パチンコばっかしていたようだ。ウスって呼んでいたんだが。』

「ウス? ですか、それってアダナでは・・・。」

『だったろうな、名前なんか聞いたこと無かったから。』

「それで、ウスって言うくらいだから、頭の毛が薄かったんですか。」

「いや、薄いって思ったこと無かったな。」

そこまで聞いて、新平の顔色が変った。(パチンコ、名前がウスだなんて…)自分でも顔を熱くなるのを感じていた。

「あ、田川さん、その話だったら帰宅してから聞きます。」

『ま、当てにしていないが、歳をとると懐かしくなって、何となく昔を思い出していて会いたくなったんだ。』

新平は、あのウブな臼杵お爺ちゃんが、田川お爺ちゃんと名前も明かさない間の友達だったなんて考え難いことだったが、あっても不思議では無さそうにも思えた。

『事実は小説より奇なり』ってこともあることだ。

昨夜の臼杵お爺ちゃんとの事、それに今の田川お爺ちゃんの電話のこと、どことなく共通している部分がある。

新平にしては落ち着かない一日が始まった。

(つづく)

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