上野新平シリーズ(第76話):地方訛りのお爺ちゃん(4)By源次郎


(7)

記憶喪失していた立花(仮称)老人は、脱水症状で行き倒れていたところを長距離トラック運転手、糟屋志免治・かすやしめじ・45)に助けられた。

そこで自分の過去を探すために配送の手伝いをしながら日本中を北に南に東へ西へとの旅に付き合っていた。

「オヤジ、昼飯は何にする。」

出逢って三日目の朝、糟屋が聞いてきた。

立花はトラックの窓から移り変わる景色を眺めながら、過去の自分が生活していた場所が現れないかと期待していた。

「そうだな、まだ朝飯食ったばかりだから思いつかないですよ。」

「それもそうだな、あっ、はっ、はっ。今日はこの地方の名物でアナゴ丼があるんだが久し振りに食ってみようと思っているんだ。」

「ああ、だったら私も合わせるよ。あなご丼か…。食った記憶が無いんだけど美味そうですね。」

「うん、最高だぞ。栄養も付けてないとオヤジの相手が出来ないからな、あっはっはっ。」

糟屋は、片手ハンドルで立花の膝を左手でゴリゴリと揉んでくる。

「え、それは私のセリフですよ。毎日クタクタにされていますから。」

「お互い様だろ。それにしてもオヤジの精力って凄いよ。俺が先に根をあげてばかりだからな。」

「そうでも無いと思いますが。昨夜なんか時間を空けずに三回ものケツボボでしたからね。おまけに明け方も絡んでくるんだから、ゆっくり朝寝したいですよ。」

「あっ、はっ、はっ、こんな夢みたいな世界が有ったんだな、オヤジには感謝するよ。」

「感謝だなんて・・・、動物の本能でしょう。過去にこうした経験の記憶が無いんですから。」

「本能か・・・、確かにそうかもね。」

トラックは、太平洋側のリアス式海岸を右手に見ながら北上する。

島々の岸壁に打ち寄せる波が白い煙のように立ち上りゴツゴツした岩肌が洗われ、ダイヤモンドのように光り輝いている。

「なぁオヤジ。今夜は荷物を引き渡したら明日の昼頃の荷物積み込みまで時間が空くんだが、どうする。」

「どうするって、兄さんに任せるよ。でも偶にはふかふかの布団に寝たいですね。」

「そうだよな、出会ってからずっと仮眠ベット暮らしだからな。偶には贅沢してもバチは当たらないだろう。」

「でもトラックはどうしますか。」

「ああ、荷物を降ろしたところで一晩駐車させてもらうよ。エンジンも偶には止めたいし、そんで温泉かホテルにしけ込もう。」

「しけ込むって表現が嫌らしいですね。」

「どうせ嫌らしいことするんだから良いじゃない。」

「ゆっくり寝せて貰いたいんだけど。」

「オヤジ、その言葉を忘れないだろうな。」

「自信無いけど・・・。」

「だろ、何時だって先に手を出し攻撃して来るのはオヤジなんだからな。」

「そうですかね、どちらからって言えないんじゃないでしょうか。」

「あっ、はっ、はっ、それもそうだよな。こんな狭いベットで抱き合って寝るんだからな。作業が済んだら早速泊まるところを探そう。」

荷物引渡し場所には午後三時頃到着し空模様が怪しくなったので急いで指定された保冷倉庫に運び込む。

「オヤジ、雨になりそうだな。早いところ塒(ねぐら)を決めに行こう。」

トラックを駐車させた所からタクシーで繁華街まで行ったが、同伴ホテルを避けて色々探してみる。

「これから電車で二十分足らず北に行ったら温泉が有るらしいんだが。どうするオヤジ。」

「ああ、出来ることなら温泉が良いですね。」

「そうか、それじゃ温泉で決まりだ。電車に乗ろう。」

温泉地に着いて数軒の宿泊先を物色し、大きな露天風呂がある「ふるさと宿」に決めた。

部屋は12畳の和室で、床の間には、この地の城主が300年前に書いたと言われるらしい大きな掛け軸が印象的だった。

早速、浴衣に着替え露天風呂に向かう。

降りだした霧雨が煙る中、石段を下っていく。

数人の人影があったが掛け流しの温泉の湯の音がするくらいで静かな佇まい(たたずまい)だ。

露天風呂の眼下には、先程トラックの車窓から見えていたのと同じようなリアス式海岸が墨絵のように望める。

そこには、作られたような多数の島々が計算されたように美しく重なり合って配置され箱庭のように見える。

右手の山の上には神社の赤い鳥居が見える。

ここに来る時、漁港があったが、そうした荒い海の仕事に従事する氏子の安全祈願の神社のようだ。

一緒に入って来た糟屋の姿が無い。

霧雨に煙る夕暮れの美しい景色に見とれている間、兄ちゃんの存在を忘れていたことに気付き苦笑する。

「オヤジ、何か思い出したことでもあったのか。」

不意に立花の背後に素っ裸で突っ立った糟屋に声を掛けられ我に戻った。

立花の目は、反射的に糟屋の股間にぶら下がった一物にいく。

ここ数日、愛し合った愛しいチンポを明るいところで始めて見せられた。

ゴワゴワの茂みの中には、既に半勃起して意図的に挑発させるようにブラブラと揺らせている。

金玉は、テニスボールのように丸みお帯びていて、産毛が密生している。

飛び掛ってしゃぶりつきたい気持ちを押し殺し生唾を飲み込む。

「わ、吃驚した。何処に行っていたのですか。」

「何となくオヤジが郷愁に耽った様子だったので、そっとしていたんだ。」

「あ、は、は、はっ、だったら良いのですが。あまりにも美しい景色だったので見とれていました。」

「何だそうだったのか、それじゃ左手に岩が出っ張っているだろ、あそこに行ってみよう。」

「え、何か良いことがありましたか。」

誘われるまま、プリプリと揺らしながら歩く毛が生えた糟屋の尻を眺め後ろから付いて行く。

岩陰に腰を並べて湯に浸かる。糟屋は、立花が肩まで湯に浸かるのを待ちきれなかった様子で、腕を引っ張り寄せ唇を付けに来る。

立花も、露天風呂に入っていた客から見えないことを知って湯につかったので、両腕を回して糟屋に抱きつく。

二人の手は申し合わせたように相手の股間の一物を掴み揉んだり扱いたりし始める。

「兄さん、ここでは控えめにしてて下さいよ。部屋に戻ったらゆっくり愛し合えるんですから。」

「うん、分っているけど我慢出来ないんだ。オヤジを丸ごと食べてしまいたいくらいだ。」

糟屋は、そう言うと立花の腰を両手で抱え上げて湯から立ち上がらせ湯面から出てくる一物を咥えてくる。

霧雨が降り、日が暮れて真っ暗になった空を見上げながら半勃起したチンポや金玉をしゃぶらせていると建物の壁に付けられた外套の水銀灯が点灯され洗い場が次第に明るくなって来た。

その時、湯から立ち上がる音がして、ちょっと離れた場所に先客がいた事を知る。

年の頃は70前後だろうか、白髪の小柄な老人が露天風呂の縁石に手を付いて洗い場に上がり二人の前を通り脱衣室に入って行った。

立花は、慌てて糟屋に咥えられた一物を引き離そうとしたが吸い付いたままで腰を掴まれているので出来ない。

老人は、脱衣場に入る手前で振り返りニッコリ微笑んで立花の顔を見て来た。

老人と目が合ってしまい、立花は糟屋の頭を叩いたが、それには気付かず一物を咥えたままだった。

「兄さん、先客が居ましたよ。しっかり顔を見られてしまいました。」

「え、何処に…。」

糟屋は立花の腰を捕まえたまま一物を口から離してキョロキョロ見回している。

「もう遅いよ。脱衣室に戻っていきました。」

「あっ、はっ、はっ、えらいところ見せてしまったな。でも羨ましかっただろうな。」

「ちょっと油断していましたね。でも迷惑掛けた訳では無いですから…、掛けたかな、あっはっはっ。」

「オヤジも厚かましくなったな。俺が知っていたら慌てただろうに。」

「どうでしょう、コレ幸いと見せ付けたのではないでしょうか。」

「オヤジそれは無いよ。これでも恥ずかしがり屋なんだがな。」

「はいはい、分りましたよ。背中流し合って晩飯にしましょうよ。腹ぺこなんです。」

露天風呂を出て部屋に戻る前に、食堂に行き生ビールで乾杯し軽い食事をする。

ロビー奥の土産品売り場で日本酒と焼酎を買って部屋に戻ろうとしていた。

「オヤジ、コレを持って、先に部屋に戻っててくれ。酒のアテを調理場に頼んでいたので後から持っていく。」

糟屋が何時の間にか酒の肴を注文していたようだ。こうした段取りには慣れているのだろう。

先に部屋に入り暫らくすると、大きな舟盛を抱えて糟屋が戻って来た。

活魚の刺身や鮑(あわび)などが盛られた豪華な物だ。

「今夜は、久し振りに酒盛りだ。オヤジ、トラックでは缶ビールだけで我慢させてたが、今夜は思いっきり飲み明かそう。二人の出逢いに感謝しないとな。」

糟屋は、勝手に一人ではしゃいでいる。立花も飲み足らない気持ちを抑えていたが、エンジン掛けたままでの仮眠生活だったから今夜まで我慢していた。

午後七時頃から飲み始め、糟屋の生い立ちを聞きながら、立花の子供の頃を思い出しはしないかと熱心に聴いていく。

「兄さん、飲み過ぎじゃないですか。焼酎は既に空ですし日本酒も残り少なくなりました。」

「なに、無くなったらフロントカウンター横の自動販売機にも缶ビールやワンカップが有ったから補給したら良いんだ。」

「兄さん、程ほどにしておきましょう。少し酔いを醒まして湯に浸かりに行きましょう。」

「オヤジに言われたら逆らえないんだよな。わかった、これだけ片付けて飲んでしまおう。」

何日振りかで畳の上で飲む酒だったのだろう。

何時もはホテルに泊まったとしても、一人で淋しく呑んでいたことだろう。

糟屋は、それでも立花老人の言葉に従った。

「おお、雨が上がって月が出ている。」

脱衣場から先に露天風呂に出た糟屋が大きな声で叫んでいる。

「ほんとだ、綺麗なお月さんですね。」

午後十一時を過ぎた露天風呂には糟屋と立花だけの貸切風呂だった。

湯に浸かる前に洗い場を一周して浴槽に他の人影が無いのを確認し、先程の岩陰に並んで浸かる。

どちらからとも無く寄り添っていき抱き合い、唇を合わせに行く。

二人の様子を見ているのは、雲間に出たり隠れたりする十三夜くらいの青い月だけだった。

その月が湯気が立つ湯面に映り、ヤキモチを焼いているかのようにユラユラ揺れている。

糟屋を風呂の縁石に座らせ、上向き状態で洗い場に両手を付かせる。

既に勃起して先走りをダラダラ流している一物を咥えに行く。

竿の上部に走る二本の海綿体、尿道を保護しているもう一本の海綿体、その三本が血液をたっぷり含みゴツゴツと硬くなり、その表面を青い血管がミミズのようにへばり付いている。

口を離すと『ペチッ』と音を立ててヘソを打っている。それを数回聞いて再び咥え込み唇で扱いてやる。

「あ、ああ、オヤジ・・・、良いなぁ。あ、ああ。」

半開きした糟屋の口からはだらしなく涎さえ流し喘ぐ声も息絶え絶えだ。

「おい、どうした・・・、続けてくれ。あ、ああ、オヤジ頼むから・・・、あ、ああ。」

泣き出しそうな顔で尺八を続けてくれと懇願している。

「あはははっ、どうだ、ここでお預けにして部屋に戻ろうか。」

身体を離して糟屋の泣き声を楽しむ。

「オヤジ、これでは蛇の生殺しだ。な、な、頼むから・・・続けてくれ。」

立花が何時までも手を出して来ないので自分の手で扱き始めている。

「どれどれ、邪魔な手だ。望み通り尺八(く)ってやるから泣くな。」

立花が糟屋の手を払い除けて竿を咥えて扱いてやる。

糟屋は、立花に口を離されないように両手で頭を挟んで腰を浮かしてくる。

「う、うう、うおぉ・・・。」

間もなく、雄叫びを上げて糟屋が果てた。

立花が、放出されるオトコ汁を飲み込んでいる間、快楽の余韻を楽しむように立花の頭を撫でてくる。

「オヤジの意地悪。どうなるのかと思った。」

「あ、は、は、はっ、自分で扱いて射くってのを忘れていたんでしょう。」

「そうだよな、自分でやってた事だったのに、横着になって人がやってくれるのが当然って考えていたようだ。こんな甘えん坊にしたのはオヤジなんだから。」

口を尖らせ不服そうに言って入るが、まんざらでもなさそうにニコニコ笑っている。

その顔が堪らなく可愛い。

口を湯で濯いで唇を付けに行き糟屋の舌を吸い込んで唾液を乗せてやる。

部屋に戻る前にフロントカウンターに行き自動販売機で湯上がり用の缶ビールを買う。

「オヤジ、ビールの口移しで飲ませてくれ。」

缶ビールのプルトップをプッシュっと上げ、立花に突き出してくる。

「またまた甘えん坊なんだ。湯上がりは何時だってこうなんだから・・・、どれ口を開けて下さい。」

トラックの仮眠ベットでも何度かやってたことだったので要領よく飲ませられる。

「うん、一段と旨い。オヤジの記憶が戻ると淋しくなるな。」

ポツリと呟く糟屋の言葉を聞こえなかったふりで、押入れから布団を引っ張り出す。

部屋の布団は当然二組準備してあったので、二組を並べて敷いたが、暗黙の了解で一つの布団に潜り込む。

二人にとっては、こうした広い所でのセックスは初めてのことだった。

素っ裸で抱き合い口付けしたまま部屋中を転げ周り、いつしかシックスナインでしゃぶり合う。

狭いトラックの仮眠ベットでは出来なかった体位で時間を忘れて絡み合う。

相変わらずタフな糟屋だ。二度目に立花のアナルで果てた後、このまま今夜は休ませてくれるかと思ったが甘かった。

糟屋は残していた缶ビールで喉の渇きを潤し、うつ伏せに寝ていた立花の双丘に、みたび顔を埋めてくる。

今夜も立花が先に根をあげた。程好く前立腺を擦ってくる竿は衰えを知らない。

何度か気が遠くなり、神社の境内で石蹴りをして遊んでいる子供を見たり、流れが速い川で溺れそうになっている子供の姿が思い浮かんだ。

それが誰なのか思いだせないもどかしさと何故か懐かしさが湧いてくる。

窓の外が明らんだようだ。

「兄さん、少し寝ようよ。このままだと今日の運転が危なくなって来た。」

「うん、分った。安全運転が稼ぎの元だからな。」

やっと糟屋が立花の体から離れて隣の布団に転んでいき、暫らくすると軽い寝息が聞こえて来た。

遠い港から船が出て行く警笛を鳴らしているのが微かに聞こえてくる。外は既に漁港の朝の仕事が始まったようだ。

(8)

海岸線に降りて行き、潮受けの防波堤を左手に舗装された道路があった。

赤い鳥居を目印に十分ほど歩いていく。何となく懐かしい潮の匂いを心地よく感じながら目指す赤い鳥居の下までやってきた。

そこから急な石段が山の上まで続いている。途中にも鳥居があり、石段を登りきったところにも三本目の赤い鳥居があるが、昨夜露天風呂から見た鳥居だろう。

立花(仮称)老人は、石段を一歩づつ登りながら、朝食の時に「露天風呂から見えていた赤い鳥居の神社が気になって仕方ないのでお参りしてみたい」と言い出した事を思い出していた。

立花の顔を見ていた糟屋が最初は悲しそうな顔をしていたが、ニッコリ笑って許してくれたことに感謝した。

昼食代と電車賃だと言って持たせてくれた小遣いも嬉しかった。

待ち合わせは午後一時までに昨日荷物を降ろした集荷場に来ることを約束して別れる。

百段あまりの石段は結構疲れる。途中振り返って静かな漁港を眺め、一休みして再び登り始める。

昨夜眺めていた一番上の鳥居を潜る(くぐる)と綺麗に掃除された広場があり、その先に小さな祠(ほこら)が祭られている。

奥のほうには、ここの宮司(ぐうじ)が住んでいるのだろうか、粗末な民家がある。

祠の表は扉が閉めてあったが、表には古びた鈴があり、そこから色あせた年季を感じさせる紅白の布の紐が下げられている。

その下には、古い木製の賽銭箱が置いてあった。

ポケットから小銭を取り出し賽銭箱に投げ入れる。紅白の紐を掴んで左右に揺すって鈴を鳴らし、その場に肩膝立ちで腰を屈め両手を合わせて目も瞑った。

鈴の音が聞こえたのか奥の住宅から誰かが出てくるようだ。

出入り口の扉の立てつけがわるいのだろうかガタガタ音を立てながら扉を開けている。

眼を閉じて自分の過去を思い出させてくれるようにお願いしていたが、気持ちは住宅からこちらに歩き寄ってくる足音に聞き耳を立てていた。

セッタ履きだろう、玉砂利を規則正しく踏みしめるように軽やかな音を立てて近付いて来ている。

「早くから感心なお方だ。お一人でお参りじゃろうか。港のお方じゃったかな。」

近付いて来た宮司らしき老人に声を掛けられる。

「ああ、おはよう御座います。通り掛かりの者です。綺麗な鳥居がありましたので、お参りさせてもらおうと登って来ました。」

立花は、祠の方を向いたまま答え、二拍一礼して振り返り声を掛けられた男を見た。

真っ白い着物に淡い水色の袴を着け、上品なアイボリーの袖が無い長めのチャンチャンコを羽織っている。

左右の手には、竹箒(たけぼうき)とチリ取りを下げた白髪で小柄な老人だった。

「あ、何処かでお遭いしたことが・・・。」

立花は、背筋に電気が走ったように感じた。確かに初対面では無い男だと思いをめぐらした。

ひょっとしたら、自分の過去の記憶を思い出せるのではないかと男の言葉を待った。

「ああ、あなたでしたか。昨夜は思わぬ所で良いものを見せてもらいました。今日はお連れの方とご一緒ではないのですか。」

立花は、その言葉を最後まで聞きたくなかった。

まさか、昨夜の露天風呂で糟屋にチンポをしゃぶらせていたのを見られてしまった白髪の老人と、こんな所で再会するなんて思いもよらなかったからだ。

赤面して俯いてしまった立花に白髪の老人は、その場に竹箒と塵取りを足元に落とし、そっと近付き身体に腕を回し、ごく自然に抱き付いて来た。

立花も老人の身体を両手で包むようにして抱き合う。

鼻先に老人の白髪の髪が甘い木の香りを思わせる上品なコロンの匂いを漂わせ、綺麗に櫛があてられている。

その老人の頭が動き顔を上に向けてくる。長い睫毛(まつげ)をして、真っ黒いキラキラした瞳で見詰められてくる。

僅かに震えている赤い閉じられた唇が立花の我慢の糸をぶち切った。

唇を重ねていくと、待ちわびたように老人の口が開き、ねっとりした舌を立花の唇を抉じ開けるように入れてきた。

絡ませた舌も甘い果実の味がする。立花は若い糟屋とは味わったことの無い口付けに体が震えて来た。

抱き締めた腕にも力が入り、老人の腰が折れるのではないかと心配しながらも引き寄せていく。

「あ、ああ、あ、ああ・・・。」

宮司だと思われる白髪の老人は、腰が砕けたように抱いていた腕の力も抜け、立花の身体を滑らせて玉砂利に座り込んでしまった。

老人の顔は、立花の股間に凭れ掛かるようにし、苦しそうに荒い息遣いだ。

それを眺めていたが、老人の腋の下に両手を入れて立ち上がらせる。

「大丈夫ですか、お爺ちゃん。ここでは、誰かがお見えになったら…。」

立花の声に老人は我に返った。反射的に立花の腕を掴んで住宅の方に連れて行く。

玄関の引き戸をガタガタさせながら開け、先に入って立花を引き入れ、そのまま抱きついて唇を重ねに来る。

立花も下向き加減に顔を横にし、老人の要求に唇を重ね舌を絡ませにいく。

老人は唇を重ねたまま後ろに下がり、土間から一尺五寸位の高さの板張りの端に連れて行く。

そうしながら老人は、立花の股間に手を持って来てズボンの上から一物を擦ってくる。

老人の膝の裏が板張りに着くとそこに腰を降ろし、立花のズボンのチャックを下げ、半勃起したチンポを取り出し口に咥え込んで舐めまわし始める。

「う、うう、あ、ああ、お爺ちゃん・・・。」

明け方まで糟屋と絡み合い、すっかり萎んでいた一物が元気を取り戻してしまい、みるみるムクムクと起き上がってくる。

「ああ、素晴らしい。元気なチンポです。」

老人は尺八しながらも、時々口を離し、溜息をつき感歎の言葉を言ってくる。

「あ、ああ、お爺ちゃん。このままでは出てしまいます。あ、ああ。」

立花は遠慮しながらも老人の頭を両手で挟んで腰を前後させていく。

「それは困ります。ちょっと待って下さい。」

老人は、立花のチンポから口を離すと板張りに揚がるように誘い、さっさと奥の部屋に入って行った。

(あれ、ここまでで終わったんだろうか、その気にさせてて何を考えているんだろ)

八畳ほどの板張りの中央には囲炉裏(いろり)が作ってあり、五徳(ごとく)に乗った鉄瓶が白い蒸気を上げている。

また、囲炉裏の傍には縄で丸く編んだ座布団が見え、その上に三毛猫が寝そべっている。

立花は、それらを目にして、何となく懐かしさに胸が熱くなった。

「お待たせ、こちらにおいで下さい。」

老人の言葉は丁寧だが、強引な誘いにも聞こえる。

「あっ…。」

老人が奥から出て来て声を掛けている方を見て、思わず声を出してしまった。

透き通るような色白の肌に越中褌を着けていただけだ。

昨夜、老人が露天風呂の洗い場を歩いていた時に見ていた素っ裸の姿だったが、今は艶かしさえ漂う美しさだ。

立花は、暫らくその姿に見とれて立ちすくんでしまったほどだ。

糟屋の若い凛々しい肉体しか知らない立花だったが、こうして枯れた老人の姿も何故か美しく色気さえ感じる。

老人は、誘いの言葉を言って、後ろ向きになりさっさと奥の部屋に入って行った。

立花が後から着いて入って来るのに確かな自信があるのだろう。

老人の後姿は、痩せてはいるが脊柱起立筋が二本くっきり膨らんで腰まで続いている。

その下には、小振りながらもモッコリした臀部の肉があり、それを包んでいる越中褌が怪しげな雰囲気をかもしだしているのは何だろう。

子供の頃に、こうした老人の色気さえ漂う後姿に懐かしい思い出があるような気がする。

それが、立花の父親だったか祖父、それとも近所の大人達だったかは分らない。

部屋に入り、後ろ手で障子を閉め、中央に敷かれた布団に立って両手を差し出して待っている老人にフラフラと近付いていく。

布団の上に立ったままで抱き合い唇を重ねていく。

どちらからとも無く抱き合ったまま布団に崩れ落ちるように座り込んでいく。

老人は、立花の洋服を一枚ずつ剥ぎ取るように脱がせてくれる。

立花は布団に仰向けに寝転がらせられ、老人の次の動作を待った。

ズボンのベルトを引き抜き、先程下げられたままのチャックからチンポを引っ張り出して咥えてくる。

「あ、ああ、お爺ちゃん。脱いでしまいますから、チョット待って下さい。」

立花は、立ち上がろうとしたが、老人がズボンに手を掛けて引き下げようとしている。

腰を上げて、脱がせ易いようにしてやる。サルマタは、自分で下げて脱いでいった。

上向きのままで、老人が上に跨り唇を重ねてくる。いつしかシックスナインでしゃぶり合う。

しかし、老人は越中褌をだらしなくズラせただけで、立花の巧みな尺八に酔いしれている。

体の上に乗っている老人の飴色の菊座を舐め始めると、身体を震わせ何かを呟いているようだが言葉にはなっていなかった。

唾を付けて菊座をなぞり飴色の花弁の中央を押していくと、すんなりと第二関節までを吸い込まれるように入っていく。

指を出し入れしていると、吃驚するような力で、ぐぐっ、ぐぐっと締め付けられる。

老人は突然身体を離れ、部屋の隅にある古びた和風タンスから何か取り出して来た。

「あ、ああ…、何だろう、ぬるぬるする・・・。気持ち良い・・・。」

老人は、糟屋が使っていたラブオイルとは違った匂いがする油のような物を立花の半勃起した竿に塗りだした。

流石に、昨夜の糟屋の攻めで、チンポも直ぐには元気になってくれない。

それでも、老人は自分の菊門にも、その油を塗って指で括約筋を弛緩させている様だ。

立花としては、糟屋と何度も絡んでいたが、タチ役の経験は無かった。

一方的に糟屋が望む体位でウケて来ていたが、それでも時々射精していたので満足していた。

老人の動きを見ていると、立花がタチをさせられるようだったが、疲れてもいることだし、インサートまでは出来ないと覚悟していた。

老人が、立花の腹の上に跨り、竿を掴まれて菊座で擦られていると、あの糟屋のゴツゴツした硬い竿を思い出し自分の竿までが元気になっていくのが不思議だった。

半勃起の立花のチンポが入るわけが無い。

しかし老人は自分の親指を立花のグンニャリした亀頭に沿わして一緒に入れようとしている。

「う、うっふぅーん。あ、ああ。」

老人の声で、立花の竿が入っていくのが分ったが、それでも信じられなかった。

(わ、何だ・・・、この生温い感覚は・・・)

初めて知る直腸の中に納まった自分の竿が、迷子にでもなったかのように周囲の腸壁を眺め回しているように、ビクビク動いている。

暫らくすると、老人は腰を上下しだした。

「わっ、あ、ああ、何だろう。今までと全く違った感触で、あ、ああ、気持ち良い・・・。」

立花は天井を眺めながら、老人の菊門に締め付けられますますチンポが元気に成っていき、それに合わせて老人の不思議な喘ぎ声に興奮していった。

「あ、ああ、こうして、あなたと出遭えたことは、あ、ああ、これは・・・、神の御加護です。あ、ああ・・・。」

老人は汗だくになりながら、休んだりまた激しく上下して恍惚状態で何か呟いている。

「あ、ああ、私の70年の人生で、今が一番幸せな時間です。あ、ああ、この時を待っていました。神様、有難う御座います。」

立花は、糟屋がしてくれたように、老人の身体を支えてやり起き上がり正上位になって、ゆっくり抽送を続けていく。

老人の両踵を立花の鎖骨付近に突っ張らせ、体勢を決めて激しくチンポを出し入れしていく。

「あ、ああ、あなたは…、罪な人だ、あ、ああ、昨夜あんなトコを見せ付けて私は一睡も出来なかったのです。あ、ああ、死にそうです。あ、ああ・・・。」

老人は、出会ったことを感謝しているのか怨んでいるのか、言っていることに一貫性が無い。

「このまま、あ、ああ、時間が止まってくれたら・・・、あ、ああ・・・。神様、あ、ああ。」

ただ、立花と同じように気持ちよく酔いしれていることは事実のようだ。

「あ、ああ、射きます、あ、ああ、射きます。」

何時の間にか、老人は自分の半勃起した竿を扱いていたようだ。

瞬間、老人の赤黒い竿の先が大きく膨らんだ。

『ビッ、ビッ・・・』

二、三発、胸から顔に射精し、後はダラダラと竿を握っている手の指を伝って白濁した物が白い毛が多い茂みに流れている。

その後、一層締め付けてくる菊門に立花も老人の腸壁に思いっきり叩き付けるように射精したかったが、今夜の糟屋とのコトを考え、身体を震わせながら耐えた。

老人の竿にベットリ付いた精液を指で掬い、その粘り具合と臭いを確かめる。

立花が、老人の上に崩れ落ち、老人はその身体を優しく受け止め、唇を合わせてくる。

唇を離して、指に付いた老人の精液を、嗅いで見ると、まだまだ青臭い臭いとネバネバが残っている。

それを老人の唇に塗りつけてやると、嬉しそうに音を立て、トロンとした眼で立花の指にしゃぶりついてくる。

恐らく自分の精液だとは気付いていない模様だ。老人は立花の精液だと思っているのだろう。

騙すつもりは無かったのだが、喜んでいる老人が愛おしく感じる。

再び身体を乗せ抱き締めに行くと、老人も一層強く立花の身体を抱き唇を吸いに来る。

こうした一連の動きが始めての出逢いでも出来る不思議さは、やはり持って生まれた動物の本能だろうか。

鉄瓶から湯を注いで老人が出してきた抹茶を飲み、再会が難しいことを告げて土間に降りる。

「あなたのサルマタを私に譲って下さい。それを抱きながら、朝晩の祈祷の際、再会出来ることを神にお願いしたいのです。」

眼を潤ませた老人の願いを無視できなかった。急いでズボンを脱いでサルマタを渡す。

老人は代わりの下着に、洗いざらしの越中褌を着けてくれた。

後ろ髪引かれる様だった立花は、涙ぐんで引き留める老人の手を振り払うようにして糟屋との待ち合わせ場所に向かう。
(つづく)
ーーーーーーーーーー
お断り:小説の中に登場する人名、地名、企業名はすべてフィクションであり、故意的なものではありません。(源次郎)

*****************************************************************************

・「上野新平シリーズ(第75話):地方訛りのお爺ちゃん(3)」に戻る。

・「上野新平シリーズ(第75話):地方訛りのお爺ちゃん(5)」に進む。

・上野新平シリーズ(BY源次郎)に戻る

カテゴリー: 上野新平シリーズ, 作者:源次郎 パーマリンク

以下にコメント・投稿を記入下さい。お名前は必ず記入下さい(匿名可)。メール情報(非公開)は必須ではありません。既コメントに対しては、当該コメント下部の返信をクリックし、記入下さい。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中