上野新平シリーズ(第78話):地方訛りのお爺ちゃん(6)By源次郎


(9)

立花(仮称)老人は、電車を降りると駅の構内でタクシーを拾って乗り込んだ。

糟屋と待ち合わせていた配送センターには、約束の時間より三十分も早く到着出来た。

昨日の夕方、駐車させていた場所に行ったが糟屋のトラックが見当たらない。

(何だ、まだ荷物の積み込みが終わっていないのだろう、手伝ってやらないと一人で頑張っているんだろうな)

立花は事務所横の大きな保冷倉庫に行って、糟屋のトラックを探した。

数台が慌ただしく荷物の積み込みをしている。周囲を回ってみたがトラックも糟屋の姿も見当たらなかった。

約束して待ち合わせた場所が違うわけでは無いのだが、どうしたことだろう。

出発予定の午後一時が近付いて来たのだが糟屋の姿が見当たらない。

積み込み作業をしていた他のトラック数台が競争するように勢い良く出て行ってしまった。

まさかとは思ったが、事務所で聞いてみるしかないだろうと、重いドアーを押して事務所に入って行った。

『関係者以外の出入りはお断りします』

風除室(ふうじょしつ)の内側の扉の張り紙を見たが、恐る恐るドアーを押して中に入って行く。

「何かご用でしょうか、伝票でしたら裏の窓口からお願いしていますが。」

受付カウンターの女子社員に声を掛けられた、トラックの運転手と思っているようだ。

優しそうな声だが、何となく胡散(うさん)臭いオヤジが入って来たと感じているようで、表情が険しい。

「あ、そうじゃ無いんです。お訊ねしますが、午後一時に出発予定の糟屋さんのトラックが見当たらないのでご存知ありませんか。」

「ああ、糟屋さんのお連れの方ですね。ちょっとお待ち下さい。」

顔の表情が一気に変りニコニコ微笑んでくれた。

糟屋は、ここの女子社員に人気があるようだ。

時々、立ち寄って目をつけた女の子と冗談言ったりして口説いて遊んでいたのだろうか。

何故か、『糟屋』の名前を聞いた女子社員が急に優しい態度に変ったのを見て、糟屋に対して嫉妬のような気持ちが湧いてくる。

「吉井課長。カッちゃんのお連れが見えました。」

受付の女子社員は事務所奥の窓際の机に座っている男に大声で知らせている。

(何だ、運転手仲間が言っていたが、ここでもカッちゃんって呼ばれているんだ)

立花の嫉妬心が大きく膨らみ、女子社員を睨みつけてしまった。

「あら、お疲れのようですね。うふふ・・・。」

女子社員は、立花の顔を見て疲れていると解釈してくれたようだ。

まさか嫉妬心で見ていましたとは言えず後悔しながら苦笑する。

「おお、見えたか。こちらの応接室に案内してくれ。」

吉井課長と呼ばれた男は、鼻眼鏡で受付の女子社員に答え、立花を見ることも無く、封筒のような物を持ってさっさと奥の方に消えていった。

案内された応接室は、事務所の一角をパーテーションで仕切られただけの部屋になっている。

小さな応接セットと簡単な会議が出来るようになっている部屋に入っていくと鼻眼鏡の男は眼鏡の上から立花の姿を舐めるように足元から頭までを見てくる。

何となく感じの悪い男に見える。

「こちらにお座り下さい。えっと、お茶が良いですか、それともコーヒー。」

話しに入る前に、椅子を勧めながら好みの飲み物を聞いてくる。

(見た目より悪い人ではなさそうだ)

「あ、構わないで下さい。それより糟屋のトラックは出発したのでしょうか。」

椅子の背凭れのクッションを横に移して、座りながら尋ねてみた。

椅子に座る際、立花は、股間に手を持っていき、もっこりを持ち上げ、股の中央に納まるように無意識でやっていたが鼻眼鏡の男の視線が、凝視しているのに気付く。

(この男ヘンだな・・・)一瞬そう思った。

「それがね、残念なことに・・・、あ、ヨッちゃん、有難う。こちらに貰おうか。」

話しの途中で、先程の受付に座っていた女子社員がお茶を入れて来てくれた。

それを吉井課長と呼ばれていた鼻眼鏡の男が、お盆ごと受け取って礼を言っている。

わざわざ受け取ることも無いだろうに、見た感じでは早く出て行ってくれと言っているように思える。

女子社員は「お願いします。」と言いながら立花に軽く微笑み掛け会釈して出て行った。

「気が利き過ぎて・・・、お茶で良かったでしょうか。どうぞお飲み下さい。」

お盆から湯呑みを取って、わざわざ自分で差し出してくれる。

湯呑みを乗せた茶托の端を親指と人差し指の二本で抓み、不自然に小指を立てている仕草が気になる。

「は、お気を使わせて済みません、有難う御座います。それより糟屋の件ですが・・・。」

「あ、そうそう、そうでした肝心なことを伝えなきゃいけませんよね。その前にお茶をどうぞ。」

何となく、この吉井課長の言動が、勿体ぶって焦らされているように思え、イライラしてくる。

よっぽど暇な部署で、滅多に訪ねてくる客が少ないので時間つぶしに、コレ幸いと話したがっているように思える。

糟屋が、言っていたことを思い出した。

「役所とか、配送センターでもそうなんだが、結構暇な窓際族が居て荷物の積み下ろしに話しかけて来るのがいてイラつくことがあるんだ。」

この鼻眼鏡のことを言っていたのかもしれない、そう思うと糟屋の気持ちが理解出来る。

「お茶は、戴きますが糟屋の件は・・・。」

「それがね、残念なことに二時間も前にバタバタと出発したんです。随分と気を揉んでいたようでしたが連絡が取れないって泣き出しそうにしていましたよ。」

「二時間も前にですか・・・。」

立花は、待ち合わせた時間を聞き間違ったのだろうかと朝の会話を思い出していた。

「オヤジ、一時だからな。ちょっと遅くなるが昼飯はお預けだ、暫らくはしって昨日食ったレストランで一緒にアナゴ丼食おう。」

糟屋は、確かにそう言って「ふるさとの宿」の玄関で別れた筈だ。

吉井課長と立花の間に暫らくの沈黙が続いた。

今の立花には、この世で、たった一人の知り合いなのだ。むしろ、たった一人の味方でもあり親子みたいな存在なのだ。

それが、右も左も判らない、こんな北の地方で別れてしまっては、これからの生活が不安でならない。

そんな事を考えていると涙が滲んでさえくる。

「そうだ、オヤジさん。あ、カッちゃんがそう呼んでいたのですみません。これを預かっています。」

二人の間の沈黙を破るように吉井課長が封筒を渡してくれた。

「何でしょうか・・・、え、こんな大金を私にですか。」

立花は、渡された分厚い封筒を覗いて驚いてしまった。

「ええ、カッちゃんが持ち合わせていた全財産だったようですよ。普段からこんな大金を持っていたのでしょうね。」

「こんな大金貰っても・・・。」

「それと、出発して一時間位した後、携帯電話で私に伝えてくれって伝言がありました。メモして置きましたから・・・、えっと、読んで見ますね。」

吉井課長は、立ち上がってズボンのポケットに入れていたメモ紙を取り出している。

それに、わざわざ立花の横にメモ紙を持って来て、クッションを今まで座っていた椅子に投げやった。

狭いソファーではないが、吉井課長は膝がくっ付く位置で鼻眼鏡をズリ上げ、今度は、この男が自分の股間をむんずと掴んで見せ付けるようにして座り、読み始めた。

『オヤジごめんな、出発時間の十一時を午後一時と間違っていた。神社の方向が逆方向だし寄れなかった。会社にスケジュール聞いたら、そこの配送センターに行くのは一週間か遅くても十日後になる。それまで、その周辺を旅していてくれ。思い出す景色があったらいいがな。きっと戻るから待っていてくれ、元気でな。それから時々連絡入れるから吉井課長と連絡しててくれ。』

「えっと・・・、以上です。」

吉井課長は、再び眼鏡を鼻の上に落とし、顔を立花に向け、上目使いに細い眼でニヤッと笑ったような顔で見てくる。

「ああ、そうだったのですか。有難う御座います。私が時間を間違ったのか、糟屋に捨てられたのかと心配でしたが、安心しました。」

不安ながらも、ほっとした立花は、そう言うと椅子から立ち上がり、出口に向かおうとした。

「ちょっと待って下さい。これからどうされるのですか。カッちゃんから頼まれていますので・・・。」

吉井課長に腕を掴まれ、引き留められて椅子に座りなおした。

「どこって、行くあては有りませんが、取り敢えず夕方まで、この辺りを回って今夜の宿を決めます。」

先程出されていたお茶に気付き、口に持っていく。とっくに冷めていたので一気に飲んだ。

「そうですか、だったら夕方まで時間を潰していて下さい。午後五時半頃、駅前の『のあーる』って喫茶店に来て戴きませんか。」

「はあ、構いませんが、何か私にご用でも。」

ちょっと冷たい返事だったかと思ったが、何故逢わなければいけないのかとの思いが強かった。

「オヤジさん、今夜は私と夕食を一緒に如何ですか。」

「は? 夕食をですか。」

断わる理由も無いことだし、まして誰も知らない土地で一人で夕食摂るのも淋しかったので夕方会うことを約束した。

応接室を出る前に、小便したかったので便所の場所を吉井課長に聞き、事務所出口の反対側に行って『男性』と書かれたドアーを確認して便所に入る。

小便器に向かって、用を足しているとき、誰かが隣の小便器に並んでジョボジョボと小便して来た。

「オヤジさんのチンポはデカイですね。羨ましい。」

隣に立って小便していた男に、まだ済ませていない立花のチンポを覗かれた。

「そんな・・・、覗かないで・・・、あ、課長さん。」

立花の小便器を覗いてチンポがデカイと言ってきたのは、先程糟屋からのメッセージを伝えてくれた吉井課長だった。

「羨ましいくらいです。」

立花が洗面所で手を洗っている背後から、背中をポンと叩いて言ってくる。

「お褒めに預かって、恥ずかしいです。」

立花が、洗面台横のエアータオルで手を乾かして外に出ようとした時、吉井課長に再び声を掛けられた。

「五時半に待っていますからね。迷子にならないように来て下さいね。『のあーる』って喫茶店ですよ。」

立花は、ちょっと振り返って吉井課長に黙って頭を下げて別れ、配送センターから出て来た。

タクシーで昨日、糟屋と来て電車に乗った駅の様子が分っている駅前広場で降りる。

「お客さん、忘れ物ですよ。」

タクシーの運転手に呼び止められ、先程吉井課長から預かった糟屋からの生活費が入れてある封筒を座席に置いたまま降りようとしていた。

「わ、有難う。コレが無いと・・・。」

途中まで言って、大金が入っているからと言う必要が無いからと思い、礼を言って封筒を座席から取りあげた。

(こんな大切な物を忘れようとしていただなんて、やはり自分の精神状態も正常ではないのかもしれない)

立花は、そんな行動をしている自分のことを考えると、背筋が寒くなるようなショックだった。

駅前の賑やかな場所を南に行くと、在来線と新幹線の線路が平行して敷設した鉄道下の長いガードを通って駅裏に回ってみる。

綺麗なタイル舗装されたアーケード街がある。しかし通りは閑散として人通りが少ない。

それにシャッターを降ろした店が目立つ。アーケードの入り口から数軒目に大衆食堂があったので暖簾を潜って入ってみた。

昼時を過ぎているからだろうか、客も店員の姿も見当たらない。

奥の方に声を掛けると、不思議そうな顔をした和服姿で年増の女性が出て来た。

「食事したいのですが、何か出来ますか。」

年増の女性は、ここの女将さんだろうか、立花が客だと気付いたのか、すぐに笑顔になってお茶を持って来た。

どんな食事が出来るのか分らなかったが、昨日、糟屋と食べ美味かった土地の名産だと聞いたアナゴ丼を、味噌汁セットで頼んでみた。

「はい、直ぐに出来ます。しばらくお待ち下さい。」

そう言い残して奥に消えたが三十分近くも待たされ、やっと運んで来てくれた。

「ぽろっ、ぽろぽろっ、・・・。」

テーブルに置かれたアナゴ丼を見ただけで、配送センターを出てから我慢していた孤独感が、爆発した感じで涙を流してしまった。

「あら、お客さん、どうしましたか。」

「え、ああ、なんでも無いんです・・・。」

そう答えた立花だったが、糟屋の笑顔や一緒に食べた時の楽しかったことが走馬灯のように思い出され、溢れ出る涙が止まらなかった。

この店の女将さんが、気を使って、そっとティッシュペーパーをテーブルに持って来て奥に戻って行った。

思い直して割り箸を取り出し、鼻水を啜りながら遅い昼食を済ませた。

流石に土地の名産だ。脂が乗った分厚いアナゴに、濃い目のタレがたっぷり飯に染み込んでいて美味かった。

食堂を出たが行く当ても無く、アーケード街を暫らく歩いき途中で南側の通りを歩いてみた。

相変わらず、人影が少ない通りだ。

吉井課長と待ち合わせた時間までには、まだ三時間余りあるようだ。

あまり気が進まなかったが、一人で食べるよりは淋しさも和らぐだろうと考えていた。

ちょっと昼寝したかった。糟屋の明け方までの激しい絡みで睡眠不足だったからだ。

居酒屋のカウンターだろうか、そこに寝そべって大股開きのオンナがくすんだ色の外陰部を赤いマニュキュア塗った爪の指先をした手で弄くっている。

「あ、ああ、あんたぁ、早く舐めて・・・、あ、ああ。」

目の前の大きなスクリーンに映し出される映像と艶かしい女の喘ぎ声が、立花の睡眠を妨げる。

通り掛かりの映画館で上映されている題名も見らずに、ここでなら時間つぶしに眠られると思って入ったが、嫌悪感を覚えながらも興奮してしまった。

厨房からビキニパンツだけを履いた裸のマッチョな男が出て来て、女のワギナの入り口を舐め出した。

猫が茶碗の水を飲むような卑猥な音を立てて舐めまわし、それと同時に女の喘ぎ声が一層大きくなって来た。

オトコのビキニパンツは、左膝まで降ろされ、その左足を椅子に膝立ちさせ、右足を女の顔を跨いでカウンターに載せていく。

オンナは、口に入りきれないほどの竿を、アイスキャンディを舐めるように涎を流しながら根元から竿の先へと往復させしゃぶっていく。

(なんだ、こんな映画だったのか・・・)

立花は目を瞑って眠りたかったが、ついつい大画面で展開される状況に吸い込まれていく。

それでも、瞼が重い。時々ふっと眠っていたようだ。

女の股間に突き刺さった竿が、卑猥な音を立てて抽送されている。

もっともモザイクが入れてあるが、何の効果にもなっていない。そのものズバリがしっかり見えている。

オトコの引き締まった尻が上下に動いているのを見て、逞しささえ感じ、むしろオトコの尻と突き刺している竿に見とれてしまう。

それが、糟屋に愛されていた光景とダブって見え、自然に先走りが出て来る。

何時の間にか再び寝てしまっていたようだ。立花は、自分の股間を弄られる感じがして目を覚ました。

大画面は、相変わらずの光景と、喘ぎ声がが延々と続いている。

気のせいだったのか、自分の股間に手を持って行ってみたが、他人の手は無かった。

(寝とぼけていたのだろう・・・)

ちょっと気持ち良く成っていたようだったが、糟屋との夢を見ていたので、現実の画面と夢が混同したのだろう。

右隣に誰か座っている。入館したときは真っ暗な中でも、ガラ空き状態でパラパラと数人の人影しか見なかったが観客が増えて来たのだろうか。

それにしては、立花の前の方の椅子には、左右を見渡しても数人しかいない。

右隣に座っている客を見てみたいが、何故か直接横を見るのが、何となく気が引ける。

右前方に照度を落とした青いパネルの誘導灯に目をやり、その視線の隅に隣に座っている客の姿を確認できた。

50代だろうか、ボサボサの髪をした小柄で、引き締まった身体をしている。

どうして、そう思ったかは分らないが、臭いでも無く、ただそう感じただけだ。

その姿を見て安心したのもヘンだが、ほっとして横を向いて顔を見た。

横に座っている男も立花が見てきたことが分り、ニッコリ笑って顔を合わせて来た。

挨拶するでも無く、大画面に目を移した。

(なんだろう・・・)

立花の右膝に、隣の男が自分の膝を付けて来た。それは偶然ではなく意識して付けて来たようだ。

立花も、それを避ける事もせず、そのままでいた。男の体温が、膝から伝わってくる。

(あ、これは信号だ・・・)

何となく、そう感じると、立花のチンポがむずむずしてくる。

男は、くっつけられている膝に手を乗せてきた。

太腿の上側をサワサワと撫でてきた。そうしたことが嫌では無かった。

しかし、止めさせようと男の手に右手を乗せたが、勘違いされたようだ。

男は、手を引き抜き、立花の手を掴むように乗せてきて力強く握ってきた。

しばらく、そのままにしていると男は、その手を立花の股間に移してきた。

『スッ、ススゥー』

男は、立花のズボンに手を入れてくる。

気が付かなかったが、寝ている間にチャックを開けられていたのだろうか、それとも配送センターを出る前に小便したから、その時締めるのを忘れていたのだろうか。

男は、慣れた手つきで立花のチンポを掴んで来た。

神社で着けて貰った越中褌だったが、慣れない褌だったこともあって緩んでいたのだろう。

難なく、男に掴まれたチンポが起き出して来る。男は、立花の亀頭を撫で回し、鈴口から滲み出す先走りを竿全体に塗り拡げシコシコと扱き始める。

しかし、立花のチンポは半勃起までで、それ以上は硬くならなかった。

「う、うう、気持ち良い・・・、でも疲れているから勃起出来ないんです。」

立花は、しなくても良い言い訳を、男の耳元で囁いていた。

「大きいチンポです、美味しそうです。舐めて良いですか。」

「え、こんな所では嫌です。そろそろ待ち合わせの時間ですから出たいんです。」

「それは残念だな、明日も今の時間に来れませんか。」

「ああ、出来たらそうしたいのですが、約束できません。ごめんなさい。」

椅子から立ち上がって出口に向かう立花を振り返って、残念そうに、見ている隣にいた男が可哀想に思えた。

(10)

「立花さん、お爺ちゃん。こんな所で転寝していたら風邪引きますよ。」

「え、あ、ああ・・・。あれっ、上野さん、どうして此処に居るんですか。」

臼杵惣菜屋の調理場裏に机と、一休みできる畳一枚敷かれた場所が作ってある。

そこに寝転んでいた立花お爺ちゃんが、起き上がって不思議そうに上野新平の顔を見てくる。

「あははっ、お爺ちゃん。寝とぼけていませんか。」

上野新平(53)は、一時出向させられていたS出張所から書類を届けに支社に来て、立花お爺ちゃんの様子を見ようと、臼杵惣菜屋に立ち寄っていた。

「はぁ? 夢だったんですか。上野さんと出会う前までの、ひと月くらい前の事をを思い出しているうちに寝てしまったようですね。」

立花はベットに起き上がって足を床に付けて座り、隣に新平が腰を降ろせる場所を空けた。

「臼杵さんは、お出掛けですか。」

新平が、立花の横に座りながら肩に、そっと手を乗せ引き寄せる。

立花も、それを待っていたようで、横を向き両腕を延ばし新平の身体に抱き付いてくる。

新平は、立花の額にそっと唇を付け、頭髪に付いた食用油の臭いを嗅いで立ち上がった。

「体調は大丈夫ですか。」

立花は、既に涙ぐんだ瞳で新平を見詰め軽く頷く。

「あ、ああ、ここで大丈夫ですか。」

立花も立ち上がり、片手を新平の腋の下から回し項(うなじ)を押さえ、もう片方の手は後頭部に押し付け顔を引き寄せ唇を付けてくる。

立花のそうした行動は、唐突にも思えたが、新平は嬉しかった。

互いの舌を絡ませ、新平の舌が立花の口の中に吸い込まれていく。

満足したのか立花が、唇を離した時に付近を見回し、臼杵お爺ちゃんの姿を探した。

「親方は、親戚のご不幸があったので出かけています。夜には帰ると言っていました。」

「そう、それは大変でしたね。店は臨時休業ですか。」

「いいえ、昨夜のうちに下拵え(したごしらえ)した物で長く置いておけないものだけは、私が揚げて売ってしまいました。お陰で焼き物や揚げ物も、大分憶えましたので。」

「そうですか、腕を上げたのですね。」

「はい、こんなに上がります。」

立花は、新平の前で両手を挙げて見せてくる。

「あっはっはっ、そんな関西お笑いのギャグまで憶えましたか。頼もしいですね。」

立花は、自分が人前で始めてやったギャグだったのだろう、ちょっと顔を赤くして、新平が入って来たドアーに内鍵を掛けに行った。

「上野さん、時間は有りますか。」

「ああ、明日の朝、打ち合わせがありますので、今日中にS市に戻らないといけないので、今度の週末に帰省しますから・・・、あ、ああ、お爺ちゃん。」

新平の話が終わらないうちに、立花お爺ちゃんが新平のズボンのチャックを下げ、すでに半勃起しているチンポを引っ張り出して咥えてしまった。

「わ、あ、ああ、お爺ちゃん。待って・・・、時間が・・・、あ、ああ、その気にさせてしまって困ったな。」

新平の声が聞こえない筈は無いのだが、立花お爺ちゃんは黙々としゃぶってくる。

「あ、ああ、ね、ねね、せめて下だけでも脱ぎますから、あ、ああ。」

その言葉には即反応してチンポを解放してくれた。

『ガチャガチャ』

新平がベルトに手をやったが、その手を払い除けて、立花お爺ちゃんが、ベルトをスルスルっと抜き去り、一気にズボンを下げてしまった。

慌てて靴を脱いでズボンを足先から引き抜く。

「片手落ちですよ、お爺ちゃんも脱がなきゃ。私だけ下半身裸にされているって恥ずかしいです。」

ニッコリ笑って、立花お爺ちゃんも自分でベルトを緩めズボンを脱ぎ捨てた。

「これで良いでしょう。そこに寝てください。」

立花お爺ちゃんは、準備完了とばかりに、半勃起させたチンポを揺らしながら新平に近付いて畳に押し倒してくる。

「あ、ああ、そんな強引な・・・、ね、ねね、私にもお爺ちゃんのをください。」

尺八されながら、立花お爺ちゃんを腹の上に引き上げ、シックスナインの体位に持っていけた。

巧みな立花お爺ちゃんのテクニックに、ちょっとだけ勘ぐってしまう。

臼杵お爺ちゃんに預けて二週間余りしか経っていないのに、毎夜、こんな事を教えているのだろうか。

この焦らすようで、そのくせ次の攻め方を待って燃え上がらせてくれる。

それとも、記憶をなくす前から、この道を知っていたのだろうか。

臼杵お爺ちゃんと立花お爺ちゃんが、一日の仕事が終わってから、二人で楽しく絡んでいる姿を思い浮かべ、羨ましくもあり嫉妬さえ湧いて苦笑する。

新平は、ここで立花お爺ちゃんの口の中で果ててみようかとも思ったが、善吉お爺ちゃんにも一目合って行きたかったので我慢することにした。

「上野さん、抜かなくて良かったのですか。」

身体を離した新平に、立花は怪訝そうな顔で向きを変え唇を求めてきた。

「ああ、気持ち良かった。お爺ちゃん有難う、今から家に寄って持って行きたい物を探さないといけないので、今度の週末にでもゆっくりしましょう。」

「そうでしたね、上野さんは、まだ勤務中だったですね。久し振りだったので、ついつい爺の我がままで済みません。」

「そんなコトはありませんよ。気にしないで下さい。それでは週末に帰省しますから宜しく。」

「その時は、親方に言って、お宅の方で福島さんと夕御飯の準備しますから連絡下さいね。」

別れ際に立花お爺ちゃんを引き寄せ、口づけをして臼杵惣菜屋を後にする。

自宅に戻り、暫らく見ていなかった昔の映画をダビングしたDVDを数枚探し出しカバンに入れる。

「なんだ、新平戻っていたのか。お邪魔するよ。」

善吉お爺ちゃんが、玄関横に停めていた車を見て、勝手口から入ってくる。

「ああ、お爺ちゃん、ちょっと支社に用事があったので、序でに寄って見ました。後で家に声掛けようと思っていたのですが。」

「後で声掛けてって、今日は婆さんが居るんだ。何も出来ないだろ。冷たいな。」

「そんな心算では無かったのですが、バタバタしていたものですから・・・。あ、ああ、お爺ちゃん。」

寝室兼書斎の部屋に入って来た善吉お爺ちゃんに捕まって抱き付かれてしまった。

「新平。たまには電話くらいしてくれ、退屈で淋しいんだ。こんな年寄りだし、誰も相手してくれない。」

「ああ、お爺ちゃん、ご免なさい。今度の週末には帰省出来そうですから。」

「駄目だ。待てない。」

福島善吉お爺ちゃんは、そう言うと、服を脱ぎ出している。

「え、お爺ちゃん。」

唖然としている新平の顔を見詰めたまま、さっさと素っ裸になり、歩み寄って来て新平の服に手を掛けて来た。

「あ、自分で脱ぎますから。奥さんは大丈夫ですか。」

「ばばぁは、買い物に行く筈だ。三時間は帰らない。」

「そんな事言って、さっきは家に居るって・・・、でも、ひょっこり帰ってこられたら困りますでしょう。」

そうした会話をしながらも、新平も服とズボンを脱ぎ捨てていた。

つい先程、立花お爺ちゃんにしゃぶらせていたチンポだったが、善吉お爺ちゃんの積極的な行動に興奮してしまった。

(でも良かったな、立花の爺さんにタオルで拭いてもらっていたから唾液の臭いも無いだろう)

「シャワーでも先に浴びましょうか。」

「そんな時間は無いんだろ。」

善吉お爺ちゃんは、新平が裸になるのを待ちかねたように股間に顔を埋めて半勃起のチンポを音を立てながら、しゃぶり付いてきた。

「あ、ああ、そんなにせっかちに・・・、あ、ああ、せめて布団を敷かせてよ。」

「うん、畳を汚すとやっかいだからな。」

やっと善吉お爺ちゃんがチンポから口を離してくれた。

「お、布団がふかふかに膨れている。」

「うん、新平が、何時帰ってきても良いように時々外に干している。」

「お爺ちゃん、有難う。」

布団の中央に立ったままで、両手を広げて善吉お爺ちゃんが飛び掛って来るのを待った。

 

(11)

何時もは新平の誘いでその気になってくる善吉お爺ちゃんだが、それが今日のお爺ちゃんはまるで、赤い目の子兎を追っかける野犬のように有無を言わせない様子で襲い掛かってくる。

激しい口付けをし終わると、お爺ちゃんは新平の股間に手を伸ばし勃起した一物を掴んでくる。

「ふふふっ相変わらず新平のは硬いな・・・。」

「なんだか意味深だね。新平のはって・・・。」

「それにしても新平は酷い男だ。私をこんなに狂わせておいて、何日も電話一つしてくれないんだから。」

「そんなことは無いでしょう。時々昼間だとお爺ちゃん一人だと思って電話しているけど、何時だって留守電話ですよ。」

「嘘だろ・・・。」

「あ、ああ、嘘なんかでは有りません。」

「そうか、グランドゴルフしているときは上着脱いでるから気付かなかったのかな。それはすまなかった。」

善吉お爺ちゃんは、そう言いながらも半信半疑の様子だ、自分の携帯電話の着信履歴とかは確認していないのだろう。

お爺ちゃんは、新平の“ちんぽ”を愛おしそうに舐めたり吸ったりを繰り返してくる。

荒い鼻息を新平の股間に吹きつけ、興奮しているのがよく分かる。

(淋しかったんだろうな・・・)

「お、おお、こんなに濡れて来た。新平の“ちんぽ”が泣いている・・・。」

新平の足元にしゃがみ込み、ビンビンに勃起した“ちんぽ”に舌を伸ばし巻きつけるように舐めまわす。

(お爺ちゃんは、以前より、巧くなったのかな・・・)

鈴口から溢れだした先走りを嬉しそうに眺めたり、亀頭をペロペロ舐めてはまた愛おしそうに眺めている。

口にほうばると、“ちんぽ”を喉奥まで一気に吸い込み、またベロンと吐き出したりしてくる。

「あ、ああ・・・。もう助けて。ね、ねね、お爺ちゃん。そろそろ解放してくれないと射ってしまいます。」

「いいから、思いっきり出しなさい。」

「で、でも・・・。」

新平が嫌がるのが逆にお爺ちゃんに火をつける結果となってしまったようだ。

金玉の裏側に舌を伸ばし、お爺ちゃんは、新平の蟻の門渡りから双丘の内側へと生暖かい舌でベチョベチョと嫌らしく舐めまわしている。

(やっぱり・・・、何時もと何か違う・・・)

菊座の花弁を舌が捕らえると、新平の膝がガクガクと崩れるような揺れ方をした。

そのことがまた引き金となり、お爺ちゃんはさらに興奮したのか、舌先で菊座をこじ開けるように舐め回し舌を入れようとしてくる。

あまりの快感に新平は堪らずお爺ちゃんの頭を両手で抱え込み、自分からお爺ちゃんの口に竿を突っ込んで、腰を前後に動かし始めた。

「良いか、新平。そんなに良いか・・・。」

「うん、もう充分だよ、お爺ちゃん。もう止めてください。交代して私にもお爺ちゃんの“ちんぽ”をしゃぶらせて下さい。」

「駄目だよ。新平が私のケツに出してくれるなら許すけど、どうだ・・・。」

「う、ううん、分かりました。その前にお爺ちゃんのをしゃぶらせて下さい。」

「それは、後で良いだろう。」

「そんな意地悪しないで、お爺ちゃん、早く・・・。」

善吉お爺ちゃんは、嬉しそうに微笑むと、新平の“ちんぽ”を解放し、布団に寝転んだ。

「こんなに焦らすお爺ちゃんは初めてですよ。どうしちゃったのですか。」

「新平が私をそうさせたんじゃ。こんな年寄りに火を点けたまましらんっぷりだから。この裏切り者が・・・。」

「そんなぁ、お爺ちゃん。何時もお爺ちゃんの事、愛しているじゃないですか。今日のお爺ちゃん、何かヘンですよ。」

「ヘン? そんなことは無いだろう。何時だって孤独な年寄りだ。」

「私が、どんなにお爺ちゃんを好きで愛しているか知っているでしょう。」

「いいや。新平はこの哀れで孤独な老いぼれの爺を忘れて捨てようとしているだろう。」

「まったく、困ったお爺ちゃんだ。可愛げのないお爺ちゃんは、本当に嫌いになりますよ。自分では老いぼれだなんて思ってもいないくせに。」

新平が優しく掌で握ると、善吉お爺ちゃんは、それだけで「あ、ああ、あう、あう・・・」と声を上げ、嬉しそうに喘いだ。

お爺ちゃんの股間の一物もモッコリと盛り上がって半勃起し、新平を喜ばせる。

白い物が増えたのか、それでも黒々とした陰毛の中から太い肉棒が赤黒く変色し、大きく揺れている。

「お爺ちゃんの“ちんぽ”は何度見ても飽きないなぁ。」

「そんな恥ずかしい事を・・・。」

善吉お爺ちゃんは、そう言いながらも何時ものように笑みを浮かべ、身体をくねらせるようにして新平に甘えてくる。

お爺ちゃんの大きくぶら下がった金玉と“ちんぽ”を握りしめ、指をその奥へ滑り込ませると菊座に指をムニュッと埋め込む。

「ああっ、あ、あ、新平。もっともっとそこを虐めてくれっ・・・。」

指をヌチャヌチャと出し入れし深く入り込ませると、お爺ちゃんの菊門がきつく指に絡みつくのを感じる。

「こんなに大きく“ちんぽ”を膨らませて、相変わらず助平なお爺ちゃんだ。」

ずる剥けの亀頭部が不安定にゆれながら先走りさえ流している。

赤黒い亀頭部が膨れ上がり、テカテカに光り輝いているのを眺めていると78歳の持ち物かと思うくらいだ。

亀頭部の鈴口を指先で押し拡げ、パックリと割れたお爺ちゃんの鈴口から流れ出る透明の汁を舐めてみる。

「どう調理しようかな。」

と言いながら新平は善吉お爺ちゃんの一物を再びゆっくりと扱き始める。

「もう分かっているくせに・・・。」と言ってお爺ちゃんは大きな尻を悩ましげに振っている。

「でも今日はそんな時間が有りません。」

「嫌だ、このままじゃあ嫌だ。今日中に戻ったら良いんだろ。」

「そんな、今日はこのくらいで、週末に帰省したときにゆっくり出来ますから、その時で良いでしょう。」

「そんな事を言って逃げるんだろ。週末は間違いなく帰って来れるのか。」

「うん、今のトコは現場も順調だから帰省できると思うよ。」

「そうか、楽しみだな。でも少しだけ。」

と言ってお爺ちゃんは新平の掌を自分の双丘の内側へと誘導した。

新平の指が、お爺ちゃんの敏感なプックリした飴色の菊座に触れた途端、お爺ちゃんは身体をブルブルッと震わせ嬉しそうに身悶え、半開きの口から涎を流している。

突然起き上がったお爺ちゃんが、布団の傍にあったDVDラックの方を向き、両手を重ねそこに額を押し当てて尻を向けてくる。

その大きく突き出した尻を両手で押し開き、振り返って顔を新平に向け悪戯っぽく笑っている。

新平はその場にしゃがみ込むと、お爺ちゃんの手を払い除け、むっちりした大きな尻を左右に押し広げ、双丘の谷間に顔を近づけた。

恥ずかしいところを新平に見られているのが嬉しいとでもいうように、善吉お爺ちゃんはそれだけで興奮し喘いでいる。

「あ、ああ、また新平が恥ずかしいところを、じっくり観察している。」

自分で、そう仕向けたのも忘れたように、嫌がるような仕草で新平の行動を待っている。

新平の鼻先が菊座に触れるほど近づくのが、お爺ちゃんには鼻息で分かったのだろう。

「あ、ああ、あへ、あへ、ん、もぅ・・・、そんな所の臭いを嗅ぐんじゃ無い恥ずかしいだろ、止めてくれ。」とくぐもった声を出している。

お爺ちゃんの菊座の匂いを嗅ぎながら、大きく垂れ下がった“ちんぽ”を後ろへ引き出し亀頭部の裏側の匂いも嗅いだ。

「うっふふ、お爺ちゃんの“ちんぽ”はいつも良い匂いがしますね。」

「バカたれ、もう、そんな恥ずかしいことを・・・。今日は、まだシャワーも浴びていないから、あ、ああ。」

「どれどれ、お尻の方はどんな匂いがするのかなぁ。」

「あん、あん、もう恥ずかしい。だから、そんな所の匂いを嗅ぐなんて、止めてくれ。」

こうして焦らす事で、お爺ちゃんが興奮することを新平は何度もやっているので良く知っている。

逆に善吉お爺ちゃんも、「嫌だ、嫌だ・・・」と言いながらも新平が興奮するのを知っている。

お爺ちゃんの双丘に薄っすらと濡らした汗と肛門の独特の臭いが新平の行動に拍車をかける。

舌先で飴色の可愛い菊座の膨らみを、チロチロ舐め回すとお爺ちゃんは堪らず、早くそこに竿を突っ込んでくれとばかりに尻を振ってくる。

ラブオイルを指先に塗り、お爺ちゃんの菊座にもたっぷりと塗っていく。

菊門の壁を弄くり回すと、ヌチャヌチャと卑猥な音を立て、新平の指先がググッと吸い込まれていく感じを受ける。

指で菊座の中央を押し、また揉んだり、こじ開けながら指先を入れるとプッと音をたて中に入っていく。

指を二本に増やし、新平はお爺ちゃんの亀頭部に舌をのばし鈴口を舐め回してからズルッと喉奥に飲み込んだ。

亀頭部の裏側を舌と口とでゆっくり扱き始めると、お爺ちゃんは声を上げて狂いだし悶え始める。

菊門から指を抜き、新平が“ちんぽ”を口から外すとお爺ちゃんは怪訝な顔で振り返る。

早く出掛けたいのだが、気持ちとは裏腹に、しばらく菊門の括約筋を弛緩させ、今にもヘソにくっ付きそうに上向いた竿を手で押し下げジワジワっと入れていく。

「あ、ああ、もっと奥まで入れてくれ、新平お願いだ、焦らさないで時間が無いんだろ。」

善吉お爺ちゃんの身体が喜びと快感で小刻みに震える。

竿がスムーズに出入りしだした頃、快感で悶え狂うお爺ちゃんのちんぽがグングンと膨らみ始めた。

菊門へ出入りさせていた竿を、コレでもかと締め付けてくる。

新平も快感で喉が渇いてくる。このまま射精まで済ませたいが、福島さんの奥さんの帰宅も気になってきた。

「はい、今日はここまでです。」

「嫌だ、新平。頼むから、な、なな、お前の精液をぶち込んでくれ。そんな中途半端では、ワシは狂い死にそうだ。」

「駄目です。そんな事をしている時間がありません。」

「それだったら、私の口の中で出してくれ。」

「やれやれ、今日のお爺ちゃんは、まるで駄々っ子ですね。どうしたのですか。」

お爺ちゃんは、新平の汚れた竿をタオルで簡単に拭き取ろうとしている。

「うん。駄々っ子で結構。このままでは狂い死んでしまうと言っただろ。新平がどこかで出すに決まっているから、それを考えると眠れなくなる。」

「困ったお爺ちゃんだ・・・。」

新平が、机の上の時計に目をやると、お爺ちゃんは新平の足下にしゃがみ込む。

はちきれんばかりに勃起した新平の“ちんぽ”をタオルで簡単に拭き、『がぶっ』としゃぶりついた。

お爺ちゃんは、狂ったように新平の“ちんぽ”を卑猥な音を立て、舐め回しては扱いてくる。

お爺ちゃんは口から新平の竿を吐き出し、肛門にも舌を伸ばすとそこも舐め回し指で弄くり回した。

善吉お爺ちゃんは新平の善がり顔を眺めては、嬉しそうに顔をほころばせる。

「新平、感度が良くなったな、そんなに良いのか。新平の苦しそうな可愛い顔も久し振りだ。」

押し寄せる快感に酔いしれ新平が、お爺ちゃんの白い物が多くなった薄い髪の毛を掻き毟ると、一層嬉しそうにお爺ちゃんは、唇を窄めて舌先で鈴口を突っ突き出した。

(あれ・・・、どうしたことだ・・・、早過ぎじゃないかな)

「あ、ああ、お爺ちゃん。あ、ああ、射きそうだよ、あ、ああ・・・。」

「なんだ、ワシを苛めてて射っちゃうのか。大してしゃぶってもいないのに。」

「だって随分と溜まっていたし、それに今日のお爺ちゃんは強烈なんだから。」

「新平がいけないんだ。孤独な年寄りをほっぽりだして相手してくれないからだ。」

「だから、今度帰省したときにゆっくりと・・・。あ、ああ。、ああ・・・。」

「約束だぞ。」

「うんうん。疑り深いな・・・、だから射かせて下さい。あ、ああ。」

「うんうん、ワシの口の中に、いっぱい出しなさい。ワシの口の中で射くんだぞ。」

善吉お爺ちゃんが半分疑っていたが、新平の前にしゃがみ込んで尺八を再開してくれた。

新平にも初めての経験ではなかったかと思う。お爺ちゃんの喘ぐ声で、射精感が湧き出した。

新平の身体が痙攣したようにピクピクッと震えた瞬間、善吉お爺ちゃんもシゴキを早めてくれた。

「あ、ああ、射っくぅー。」

お爺ちゃんは、吃驚した様子だったが、一発目の精液がノドチンコにぶち当たった後、次々と射精して来るのを一滴も溢さないように受け止め飲み込んでいた。

「新平、相当溜まっていたんだな。そんなに仕事が忙しいのか。身体に悪いぞ。」

「ああ、気持ち良かった。お爺ちゃん、有難う。」

「どうしたんだ・・・。」

「うん、忙しいってこともあるけど、一人でせんずり掻くのも味気なくってね。お爺ちゃんにやってもらいたかったんだ。」

「嬉しいこと言ってくれる。この子は・・・。」

新平の言葉に涙ぐんでいる善吉お爺ちゃんを立たせて抱きつき唇を合わせにいく。

「お爺ちゃんも抜かなくっちゃ。溜めているんでしょう、駄目ですよ。」

「ああ、ワシは良いんだ。たまに心がけて抜いてるから。しかし一人でやってもなかなか射かないんだ。たまには帰省して抜いてくれよな。」

「あはははっ、お爺ちゃん、心がけてってのいいね。」

「バカ、恥ずかしいこと言わせるんじゃない。悪い子だな新平は。」

「あれ、良い子だったり、悪い子だったりですか。」

玄関の土間に下りて、お別れのキスをする。

善吉お爺ちゃんは、新平の車が公園先の曲がり角で見えなくなるまで玄関前で見送ってくれていた。

(すぐに逢えるのに、こうした別れでも、何となく胸が詰まる思いがする。今生の別れでも無いのに・・・)

助手席の足元には、善吉お爺ちゃん手作りの“小鯵の甘酢漬け”が入ったタッパーが、左右に行ったり来たりしている。

蓋が、緩んでいる筈は無いのだが、匂いが思い出されてか、口の中が酸っぱく感じ、唾液が溜まり“ごくん”と飲み込む。

(善吉お爺ちゃん、週末はどんなことが有っても帰省するから待っててね)

(12)

「はい、有難う御座います。臼杵惣菜です。」

立花老人は、電話の応対も半月余りで、そこそこ出来るようになっていた。

上野新平が突然訪れて来てくれたことに感謝し、また時間が無いと言いながらも抱き合ってくれたことも嬉しかった。

『お、タっちゃんか、俺だ。変ったこと無かったか。』

「あ、親方。お疲れ様です。店の方は、昨夜下ごしらえしていたのは全部売れてしまいましたので、臨時休業の張り紙出してシャッター降ろしました。」

『そうか、それはご苦労さん。それでな悪いが、今夜は先に晩御飯済ませていてくれ。ちょっと遅くなりそうだ。』

「はい、分りました。風呂の準備しておきます。」

『先に寝ていて良いんだぞ。』

「いいえ、親方が帰るまで待たせてもらいます。」

『そんな気は使わなくって良いから・・・、タっちゃんも疲れているんだから・・・。』

「はい、眠くなったら奥に寝ます。でも起こして下さいね。それから夕方、上野新平さんが寄ってくれました。」

『そうか良かったな、ゆっくり出来なかったんだろうな。ああ、それから、火の用心だけは注意してくれな。』

親戚の葬儀準備に行っている臼杵惣菜屋の親方からの電話だった。

立花は、店の前の通りを簡単に掃き、晩ご飯の仕度に掛かる。

親方が、帰宅してから食事をするかどうかは聞かなかったが、何時ものように二人分を準備した。

食卓に座ったが、ここに世話になってから初めて一人で夕食することになった。

一人での夕食は、何となく箸が進まない。

途中で流し台下の日本酒を取り出し、コップに注ぎ冷のまま一気に飲んで溜息をついた。

一月前の北の田舎で、一人で食べていた頃の淋しさと心細さを思い出してくる。

それは、糟屋のミスで暫らく別れ、ホテル暮らしをしていた頃を懐かしく思い出したのだ。

糟屋に置いてけぼりくらって、その夜は、配送センターの課長と夕食を一緒に摂る予定だったが、待ち合わせ場所の喫茶店が思い出せず一人で夕食をした。

翌日は、あまり遠くに足を延ばす事が不安で出来ず、午前中は、駅前付近を回って過ごした。

昼食にはまだ少し早い時間だったので、ぶらぶら歩いていて、昨日昼寝しようと入った映画館前に来ていた。

上映中の看板を見たが、今日は入る気持ちにならない。

映画館前に公園が有ったので、カップ酒を自動販売機で買ってベンチに座って飲むことにする。

「オヤジさん、こんなところに居たのか・・・。」

背後からの声に立花は、小躍りして振り返った。

誰も知人が居ない初めての田舎町で、「オヤジさん」と呼ばれたのだ、糟屋以外には居るわけが無い。

しかし、喜んで立ち上がった立花の背後に、待ちわびていた糟屋の姿は無かった。

(なんだ俺に声を掛けたのでは無かったんだ・・・)

雑踏の中でも、ホテルのロビーでも、誰かの声が聞こえると、どうしたことか糟屋の声に聞こえてしまう。

昨夜も、今朝ホテルを出てからも、駅前付近を歩いていて、何度と無く糟屋の声だと感じ、その都度ガッカリしていた。

その度に、糟屋の声で無く、単に通りすがりの会話だったりで、どうしてこんなに糟屋の声に聞こえるのかと悩んだりしていた。

公園で背後から掛けられた声も、人違いだったとがっくりしてベンチに座り込んだ。

大きく溜息をついて、膝の上で手にしていたカップ酒に目を落とし口元に持っていく。

「オヤジさん、今日は映画館には入らないのか。」

立花は、肩をポンと叩かれ、飲みかけていた酒をゴクッと飲み込んでしまった。

手の甲で口元を拭きながら、背後からベンチを跨いで横に突っ立った男の顔を見上げたが知らない顔だ。

「えっと、何処かでお遇いしましたかね、それともご近所の方でしたか。」

立花は、この男こそ自分の過去を知っている人かもしれないと期待し、精一杯の笑顔で見上げた。

「あっはっはっ、オヤジさん、ご近所だなんて驚かさないで下さいよ。」

「え、ご近所の方で無いとしたら・・・。」

「嫌だな昨日、後ろの映画館で会ったでしょう。あの時は逃げられてしまって残念でした。ボサボサ頭で嫌われたと思い、それで朝から散髪屋に行って出直したんですが・・・。」

ちょっと悲しそうな顔をしている男を見直して見る。

「ああ、思い出しました、あなたでしたか。さっぱりした頭でしたから見違えました。」

男は、確かに昨日、映画館で寝ていた立花の“ちんぽ”を触って扱いてくれていたのを思い出した。

それにしても、暗い映画館だったが、立花の顔を、それも後姿だけで分ったのだろうか。

「オヤジさん、俺、釜石って言うんだ。良かったら昼飯一緒に駄目かな? タイプじゃないかもしれないが、何か探しているんだろ。良かったら話してくれよ。この界隈だったら“おまわり”より詳しいよ。」

「ああ、そろそろ昼飯だと考えていたんだけど・・・。」

「な、いいだろ。良かったら名物のアナゴ丼でも奢ってやっから。」

「アナゴは、昨日食べたので今日は違うのを食べる心算でした。」

「そうか、だったら土地の名産の和牛を使っている“すき焼き丼”にしようか。な、いいだろう。」

どうしても、立花と食事をしたいらしい。それだけでは済まないとは思うが、一人で食事するより良いだろうと一緒に公園を出た。

「釜石さんでしたね。私は糟屋って言います。あんな暗い所で、私の顔を覚えていてくれたのですか。」

立花は、自分の名前が判らないと言いたくなかったので、脱水症状で行き倒れていた山道で、助けてくれた保冷車の運転手の名前を使ってしまった。

「ああ、糟屋さんですか。最初は今朝早く駅前で会いました。二度目は一丁目のタバコ屋の前を歩いているのを見掛けました。どこかを探しているようでしたね。」

「ああ、そうでしたか。探していると言ったらそうですが、実際は何をして良いのか分らず歩いていました。」

「ふーん、何をして良いかって、この町で仕事探しているんだ。」

「ま、そんな所で、実際は、一週間後に此処で逢える人を待っているんです。」

「良く分らないけど、兎に角、オヤジさん・・・いや、糟屋さんは俺のタイプなんだ。迷惑かも知れないけど昼飯だけ付き合ってくれよ。」

「どうせ一人で食べる心算だったから、迷惑じゃ無いですよ。それに釜石さんは良い体しているようだし。」

「あはははっ、飯を食うのに良い身体は関係無いだろうが、嬉しいな。」

ニコニコと人なつっこい顔で見てくる。良く見ると可愛い顔だ。悪い人間では無さそうに思える。

昼食を済ませて、誘われるまま、一人暮らしと言ってる釜石の自宅に行く。

そこは、広い庭に何本もの枝振りの良い手入れされた松の木が植えられ、吃驚するような大きな和風造りの住宅だった。

築百数十年とかで、県の重要文化財に指定されていて改装とかが出来ない建物だと説明してくれた。

持ち主は隣の新聞販売所の所長で、そこの三階四階に住んでいるらしい。

もともとは、この家に住んでいたが、文化財指定後は年老いた新聞販売所の両親だけが住んでいた。

その老夫婦も亡くなり、釜石が留守番を兼ねて住まわせてもらっていた。

何か事情があって、隣の県から来て、住み込みの仕事を探していた時、親切な新聞販売所の所長に使って貰えることになったと言っている。

釜石は、自宅に入ると立花の手を引いて奥の和室に連れて行く。

十二畳の部屋が二部屋続いた寒々しい和室だった。

床の間には大きな掛け軸が下げられ、鉄製の重厚な花瓶が飾ってあるだけで、ほかに置物とかは無く質素な床の間だ。

見学者用の為の案内書きが目立たないように玄関にもあったが、廊下や和室の入り口にも置いてあった。

恐る恐る部屋に入った立花の背後から、釜石が抱きついて背中に顔を付けてくる。

「オヤジさん、好きだ・・・、迷惑だろうか。」

振り返って釜石を正面から抱き合うと、潤んだ目で立花を見上げてくる。

黙って顔を近づけ、釜石の唇を舌で舐めてやると、一層強く立花の背中に回していた腕に力を込め抱きつき舌を吸い込み絡ませてくる。

「ここは、昼間は見学者が勝手に入って来るんじゃないですか。」

「いいえ、一般公開はしていません。年に数回解放されるだけです。」

そう言って、再び立花の手を引き、奥の納戸風の部屋に入る。

「ここの納戸兼用の二間だけ、私が使わせてもらっている部屋です。ここには誰も入って来ません。」

カビ臭く、また汗の臭いが残っている日当たりの悪い部屋だ。

その奥にある部屋には、釜石が使っている万年床のせんぺい布団が敷かれている。

入り口で立ちすくんで居る立花の背中を押して部屋の中に入れようとする。

「あ、ちょっと待ってよ。」

立花が躊躇していると、釜石は立花の前に回って抱きつき唇を求めてくる。

しばらく目を瞑った釜石の顔を見ていたが、立花も誘惑に負け、唇を重ねていく。

抱き合ったまま、布団に横になり、互いの舌を絡ませ甘い口付けを続ける。

そうしながらも手馴れた動きで、立花は上着とズボンを脱がされ神社の宮司に貰って着けていた“ふんどし”一枚にされてしまう。

「お、やっぱり“ふんどし”だったんだ。昨日はサルマタか“ふんどし”だったかどうか分らなかったんだ。」

嬉々として釜石は、立花の“ふんどし”の紐を解き、素っ裸にしてしまった。

「おいおい、私だけ裸では恥ずかしい。」

「そうだよな、俺も脱ぐから待っててくれ。」

釜石は、確かに焦っているようで、慌てて立ち上がり素早く着ている服を脱ぎ、股間の“ふんどし”も取り去った。

「お、デカいな・・・。」

立花は、目の前に剥き出しになった釜石の股間を見て驚いてしまう。

今まで、糟屋と神社の宮司の“ちんぽ”しか見たことがなかったが、それでも自分のより大きいと思っていた。

しかし、いま目にしている釜石の“ちんぽ”は、勃起もしていなく、だらんと垂れ下がったままだが、ひと周りもふた周りも大きいし長い。

黒ずんだ亀頭は艶があり、雁も張っていて、とても咥えられるものではなさそうだ。

宮司が囲炉裏に掛けた鉄瓶から急須に湯を注ぐ前に手にしていた茶筒を思い出す。

「うん、ちょっとデカイが勃起しても、太さはあまり変らないんだ。これがチョットだけ硬くなるくらいなんだ。」

驚いている立花を見て、遠慮しながら、それでも自慢げに“ちんぽ”をブラブラさせて立花の顔の前に突き出してくる。

「それにしても太くって長いんだな。」

釜石は、左手で自分の“ちんぽ”を掴んで扱き出した。

「な、硬くはなったが、大して変らないだろ。」

釜石は、膝立ちで歩み寄り、立花に掴ませようとしてくる。

そっと掴んで見ると、確かに太さは変らないままだが、僅かに硬くなり、それでも竿には赤黒い血管が浮き上がり脈うっている。

初めて見るデカマラに興味も有って亀頭を裏から見てみると、パックリ縦に開いた鈴口からは既に先走りが垂れている。

ただただ呆れて眺めていたが、少々怖くなり手を引っ込めて座ったまま後ろにさがる。

「あははっ、オヤジさん、怖がることは無いんだ。入れさせてくれなんて言わないから安心してくれ。」

釜石は、立花の両肩を掴んで布団に押し倒し、股間に顔を埋めてくる。

立花は“ちんぽ”をしゃぶられながら、男同士の、こうした行為が普通に行われていることに、少なからず疑問が湧くが、気持ち良いことでもあり、自分も進んで入り込んでいる。

釜石が、立花の“ちんぽ”をしゃぶったまま、顔の上に跨り“でかまら”を下げた股間を鼻先に持って来てブラブラさせてくる。

それを両手で挟み、先走りで濡れた亀頭を舌先でペロペロッと舐めてみる。

「うほほ、うほ、うほ・・・。」

釜石は“ちんぽ”を咥えたまま、くぐもった声で腰を振って喜んでいる。

立花も口を大きく開けて亀頭を咥えてみたが、舌を動かせられるような隙間が無い。

それでも釜石は、大袈裟にも思えるくらいに喘ぎ声で答えてくれる。

仕方なく顔をずらしハモニカ吹く要領で根元から雁先までを舌で往復させて舐めていく。

『♪♪♪♪♪♪・・・』

先程通って来た手前の部屋から時計のオルゴールが鳴っている。

「お、もうこんな時間か・・・。オヤジさん、済まんが仕事に行かないと・・・。晩飯も一緒に食べよう、いいだろ?」

オルゴールは時計の時報だったようだ。午後三時だったのだろう。

釜石は立花の身体から離れると、悲しそうな顔をしてバタバタと服を着ながら、出掛ける仕度を始めている。

「今から仕事ですか? 中途半端でしたね。」

「うん、夕刊の配達なんだ。七時過ぎに戻るから、オヤジさん居てくれるよな。」

「構いませんが、ココに一人で居て良いんですか。」

「ああ、テレビでも見ていてくれ。帰らないでくれよな、きっとだよ。それに冷蔵庫にビールを冷やしているから勝手に飲んでいてくれ。」

釜石は、それだけ言い残し、有無も言わせないで、出かけてしまった。

(ふぅー・・・)

立花は、不完全燃焼状態で一人残され溜息付いた。

行き先も思いつかないし、待ってやろうとも思ったが、何となく不安だ。

布団から起き上がり、投げ出した自分の足を見て裸のままだったのに気付いて苦笑する。

股間は、まだ半勃起したままの状態で、釜石が付けた唾でテカテカ濡れている。

取り敢えず、この濡れた“ちんぽ”を拭かないといけない、部屋を見回していたら隅にタオルが落ちている。

四つん這いでタオルの所まで行き、それを手にしたが、手触りが悪い。

よく見ると、釜石が“せんずり”掻いて後始末に使ったのだろうか、精液が乾いた後だろう、所々ガバガバしたものが付着している。

そっと鼻に近づけて臭いを嗅いで見たが、汗の臭いと、微かだが、乾いてしまった精液の臭いがする。

仕方なく、ガバガバした所を避けて、柔らかい所で“ちんぽ”に付いた唾を拭き取る。

釜石が帰宅するまで、缶ビールを飲んで時間を潰し、テレビを見ていたが面白く無い。

こんな所に見ず知らずの男を残したままで出掛けた釜石も釜石だが、それを大人しく待っている立花も可笑しいのではないだろうか。

自問自答しながら苦笑する。

信用されているのは確かだろうが、このまま家捜しし目ぼしい物でも持って出ても大丈夫のようだ。

「オヤジさん、待たせたな。退屈しただろう。早速晩飯食べに行こう。」

約束通り釜石は、午後七時過ぎに帰宅してくれた。

「オヤジさん、新聞採ってくれている所に古着屋さんがいるんだけど、安物だが分けて貰ったから、コレを着てみてくれ。」

釜石は、気を遣って、古着屋からブレザーとズボンを買って来てくれた。

「ああ、有難う。ちょっと草臥れていたから気にはなっていました。ホテルでも食堂でもジロジロ見てくるんでね。」

恐縮しながらも、渡された紙袋から洋服を取り出し、早速着てみた。

「いや気にしなくって良いんだが、洗濯するより手っ取り早いだろうからな。お、ピッタリだ、良く似合うぞ。若返ったんじゃないかな。あっはっはっ。」

「そんな、若返ったなんて言ってくれても何も出ないよ。うんうん、丁度良いサイズだ。」

「気に入ってくれたか、嬉しいなぁ。下着も安物だが数枚買って入れているから風呂上りにでも着替えたらいいだろう。さあさあ、腹が減ったろう、晩飯食いに行こう。」

思いもかけない釜石の心遣いに感謝して涙が出そうになる。

こんなにまで、親切に立花のことを思ってくれていたんだ。糟屋に親切にしてもらっていたが、釜石には、また違った優しさを感じた。

その後、肩を並べて繁華街に出掛ける。

傍目には長年の仲の良い友人同士に思えたことだろう。見方によっては親子にも思えたかもしれない。

(つづく)

ーーーーーーーーーー
お断り:小説の中に登場する人名、地名、企業名はすべてフィクションであり、故意的なものではありません。(源次郎)

*****************************************************************************

 

・[上野新平シリーズ(第77話):地方訛りのお爺ちゃん(5)」に戻る。

・「上野新平シリーズ(第79話):地方訛りのお爺ちゃん(7)」に進む。

・上野新平シリーズ(BY源次郎)に戻る

カテゴリー: 上野新平シリーズ, 作者:源次郎 パーマリンク

以下にコメント・投稿を記入下さい。お名前は必ず記入下さい(匿名可)。メール情報(非公開)は必須ではありません。既コメントに対しては、当該コメント下部の返信をクリックし、記入下さい。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中