上野新平シリーズ(第94話):愛するお爺ちゃん再び(2)By源次郎


(3)

上野新平(53)は、支社での会議のため出張していた玄界灘の小島から呼び戻され、数日自宅に帰省出来ることになった。

会議は、朝から夕方まで、びっしり拘束された状態で二日間続く。発言する機会も無かったが、それ以前に自分から発言しようとも思っていなかった。

単に、頭数合わせに呼び返されたようで迷惑な話だ。こんな事業報告や営業促進会議など新平には関係ないのだが、同期入社のモノが新平の上司になっているので気を遣っているようでもある。

二日間の会議が終わって、そのまま島に戻る予定だったが着替えの下着を補充しないといけなかったことを思い出し、翌日から土日曜日だったこともあり自宅に戻る。

「おう、新平。お帰り、今日は島に戻るんじゃなかったのか。」

「ああ、福島さん、ただ今、奥さん、久し振りですね。益々元気で美しくなられたようで・・・。」

「あらぁ、新平さんったら、しばらく会わないうちにお世辞が上手になったのね。おっほほほっ。」

善吉お爺ちゃんと庭の手入れをしていた奥さんに挨拶し、お爺ちゃんには目くばせして“ただいま”の信号を送る。

「奥さん、お世辞だ何てとんでもないです。そのさりげなく着られている洋服も若い人の間で流行っているものでしょう。」

「まあ、こんな昔の洋服が流行っているの・・・。二十年も前の洋服なのよ。作業着にでもって捨てきれなかったのよ、おっほほほ。」

上機嫌の奥さんは、顔を赤らめ、さりげなく着ていた洋服のちりをはたき、その手の甲で顔の汗を拭いている。

「奥さん、二十年前の洋服が着られるんですか。それだけでも素晴らしい。」

「まあ、そのままって訳にはいきませんよ。やはり少しは手を入れていますのよ。おっほほほ・・・。」

新平のお世辞に、福島善吉お爺ちゃんの奥さんは、それでも嬉しくってたまらない様子で顔の汗を拭いたあと髪を手ぐしで直している。

「おい、新平。婆さんを喜ばせても何も出ないぞ。あっはははっ。」

「お爺ちゃん、明日ショッピングセンターに行きますが、時間があったらご一緒にいかがですか。」

「うん、明日は、例のグランドゴルフの総合練習日でな、翌日の県大会の予選大会に備えて特訓なんだ。」

残念そうに、また寂しそうな目で新平を見つめながら言ってくる。

「そうでしたか、県大会に出れたら良いですね。其の時は応援にいきますからね。」

土日曜の二日間には、善吉お爺ちゃんに相手してもらえないようで、ちょっと期待していただけに寂しくなる。

夕食を済ませ、浴室の壁に付いたカビを剥がし取った後、風呂に浸かり天井を眺めているとウトウトしてくる。

“プルプルゥー、プルプルゥー、プルプルゥー・・・・・・・・・”

(おやおや、こんな時間に電話だなんて・・・、だれだろう・・・)

バスタオルを首に掛け、浴室を出て素っ裸のまま携帯電話を洋服のポケットから取り出す。

(わ、タイミング悪いなぁ・・・)

携帯電話を取り出した途端呼び出し音が切れてしまった。着信履歴をみると“公衆”となっている。

(今時、公衆電話利用する人も珍しい・・・、セールスの類では無さそうだし誰だったんだろう・・・)

食卓の後片付けがまだだったので、流し台に運び洗い出したところで携帯電話が再び鳴り出した。

「はいはい・・・。お待たせしました。どちらさまですか・・・。」

「ああ、良かった、良かった、上野先生。今藤です。詩吟の会の今藤です。」

「わ、今藤先生、久し振りじゃないですか。相変わらずお元気な声ですね。今頃どうされましたか。それも公衆電話からですか。」

「ああ、携帯の電池が切れてしまいましたので・・・。上野先生、今からお邪魔して良いでしょうか。今、駅前に居ますので宜しかったら出て来られたらココで待たせてもらいますが。」

今藤お爺ちゃんの声を聞きながら数ヶ月前の公会堂でのことを思い出していた。

朗々と吟じ終えた礼服を着た初老の紳士が、舞台中央で一礼して、舞台上手側に来る。

伴奏してくれていた、琴と尺八の奏者に感謝の会釈をして舞台袖からバックヤードの控え室に戻っていく。

あの時、このお爺ちゃんの目は、他の人が会釈した後に見つめる目とは違った感じを受けていた。

ニッコリ微笑んでいるようであるが、何かを訴えたいようなせつなさそうに瞳が潤んで光っていた。

吟じ終えた安堵感とは違った感じを受けた。

今思うと、この人が今藤お爺ちゃんだった。

上野新平は、十数年前から近所の公民館で、和琴流の尺八を、週に一回夜間部の教室で勉強していた。

5・6年前から、こうした吟詠の発表会やコンクール等の伴奏者として声が掛かる様になり、総師範の許可もあって時間が合う時だけやらせてもらっていた。

謝礼金は僅かだが、勉強の為と言う口実で、お父さんたちを眺めにきていたのだ。顔馴染みのお爺ちゃん達は増えたが、会釈したり、天候の話くらいまでしか進まない。

その日も、吹き馴れたお馴染みの詩吟の伴奏を30分やった後、控え室に戻っていたが、控え室を出て、お父さんたちが、たむろするロビー横のベランダに来ていた。

そこは、室内での喫煙場が追い出され、僅かなベンチが置いてある。

「上野先生、お疲れ様。朗吟会K支部の今藤です。」

「あ、今藤先生。有難う御座います。」

「今日は、私が先生のお世話担当していますから、何か御用が有りましたら、お知らせ下さい。」

「御世話になります。」

「なかなか、行き届きませんが。」

先程から、気になっていた今藤のお父さんだ。
50数人の生徒に詩吟を教えているらしい。

身長は150くらい、体重は70だろうか。

この今藤お爺ちゃんとの会話は、喫煙中のお父さん達の会話を聞きながら缶コーヒーを飲んでいたときだった。

禿げた頭の丸顔で、腹が出た今藤お爺ちゃんが声を掛けてくれたのだ。

「きょうもまた、一段と伴奏の出来が良かったようですね。」

「え、そうですか、有難う御座います。館内の湿度が良かったんでしょう。乾燥し過ぎた会館がたまにあるんですが、そんな時は最悪です。」

そうした会話の後、新平の控え室にやって来て、流れの中で尺八までされてしまった。

今にして思えば、この今藤お爺ちゃんの誘惑は唐突でもあり、大胆でもあった。

その後、以前住んでいたマンションにも来て貰って絡みあった仲である。電話の声を聞いているだけで新平の“ちんぽ”がムクムクと勃起してくる。

久し振りに今藤お爺ちゃんからの電話を貰い、すぐさま誘われた駅前商店街の中ほどにある喫茶店に向かう。

外出用の上着に着替えながら過去の今藤お爺ちゃんとの絡みを思い出してしまい、ズボンのファスナーに危うく半勃起した“ちんぽ”を挟むところだった。

右手でファスナーのフックを引き上げながら、左手でふんどしごと“ちんぽ”を抑えズボンの中に収める。

小走りで公園を斜めに突っ切り指定された喫茶店に急いだ。

「寛いでいらっしゃるところだったのでしょう、ごめんなさいね。」

今藤お爺ちゃんは、椅子から立ち上がり、じっとり汗ばんだ手で握手を求めてくる。

(ああ、確かにお爺ちゃんの手だ・・・、いつもじっとり濡れたような感じの暖かい掌だ・・・)

握手している手が“ぐぐっ、ぐぐっ”と数回硬く握ってくる。これは明らかに人目には分からないお爺ちゃんからの信号だった。

明後日の日曜日に開催される詩吟の発表会に約束していた尺八伴奏予定者が急病で入院したとの連絡が夕方になって電話があり、慌てて見舞いに行った帰りだという。

その代行を新平に“どうだろうか?”とのことだったが、今藤お爺ちゃんの顔は、“そう決めている”と言っている。

「あはははっ、其の顔はお断り出来ないようですね。」

「うん、上野さん、一生のお願いだ。」

「今藤先生、以前にも何度か“一生のお願い”をされましたよ。」

「え、そうだったですか。あっははははっ、だったら今度のことが本当のお願いです。良いでしょうか。」

「暫く伴奏の練習していないのですが・・・、出来ますかねぇ。」

「上野さんだったら大丈夫ですよ。こんなこと他に頼りにする人がおりません。ご在宅されていてホッとしました。」

「そんなことは無いでしょう。総師範の先生には相談されたのですか。代わりの伴奏者を推薦して下さいとか。」

「その総師範の先生も留守なんです。どちらかに旅行中らしいです。」

「それは困りましたね。リハーサルは明日されるのでしょうか。出来たら練習も兼ねて同席したいですが。」

「そのことなんですが、会場が空いていなくって、今日済ませたところです。」

「え、その時は伴奏者無しですか。」

「予算のこともあるのでしょう。会長が“ぶっつけ本番で大丈夫だろう”と言い出しましたので誰も異論は出しませんでした。」

「そうですか、尺八伴奏はあくまでも引き立て役ですからね。なんとなく軽く思われているみたいで・・・。」

「そんなことはありません。気を悪くされたら謝ります。上野さん、お願いしますよ。良いですね。」

半ば強制的に頼まれてしまった。明後日だったら善吉お爺ちゃんも留守だから何もすることもない。

それより、翌日の土曜日は、買物を済ませてからの予定も無かったので今藤お爺ちゃんを近くの温泉場に誘惑してしまった。

「上野先生、良い温泉場でしたね。」

温泉の岩場に腰を掛けた今藤お爺ちゃんが、足湯をしながらご機嫌な顔で言ってくる。

入浴後、個室の休憩室を借りていたので、先に上がり、弁当を買って今藤お爺ちゃんが待っていてくれているとばかり思い、ドアーにノックした後返事が無かったが部屋に入っていく。

「あれ・・・、先に部屋に入っていてくれているとばかり思っていました。何を買ってきたのですか。」

新平の後から部屋に入って来たお爺ちゃんを見ると、すまなさそうな悪戯っぽい目つきでビニール袋を下げている。

「ちょっとだけなら酔いもさめるでしょうから、一杯だけ付き合って下さい。」

「悪い人だなぁ、酒気帯びで捕まったら、先生も同罪ですよ。」

「ですから、酔いが醒めるまで上野先生を帰らせないのです。あっはははっ。」

食事前に、缶ビールで乾杯し、傍に寄って行きお爺ちゃんを抱き締め唇を近づけていく。

「あ、ああ、上野先生・・・。今日は有難う・・・、あ、ああ。」

慌てて、缶ビールを畳の上に置き、両腕を巻きつけ新平の身体に絡ませてくる。

「ご無沙汰でしたからね・・・。お爺ちゃん、先生って呼ぶのは面白くないです。以前のように新平で良いでしょう。」

「え、そんな横着な呼び方をしていましたか・・・、すみません。」

一旦、顔を離し、新平の顔をしみじみと見つめ、ニッコリ笑って再び唇を付け舌を絡ませてくる。

「お爺ちゃん、痛くないですか・・・。」

上向きになって、久し振りの新平との合体に期待と少々の不安をかかえたまま両足を高く上げ、目を潤ませながら挿入されていくのを我慢している今藤お爺ちゃんの顔を見た。

ニッコリ笑って、顔を横に振り新平を安心させる。

「お、おうっ・・・。」

「痛かったら教えてくださいね。」

「大丈夫です、あ、ああ、少々痛い位が刺激があって良いんです。あ、ああ、でも・・・、あ、ああ、ちょっと・・・、あ、ああ、そのまま突っ込んで・・・、あう、あふっ・・・。」

痛くない筈は無いだろうが、構わず腰を押し付けていき“ちんぽ”の根元までを入れていく。

一旦、雁が引っかかるところまで抜いていくと、お爺ちゃんは“逃さないぞ”とばかりに、上体を起こし、新平の腰を掴みに来る。

「大丈夫ですよ、折角痛いのを我慢してもらって入れたのですから・・・。」

それでも、お爺ちゃんは、掴んだ新平の腰を離そうとしない。

ゆっくり、そして早くと緩急を付け直腸内をくまなくこすりながら抽送していく。

「あ、ああ、最高だ・・・、あふ、あふっ・・・、あ、ああ、“ちんぽ”“ちんぽ”“ちんぽ”あ、ああ、良い、良い、あ、ああ・・・。」

「“ちんぽ”がどうかしましたか。」

「あ、ああ、どうもしません。あ、ああ、もっと、もっと、奥を・・・、あ、ああ、奥に、あ、ああ、奥を・・・突いて、突いて・・・。」

「ここですか・・・。」

「あ、ああ、そうです。あ、ああ、そこ、そこです。あ、ああ、もっと、もっと・・・。」

「ここが、良いんですか。」

「あう、あう、あ、ああ、良いです・・・、う、うぅーん、良いなぁ・・・。」

今藤お爺ちゃんが、現実から離れ遠い世界に飛び出す様子を観察する。

「あ、ああ、山本・・・、あ、ああ、上等兵・・・、あ、ああ、嬉しいです。あ、ああ、山本上等兵・・・。」

この今藤お爺ちゃんの言葉は、戦時中、南の国で上等兵との絡みの思い出に浸っていく時の瞬間で、昇天する合図でもある。

新平は顔から飛び散る汗を気にも留めず、今藤お爺ちゃんが昇天していくさまを見せてもらっていた。

お爺ちゃんの菊門が、痙攣しながら閉めつけてくる。新平もそれと同時に射精が始まり、倒れこんで、お爺ちゃんの唇に吸い付いていく。

新平の体重を胸に受け、現実に戻された今藤お爺ちゃんが、舌を絡ませながら後頭部を優しく撫で回してくれる。

温泉場を出た新平の車は、楽しそうに“異国の丘”を口ずさんでいる今藤お爺ちゃんを助手席に乗せ、生い茂る木立を縫うようにはしる山道を下り始めた。

(4)

地震被害で壊滅状態になった小島の復旧現場に戻る前に、以前から読みかけていた書籍の第三巻が発行されているのを聞いていたので、今藤お爺ちゃんを自宅前まで送り、大型ブックセンターが入っているビルの屋上駐車場に車を入れていた。

田川お爺ちゃん、今藤お爺ちゃんと、立て続けに久し振りに二人のお爺ちゃんに出会った。

それも、臼杵総菜屋のお爺ちゃんのオマケつきでもあった。

“二度あることは三度・・・”と聞くが、こんな広い都会で、そうした嬉しいことは有りえないことだろう。

新平が半身身体を捻るようにしながら後ろ向きになって駐車スペースのラインを気にしてバックさせている時、車の後部を横切った三人連れの人影を見て一旦停車し、気にもせずに通してやったが、エンジン切ってイグニッションキーを引き抜いている時“はっ”と思い出した。

(今のお爺ちゃんと若い女性は牛尾秀太郎“うしおひでたろう・66歳”と息子さんの嫁さん達ではなかっただろうか・・・)

後を追って急いだが、エレベーターで先に降りてしまったとみえ、ホールには誰も居なかった。

(残念だったな、何階まで降りていくのだエレベーター扉の上部のランプ表示が下がっていくのを眺めていたが、途中で止らず一気に地階まで降りていってしまった。

書籍売り場は五階だから、わざわざ地階まで降りて探すのも時間が遅いし、諦めるしか無い。

エレベーターが上がって来て乗り込み、五階のボタンを押し、腕組みをして牛尾お爺ちゃんとの出逢いを思い出していた。

ー§ー

あの日、風が爽やかな昼時、工事現場を抜け出しコンビニで弁当買って近くの公園に来ていた。

(怪しいなぁ・・・。)

弁当の蓋を取り、飯を食べ始めた頃、反対側の公園入り口にある公衆便所に入る老人の人影を見たが、出て来た様子が無い。

ずっと見張っていた訳でもないが、気になってきた。

(なにか・・・やってるとか・・・。)

しかし、入って行ったのは一人だけだったようだし、弁当の空き箱のフタを閉め輪ゴムで止めて立ち上がり、それとなく公衆便所に近付いて行く。

何故か足音を忍ばせて近付く自分に気付き苦笑する。

(自分は何を期待しているんだ・・・。)

そっと顔を入れトイレの中を覗き、屋内を見渡したが、おかしなことに、そこには人影がなかった。

(変だな、あの老人は消えてしまったのだろうか・・・んなぁー馬鹿な・・・。)

男性用小便器には誰も立っていない。大きい方に入ったんだろうか。しかし大便のブースの扉は全部開いたままだ。

チャックに指をかけながら小便器の方に進もうとして立ち止まった。

誰かが呻いている。壁でわからなかったが洗面所が入り口の左手奥にあった。

「どうしましたか?」

洗面台の前で初老の老人が足を投げ出して座り込んでいる。

見ると脂汗をながして、しかめっ面で泣き出しそうな顔で見上げてくる。

「あいててて・・・、そこのチョッとした段差に気が付かなくって、足を踏み外しました。」

近付いて立たせてやろうとしたら、老人のズボンが濡れていた。堪えきれずに失禁したようだ。

「大変でしたね。取り敢えず足をふきましょう。小便が漏れたのでしょう。」

上野新平は、首に巻いていたタオルを洗面所で洗い、恥ずかしそうにはにかんだ老人を抱えてトイレのブースに連れて入った。

これが、牛尾お爺ちゃんとの出逢いだった。その後恐縮するお爺ちゃんのズボンのベルトを緩めチャックを開けてズボンを引き下ろして両足を丁寧に拭いてやった。当然白いものが混じった茂みや“ちんぽや金玉”も特に丁寧に拭いてやった。

捻挫していた足首を添木した後、テーピングしてやり、家まで背負って送り届けてやったのだった。

老人のちんぽの形が心地よく背中にあたる。

(そうだ、濡れていたんだ・・・。)

お尻にあてた手がズボンのションベンで濡れてきた。背中のほうも湿気を感じて来た。

背中と老人の腹部が暖められてションベンの臭いがしてくる。

濡れた感じの指をソット嗅いでみる。紛れも無くションベンだ。

老人の“ちんぽ”は、雁デカだったのを見たが、勃起した時の竿はどうだろう。金玉は普通ってとこだったな。

“申し訳ない”と恐縮する老人の言葉を無視して、至福の時間を楽しみながら10分あまり楽しみ自宅まで送り届けたのだった。

ひと月後、例の公園にコンビニ弁当下げて行ってみた。相変わらず人影も少ない。

食事を済ませた後、ベンチで寝そべっている新平に足を忍ばせて近付いてくる気配がした。

そっと目を開け、その忍び寄る人影を見て、あの時のお爺ちゃんだと分かった。

「あのぉー、私に何か・・・。」飛びつきたい気持ちを抑えて初対面のフリをしてみる。

積極的でない自分が情けない。いつだってこうだ。それでチャンスらしい機会を失っている。そうした自分がわかっているだけに歯がゆい。

「やぁー、探しましたよ。あの節は有難う御座いました。名前もお聞きしていなかったのでどうしようも無くって・・・。歩けるようになって毎日ココに来ていました。よかった、よかった・・・。もうお遭い出来なかったらどうしょうと思っていました。」

一気に喋ってくる。最後のほうは涙声だった。

「あぁー、あの時の・・・。」

ベンチに並んで座り、世間話と、怪我の回復状況を聞いた。

「そろそろ現場に戻らないと。」

「また、お会いできますか。お礼もしたいし。」

「お礼なんて要りませんよ。お気遣い要りませんから。」

(まさか、ちんぽ舐めあいたい・・・なんて言えない。)

その時は、電話番号を教えただけで別れたが、数日して居酒屋に誘われ楽しく何軒だったか飲み歩いた。

そのまま別れるのが二人とも心残りで何となく物足りなさがあった。

“折角だから・・・”と自宅に誘ったのだが、相変わらずニコニコとした顔で快く寄ってくれ、その後も何度か自宅に来てもらったり、ドライブに誘って身体を合わせ絡んだお爺ちゃんだ。

ー§ー

そんなことを思い出しながら『技術書コーナー』の札が下がった本棚に向かう。

“電磁事象解説(3)”と金文字で書かれた黒の背表紙を見つけ、つま先立ちし右手を伸ばしている時、左手に足音を忍ばせ、誰かが近付いてくるのがわかった。

微かだが上品なコロンの匂いが漂ってくる。

(あ、この匂いは牛尾お爺ちゃんと同じだ・・・)

そう気付いたのと同時に、新平の股間がムズムズしてきた。

“あっ・・・”左腕を捕まれ耳元で囁かれる。

「新平。大きい声を出すな。いま嫁と一緒に来ている。」

(明らかに牛尾お爺ちゃんだが、お嫁さんと一緒だからって声を出して挨拶させないのはなぜだろう・・・)

不思議に思いながらも、それとなくお爺ちゃんの顔を見てみた。艶々した元気そうな顔色で、以前より若返ったのではないだろうか。

「元気そうですね。お変わりありませんでしたか。」

「うん、元気過ぎて時間をもてあましている。父の日のプレゼントだと言ってスーツの寸法取りに付き合わされて来たんだ。」

「それはまたお幸せなことで・・・。」

「ばか、今更めったに着る機会もないのに迷惑なことなんだ。あ、帰るようだな・・・、ちょっと待ってろ。」

ヒソヒソと何も悪いことでは無いのだが、何故かトーンダウンした会話だった。

新平は、目的の書籍では無かったが、近くの本を棚から取り出しパラパラ捲って眺め待つことにした。

「待たせたな。嫁はこの先のデパートに友達と行く用事があるらしいので別れてきた。」

牛尾お爺ちゃんは気分的に何かに解放された気分だったのだろうか、ニコニコしながら新平の横に駆け寄ってきた。

「お茶でも一緒しますか、時間はありますけど。」

「そうか、久し振りだったな・・・。」

お爺ちゃんは、新平の誘いが聞こえなかったのか、なんとなく何かを言いたいそぶりで口ごもった返事だった。

それとなく牛尾お爺ちゃんの股間に目をやると、心なしか膨らんでいるようだ。

(私と同じ事を考えているのだろうか、頼もしいというより、元気過ぎだな・・・)

付近を見渡し、近くに人が居ないのを確かめ、そっと牛尾お爺ちゃんの股間を撫でて見たが、腰をひくどころか押し付けるようにしてニコニコ笑い返してくる。

お爺ちゃんの腕を掴んで一緒に書籍の会計を済ませエレベーターホールを通り過ぎ、階段の方に先に歩いて行く。

「おい、新平。駐車場は屋上だろ。」

「車で来たのを知っていたのですか。」

「当然だろ、新平の顔は見えなかったが、ナンバープレート見て判っていた。」

「何だ、そうだったのですか。階段の踊り場からトイレに行けますから小便済ませたいので付き合って下さい。」

「うん、分かった。俺も行きたかったんだ。」

5個並んだ小便器の中央に新平が先に立ち、其の隣に牛尾お爺ちゃんが立ちファスナーを開け懐かしい“ちんぽ”を引っ張り出す。

同じような“ちんぽ”だが、それぞれ個性があって面白い。

新平の視線は、当然牛尾お爺ちゃんの“ちんぽ”だが、それに気づいたお爺ちゃんが、小便を済ませると竿の根元から扱いて勃起させ喜ばせてくれる。

お互い顔を合わせ目配せして個室に入ることにする。

「おい、こっちだ・・・。」

牛尾お爺ちゃんが入り口近くのトイレブースを指定する。

(どうしてだろ・・・、奥のブースが安全のように思えるのだが・・・)

お爺ちゃんが指定したトイレブースに入って納得させられた。そこは、いわゆる多目的ブースで、ベビーカーや車椅子使用者などが利用出来る広いスペースがあるブースだった。

新平が、入ってドアーをロックしていると牛尾お爺ちゃんが背後から抱きつき唇を寄せて来た。

新平も、お爺ちゃんをしっかり両腕で抱き締め唇を付け舌を捻じ込んでいき絡ませる。

「うんぐ、うんぐ・・・。」

トイレに人影が無かったこともあり、お爺ちゃんは喘ぎ声に似た呻き声をあげてくる。

お爺ちゃんの股間に手を伸ばし“ちんぽ”を摩りにいくと、そこは既に半勃起し窮屈そうにズボンを膨らませていた。

“ガチャ、ガチャ・・・”

(ん? 何の音だろう・・・)

新平が、そう思っていると、お爺ちゃんはベルトを緩めズボンを足元まで下げ、履いていた靴の踵を擦り合わせて脱いでいる。

「え、お爺ちゃん。脱ぐんですか・・・。」

ちょっと無謀にも思える動きに、新平は身体を離し、唖然として、お爺ちゃんの動作を見守っていた。

「新平も脱いでしまえ・・・。」

牛尾お爺ちゃんの大胆な要求に抵抗があったが、勢いで同じようにズボンを脱いでしまった。

脱いだ二人のズボンを脱衣カゴに丁寧にいれ、下半身裸になって、腕を回し抱き締めあい唇を付け吸いあう。

やがて、お爺ちゃんの顔が離れ、しゃがみ込んで新平の“ちんぽ”を舐め始めてきた。

手持ち無沙汰の新平は、お爺ちゃんの頭を両手で押さえつけるように掴み腰を前後させていく。

いつしか仁王立ちの格好で、掌を握り締め、腰の辺りに両腕をぶら下げたまま天井を仰ぐ。

(まずい・・・、誰かがトイレに入って来た・・・)

牛尾お爺ちゃんも気付いた筈だが、尺八のリズムとスピードを緩めようともせず、新平の腰を掴んで顔を前後させている。

“じゅか、じゅか・・・”

小便している人に気付かれはしないかとハラハラしながらも新平の気持ちは絶頂をむかえようとしていた。

お爺ちゃんの頭をポンポンと叩き、限界に来ていることを知らせせ、一休みしてくれるかと期待したが、一層唇を萎めスピードをあげてしまった。

お爺ちゃんの口から“ちんぽ”を引き抜こうにもガッシリ捕まえられているので自由が利かない。

「あ、ああ・・・、うわっ・・・、射く、射く、射っくぅー、あ、ああ・・・。」

新平が牛尾お爺ちゃんの口の中に思いっきり射精したのと、男が小便を済ませトイレからでていくのとが殆ど同時だったようだ。

余韻を味わいながら、お爺ちゃんの頭を撫でていたが、お爺ちゃんの口の中がいつまでもドロドロし、雁先を舌で転がしてくる。

(お爺ちゃんったら大胆なことをしながらも、精液は飲み込めなかったんだ・・・)

其の時、立ち上がった牛尾お爺ちゃんが、右掌に唾液交じりの新平の精液をズルズルと吐き出し始めた。

その唾液交じりの精液が、指の間からこぼれそうになっている。お爺ちゃんはそれを左手を添えこぼれない様に掬い上げ、自分の“ちんぽ”に塗りたくって扱き始めた。

牛尾お爺ちゃんの“ちんぽ”は、勢い良く勃起し、赤黒い静脈が竿の数箇所にゴツゴツと浮き上がっている。

あっけに取られて見つめている新平にオムツ換えに使うテーブルに両手を着いて“尻を突き出せ”と言ってくる。

(そうだった・・・、牛尾お爺ちゃんとの絡みではウケにまわっていたこともあったんだ。それにしても元気過ぎるお爺ちゃんだ・・・)

新平は、今更ながら、このお爺ちゃんの元気の良さに関心する。

真っ赤に充血したプリンプリンの亀頭部を揺らしながら近付いてくる。

「新平、入れるぞ・・・。ちょっと痛いかもしれないが我慢できるか・・・。」

“出来るかっ”と言い終わらないうちに牛尾お爺ちゃんの“ちんぽ”は新平の菊座に当てられ、周囲をなぞるように“ぐりぐり”突いてくる。

「うん、お爺ちゃん。その調子で入れて下さい。あ、ああ、でも・・・、う、うう、うぅーん・・・。」

新平にしては、久し振りのウケでもあり半端な痛みでは無かった。

「お、お爺ちゃん。ちょ、ちょっと・・・、あ、ああ・・・、入った。」

菊門を一気に押し広げ“び、びっ”と瞬間的な痛みが脊柱を駆け上がったが次の瞬間“むにゅっ”とした感触があり、雁先が入った。

「お、おお、新平。もう大丈夫だ。痛かったか・・・。」

「あ、あのねぇ・・・、あ、ああ、うん、うん、大丈夫だったよ、あ、あう、あう・・・。」

“ちんぽ”の挿入が済み直腸内を数回出し入れした後、安心したのだろうか大きく呼吸を吐き、やおら備え付けのペーパータオルを箱から“シュカッシュカッ”と取り出し、ベトベトに唾液と精液で汚れた右掌を拭いている。

その一連のお爺ちゃんの動作が洗面台の鏡に写っているのだが、子供っぽくって、堪らなく可愛く感じる。

手を拭き終えたお爺ちゃんは、新平の腰を両手でしっかり掴み安定させ、おもむろに“ちんぽ”の抽送を開始して来た。

(ちょっと長すぎる・・・)

トイレブース内での絡みも過去に何度か経験している新平だが、いつもは自分もそうだが、ウケているときだって目的を果たすまでの時間は短いのが普通だ。

だが今日の牛尾お爺ちゃんは落ち着きすぎている。

ゆっくり、早くとストロークに変化を持たせ、緩急をつけ、抽送を目一杯楽しんでいる。

「お、おう、おう・・・、新平、悪いが射きそうだ・・・、あ、ああ、あう、あう・・・。」

新平は牛尾お爺ちゃんの“悪いが・・・”と言った事に苦笑する。

(ちっとも悪くない・・・、むしろ長いこと射かなくって悪いな・・・ではないだろうか・・・)

「あえ、あえ、あ、ああ・・・。」

お爺ちゃんが、いよいよ射くようだ、声を押し殺してはいるものの、タイミング悪く、二・三人がトイレに入って来ていた。

“ヒソヒソ”と小便の音とは別に何事か喋っているようだ。

「イッヒヒヒ・・・。」

完全にバレてしまった。小便を済ませて洗面台で手を洗って出て行くとき我慢できずに小声で笑って出て行った。

「お爺ちゃん、知られてしまいましたね。」

「そのようだな、でも構わない。誰だってやっているんだから。あっはははっ。」

屈託の無い、おじいちゃんの笑い声に新平も“ちょっとだけ”安心した。

「でもね、誰だっててのは言い過ぎでしょう。」

一応反論して見たが、またしてもお爺ちゃんの言葉に説得力があった。

「二人で入っていたとは思わなかっただろう。一人“せんずり”掻いていたくらいに思ったんではないかな。」

ペーパータオルを水道水で湿らせ、新平の“ガバガバ”に乾いた“ちんぽ”を拭きあげた後、自分のまだ半勃起した“ちんぽ”を嬉しそうに拭いている。

それを待って、互いに抱き合い唇をつけていく。

「あ、ああ、新平。あ、ああ・・・。」

いつまでも離れようとしないお爺ちゃんの背中を摩りながら新平から静かに身体を離していく。

先にズボンを履き終えた新平が、トイレを出て屋上の駐車場で待ち、牛尾お爺ちゃんが利用する地下鉄駅まで送って別れる。

車を降りる前に、新平の手をしっかり握ってくる。

「お爺ちゃん、また会いましょうね。お元気で。」

「うん、また逢ってくれるか、有難う。新平も元気でな。」

慌しい夕暮れの雑踏の中に、吸い込まれるように消えて行くお爺ちゃんの後姿を見ていると、確かに若返ったようにみえる。

歳を重ねても“ときめき”があれば、こうして元気な姿で楽しく生きていけるのだと、牛尾おじいちゃんに教えてもらっているようだった。

(つづく)

ーーーーー
お断り:小説の中に登場する人名、地名、企業名はすべてフィクションであり、故意的なものではありません。(源次郎)
*****************************************************************************

・「上野新平シリーズ(第90話):S市のお爺ちゃん達(10:完)」に戻る。

・「上野新平シリーズ(第92話):玄界灘のお爺ちゃん(2)」:乞うご期待

・上野新平シリーズ(BY源次郎)に戻る

カテゴリー: 未分類, 上野新平シリーズ, 作者:源次郎 パーマリンク

以下にコメント・投稿を記入下さい。お名前は必ず記入下さい(匿名可)。メール情報(非公開)は必須ではありません。既コメントに対しては、当該コメント下部の返信をクリックし、記入下さい。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中