上野新平シリーズ(第98話):愛するお爺ちゃん再び(6)By源次郎


(11)

「新平。久し振りだな、相変わらず忙しいのだろ。結構な事だ。」

浴槽に浸かり、湯を両手で掬い、バシャバシャと顔に掛け、目をショパショパさせながら隣に住む福島善吉が聞いてくる。

「うん、でもね、原油高騰で何もかもが値上がりして来ているでしょう。だから建設業界も厳しいんですよ。」

洗い場で頭髪にシャンプーを泡立てながら上野新平(53)が俯いたまま答える。

「そうだな、思いっきり値上がりしているんだもんな。しかし年金は毎年下がっているんだ。政治の貧困だな。あいつら何しているんだか・・・。」

「お爺ちゃん、何時までも浸かっていちゃ駄目だよ。血圧が上がったら大変でしょう。政治の話は後にして、背中流しますから、ここに座って下さい。」

小さいポリ製の椅子を洗い場の中央に押し出し“ポンポン”と叩いて、湯から上がるよう勧める。

「ああ、気持ち良くってな、何時までも浸かっていたい・・・。」

「何、わからないこと言っているんですか。言うことを聞かないと久し振りに“お仕置き”しますよ。」

「わっはははっ、お仕置きか・・・。本当久し振りだ。どんな“お仕置き”やってもらえるのかな。」

「冗談は良いですから・・・、さあさあ早く上がって下さい。怒りますよ。」

「おお、怖いな・・・、どれ・・・、よいしょっと。」

やっと善吉を湯から上がらせ背中を流し始める。

新平は、数日前から、この善吉に聞きたいことがあったのだが、大人気ないからと聞くことは諦めていた。

それを聞いたら今までの親しい二人の関係が壊れるおそれもあるからだが、だからと言って知らないふりしたままで過ごせない気もしていた。

なんとなく疑ってはいたが、それに対して嫉妬しているのではないが、むしろ歓迎したいくらいでいた。

この福島善吉という老人は、隠し事したり嘘を言える性格ではない。どちらかというと、間抜けなくらい正直で、隠していてもそれが顔に出てしまう。

男気が強いと言えば格好はいいが、涙脆いし、一本気なところがあってほっておれない。

以前、家庭菜園をグループでやっているお爺ちゃん達に会ったが、その中の一番元気があった“鉄砲”と呼ばれていたお爺ちゃんの性格に似ている。

そういえば、あのお爺ちゃん達は元気でいるのだろうか。あれ以来、会う機会がなくて時々思い出すくらいだ。

そうした善吉の性格が、新平は好きなんだが、一生懸命に隠しているようでもあるので言い出しにくく、どうしたものかと苦慮している。

最初に疑わしい現場に出会ったのは、一月ほど前のことだ。

以前、記憶喪失の立花老人を、福島善吉と連名で暫く警察から預かり、臼杵惣菜屋の手伝いに住み込ませて使ってもらっていたが、配達の途中に交通事故に遭い、入院していた病院から忽然と消えてしまった数日後のことだった。

残業しての帰宅だったから午後十時過ぎていた時間だったろう。電車を降り横断歩道を渡らず、そのまま左に歩いていた時、臼杵惣菜屋の方から片屋根アーケード側に出てきた善吉を見掛け、声を掛けようとした時トラックが通り一瞬見えなくなったあと姿が見えなくなったのだ。

確かに目があったような気がしたが“どうして隠れたのだろう”と不思議に思いながら帰宅した。

立花老人の情報でも入って聞きに行ったのなら、隠れたりしないで、どうして話してくれないのだろう。

隣の福島善吉宅前を通ったが電灯が点いていなかった。“奥さんも外泊なんだろう”位に考え、善吉老人の態度に疑問を持ったまま、その日は、会社の近くで夕食を済ませていたのでシャワー浴びて寝てしまった。

それから何度か善吉老人とも逢ったが、あの日のことを聞きだすことはなかった。

聞いていれば良かったのかもしれなかったが、なぜかこうしたことは聞きずらかった。

新平の自宅で、今まで通り一緒に風呂に入ったり、善吉の奥さんがお孫さんのところに泊まられるときは、自宅に呼んで楽しく身体を会わせ朝まで一緒にいたことも何度もあった。

しかし、立花老人のことと、臼杵総菜屋のお爺ちゃんの話題をださなかった。

いつの間にか、善吉と新平の間では、“立花老人と臼杵お爺ちゃん”のことは暗黙のうちに禁句になってしまったようだ。

それから何日目だったか、飲み会の帰りだった。とっくに午後十一時過ぎていた時間だったろう。

臼杵総菜屋からの路地をアーケード通りに出てきた福島善吉とばったり出会った。

善吉は身体を硬直させたように突っ立って、顔を赤らめ、目をしば立たせて新平を見てきた。

「や、お爺ちゃん。夜遊びですか。不良老人だな。あっはははっ。」

新平としては、精一杯の冗談を言ったつもりだったが、福島善吉は黙り込んでしまった。

「一緒に帰りましょう。」

新平は、催促するように福島老人の肩に手をやり歩き出した。暫くして、落ち着いたのか、福島老人が話し掛けてきた。

「臼杵の爺さんのところで飲んでいたんだ。」

「ああ、それは良かったですね。臼杵さんは一人暮らしで寂しいでしょうから喜ばれていたでしょう。」

新平としては、皮肉を言ったつもりではなかったが、福島老人には違った意味でとられてしまったようだ。

そこから善吉老人の自宅前まで肩を並べたまま黙り込んで歩いた。その夜は奥さんが外泊だったのかどうかも聞かず“おやすみなさい”と言って別れてしまった。

あの時、強引に新平の自宅に誘い、玄関で抱き締めキスくらいしていたら、わだかまりも取れただろうが、それからは何となく気まずい日々だった。

それで、恐る恐る福島老人に“今夜早く帰宅出来るから・・・”と電話を入れたら、屈託の無い以前の元気で明るい善吉の声が返ってきた。

「おお、新平か。丁度良かった、今夜婆さんが孫のところに泊まるので帰って来ないんだ。晩飯作っててやるから一緒に食べよう。」

「わ、それは嬉しいですね。それでは現場に出て早めに直退します。」

上野新平は、思い切って善吉に電話を入れて良かったと胸を撫で下ろし、同時に股間が騒ぎ出したのを沈めに苦労した。

(これで善吉お爺ちゃんとのわだかまりも取れ、今まで通り愛し合えるんだ・・・。ちょっとした自分の卑しい嫉妬から始まったんだからな・・・)

「それで、奥さんは、今夜はお孫さんのところに泊まってこられるのですね。」

「うん、さっきも言ったろ。曾孫の遠足の付き添いで疲れたからってベソかいていた。湯から出たら準備済ませている晩飯を暖めなおすだけだ。」

「助かります、いつも有難う。早くから準備してくれたのでしょう、凄いご馳走が並んでいましたから。」

「なぁに、新平が早く帰宅できるって電話で言ってくれたのでチョット慌てたが。うん、手抜きなんかしていないからな・・・。あっはははっ。あ、ああ、そんなとこ・・・。あ、ああ、俺が洗えるから・・・。」

新平は、善吉と話ししながら背中を流し終え、前に回って股間に石鹸をたっぷり塗って“ちんぽ”とだらしなくダランとぶら下がっている金玉を両手で包み込み按むようにして洗い始める。

「お爺ちゃん、久し振りにしては元気な様子だけど、毎日せんずり掻いて鍛えていたんですか。」

又しても余計なことを言ってしまったかと反省していたが、福島老人は気にならなかったようだ。

「ばか、年寄りに恥を掻かせるんじゃない。」

顔を赤くして、半勃起した“ちんぽ”を新平に石鹸を付けた手で扱かれ、嬉しそうにしながらも腰を上げて逃げようとしてくる。

新平は、見慣れてはいるものの善吉の“ちんぽ”の色艶が何時に無く綺麗で、それにズッシリとした重量感さえ感じた。

そうした善吉老人の“ちんぽ”のチョットした変化を見逃さなかった。

「そうだ、お爺ちゃん。晩御飯なんだけど・・・。」

「う、うっうぅ・・・、何だ言ってみろ。何か食べたい物があったのか。」

股間に湯を掛けられ、石鹸の泡を洗い流された善吉の“ちんぽ”を咥えていた新平がチョット間を置いて顔を上げずに言ってくる。

「今夜は、もう一人お客さんが来る予定なんです。準備してくれたのを三人分に分けて良いですか。」

「え、客が・・・。」

「はい、お爺ちゃんに言う前にキッスされ、洋服を脱がされて風呂に誘われたので言いそびれていました。」

「うん、俺は構わないが、飯食ったら自宅に戻る。折角のお客さんだろ、気を遣わなくって良いからな。」

お客が来ると聞いて、福島善吉は、ちょっと寂しい顔をしたが、すぐに思い直し、自分は自宅に戻ると言い出した。

久し振りに新平と枕を並べて寝られると期待していただけに、今までどうして新平が言って来なかったのか、いささか腹も立った。

(そのもう一人の客というのは、新平のSFなんだろうな・・・、泊まって帰るんだろうか・・・)

「あれっ、お爺ちゃん。どうしたの、一気に元気が無くなってしまったよ。」

新平は、萎んでしまった善吉の“ちんぽ”から口を離し、立ち上がって唇を付けに行く。

「何か勘違いしているんだね。」

キッスしようとしている新平の唇から逃げようと顔を背けた善吉の顔を、両手で包み込んで、強引に唇を吸いに言った。

「う、うっうぅ・・・。勘違いって何のことだ。」

明らかに怒ったような善吉の声だが、新平は、それを無視して舌先を捻じ込んで絡ませていく。

「お客って、臼杵総菜屋のお爺ちゃんだよ。」

新平は、唇を開放し、両手で善吉の頬を挟んだまま顔を離し目を合わせに行く。

「なんだ、ウスが・・・、臼杵の爺さんが来るのか。」

“ポッ”と、顔が赤らめ安心した目つきで新平を見つめて来る。しかし、なんとなくヨソヨソした態度で身体を離し、浴槽にも入らず脱衣場に出て行こうとしている。

「そうだよ、地下鉄を降りてアーケードを歩きながら臼杵総菜屋の前の路地を覗いたら、路面に水を撒いている姿を見かけたので声を掛け、久し振りに定時で退社したから食事にどうですかって誘ったんです。」

「それで、臼杵の爺さんには、俺が居るのを言っているのか。」

「勿論ですよ。」

「爺さん、何と言ってた。」脱衣場から顔を覗かせ、新平の顔を伺うように見つめ返事を待っている。

「別に何も言っていなかったけど・・・、あ、そうだ“久し振りに福島さんの手料理が食べられる”って言って嬉しそうでしたよ。」

新平の返事を最後まで聞かずに脱衣場のドアーを閉め濡れた身体を拭いている。

「そうだったのか・・・、それじゃ早速三人分に分けよう。新平、ゆっくり温まってから上がって来い。」

新平は、嬉しそうな善吉老人の何時もの弾んだ声に安心して浴槽に浸かり“ブルブル”と湯を両手で掬って顔を洗う。

福島善吉は脱衣場からふんどし一枚で出て来て、早速料理を温め直し、三人分に小分けし始める。

新平が脱衣場で身体を拭いているとき玄関のチャイムが鳴り出した。

「あ、お爺ちゃん。臼杵のお爺ちゃんでしょう。済みませんがドアーを開けてやって下さい。」

「良いけど、違っていたら、俺恥ずかしい格好だぞ・・・、どうする。」

「間違い無いですよ。ここに今頃来客なんていませんから。開ける前に“どなたですか”くらいは言ったがいいでしょうけど。あっはははっ。」

二度目のチャイムに急かされるように善吉老人は反射的に玄関に小走りで、掛け出していた。

客は確かに臼杵老人だったようだ。

新平はタイミングを計って出るために、脱衣室のドアーノブを握ったまま玄関の会話に耳をそばだてていた。

“ボソボソ”と二人のお爺ちゃんが会話をしているようだが内容が聞き取れない。

そっと、脱衣場のドアーを細めに開け、居間の様子を伺う。

(ヘンだな、静かになったようだが・・・、臼杵のお爺ちゃんは打ち合わせ通りのことやってくれるのかな・・・)

心配になった新平は、バスタオルを腰に巻き付け台所から居間を覗いて驚いた。

臼杵老人と善吉お爺ちゃんが、居間に入ったところで、しっかり抱き合ってキスしている姿が見えた。

善吉お爺ちゃんの後ろ姿が見え、臼杵老人が顔を傾けて唇を合わせている。

新平が台所から見ているのに気付いた臼杵老人が、抱いていた右手を上げ、人差し指と親指で輪っかをつくり、“OK”のサインを送ってくれた。

帰宅途中、臼杵総菜屋に寄って夕食を誘った時に、善吉お爺ちゃんを“宜しく”とだけ頼んでいたのだが、さすが年の功だろうか、新平が心配していたことを分かってくれていたようだ。

臼杵老人も、玄関に出てきた善吉老人の明るい顔を見て、居間に通された時、背後から善吉老人の身体を掴んで振り向かせ抱き締めたが、そのままキスするつもりは無かった。

振り向いた善吉老人と、顔を合わせたとき、善吉老人が目を瞑っていたので、成り行きでキスしてしまった。

最初は、ちょっと抵抗する態度だったが、抱き締めた身体を更に強く引き寄せ“上野君は全て知っているんだから心配ないですよ”と囁き、唇を舐めてみたのだが、巻き込んでいる腕を更に強く力を込め、舌を入れて絡ませてきたのは善吉老人の方からだった。

新平は、抱き合っている二人の老人の横に行き、二人を一緒に抱き締め、ちょっと驚いて身体を離そうとしている善吉お爺ちゃんの唇に“チュッ”とキスをし、善吉お爺ちゃんの前で、臼杵老人にも同じように唇を合わせた。

福島善吉は、あれ以来、新平と顔を合わせる度に軽い罪悪感があった。

それは、臼杵老人との関係を持ったことによるものだが、新平にそれを話して楽になりたかった。

この歳で“淫乱爺”と思われたくない、どうしようもない焦燥感にさいなまれていた。

むしろ隠し通せるのなら幸いだとも思っていたが、新平と逢うと、どうしても罪悪感が強く、口数も少なくなり、以前のような新平との関係に戻れないのではないかと反省し後悔していた。

昼過ぎ、グランドゴルフの練習から帰宅しシャワーを浴び、冷えた麦茶を飲んでいるとき、新平から“早く帰宅出来るから”と嬉しい電話を受け、なんとなくわだかまりが取れそうな気がしていた。

(12)

福島善吉も、鈍感では無いつもりだ。上野新平と臼杵総菜屋の爺さん、それに交通事故で入院していて忽然と消えた立花老人との関係もウスウス感じてはいた。

しかし、それを容認していたわけでは無いが、“新平の優しさ”が、そうさせているのだろうとも思い、嫉妬しているようで口に出して聞くことも躊躇していたし、また諦めてもいた。

善吉は、一度だけだったが、臼杵老人が親戚の法事に出掛けて留守番していた総菜屋に行き、そこで“せんずり”掻いている立花を見てしまい、その延長でアナルまでの関係を持ってしまった。

最初は、軽く“せんずり”を手伝ってやるつもりだったが、お互い気分がのり、気付いた時は立花が善吉のアナルに射精し、自分も尺八され立花の口の中に思いっきり射精してしまっていた。

それは、新平とのマンネリ化した絡みとは違い新鮮で違った“ときめき”で激しい興奮と快感だった。

その立花老人が自損事故で運び込まれた病院から忽然と消えたことにより、責任感から開放されたような安堵感と寂しさで複雑な思いを持った善吉だった。

その日は、頼りになる新平は出張で居なかったので、臼杵老人と善吉は、駆けつけた病院から臼杵総菜屋に一緒に戻り、その内に立花から連絡があることを期待し、暫く様子を見ようということで別れた。

翌日、総菜屋の前の路地をアーケード通りから覗いて見たが、普段通りに営業している様子だったので声を掛けることも無く帰宅した。

三日後の午前中、立花から連絡でもなかったかと気になって総菜屋の前を、買物帰りに遠回りして通り、シャッターが降り“臨時休業”の張り紙が張ってあったが、風邪でも引いて寝ているのだろうと、その日も声を掛けることも無く通り過ぎた。

午後から庭木の手入れをしていたが、新平からも心配した風の電話も無く、善吉一人が気をもんでいるようで落ち着かなくなった。

その後、シャワーで汗を流し、臼杵総菜屋に向かった。

立花から連絡が有って、出掛けているのかもと思ったが、それにしては善吉に一言教えてくれるだろうに、何も言って来ない筈は無い、どうしたことだろう。

総菜屋の裏口に回りドアーノブを回して見た。“カチャッ”と音がしてドアーが開いた。

(何だ、やっぱり居たんだ。風邪引いて寝込んでいるのかも・・・)

居間に上がり声を掛けたが臼杵の返事はなかった。

(留守だろうか・・・、それにしては無用心なことだな・・・)

「爺さん、居ないのか。福島だ。」

二度目に声を掛けたとき、食卓がある先の部屋から微かな呻き声のような声が聞こえてきた。

「居るのか、どうしたんだ・・・。上がらせてもらうぞ。」

善吉は断ってサンダルを脱いで居間に上がり、更に声を掛けて見ようとして先程の呻き声が気になり始めた。

(立花が戻って来て、二人で絡んでいるのでは・・・)

善吉の心臓の鼓動が、早鐘のように打つ。軽い眩暈さえしてくる。唾を飲み込み、その音で気が付かれるのではないかとさえ思った。

このままココで血圧が上がって脳梗塞ででも倒れたらどうしよう。

覗いて見たい気持ちと、そっとしてやりたい気持ちが交差し、一旦は黙って帰ろうとさえ思ったが、反面もしそうだったら二人の恥ずかしい肢体を見て見たいとの助平心が騒ぎ出した。

片付けられていない汚れたままの食器が、無造作に散らばっている食卓に近付き奥の部屋を恐る恐る覗き驚いた。

そこには、掛け布団は足元に跳ね除け、布団にうつ伏せにうずくまっている臼杵の背中が見えた。

心なしか背中が震えている。でも一人しか居ないようだ。

立花が病院から消え、自宅に一緒に戻ってくれた善吉が帰宅した後、寂しさと、空しさ、それに裏切られたとの思いで、翌日だけは頑張ってみたが、二日目から寝込んでしまっていたと言う。

善吉の姿を見て、抱きついて泣きじゃくっていたが、安心したのか、善吉を抱き締めていた腕の力がなくなり、崩れるように布団に横になり眠ってしまった。

何日かたいした食事も摂っていないようだったので、善吉は、まず粥を作りながら食卓の食器類を洗い片付けた。

暫くして、目を覚ました臼杵が、布団の上で座ったまま“申し訳ない”と涙を流していた。

粥が出来上がったので、梅干と塩昆布の佃煮を添え、枕元に持って行き、匙で、一口ずつ口に入れてやり食べさせる。

布団の上で正座し、膝に両手を乗せて待っている臼杵の前に膝がくっつくようにし善吉も正座して座り、ドンブリに入れた粥を匙でかき回しながら冷ます。

「あのぉ、福島さん。食べるくらいは自分で出来ますから。」

恥ずかしそうに、ちょっとはにかんだ口元を尖らせ匙を取ろうとしてくる。

「いいから、俺がしたいのだから黙って言うことを聞きなさい。」

善吉は、我が子をたしなめるように、ちょっと怒った顔で臼杵の動きを止め粥を口元に運んでやった。

善吉は匙に乗せた粥の汁が滴るのをドンブリの淵において待ち、口を開け“あぁーん”と言って臼杵の口を開かせる。

二匙、三匙と食べさせていると、臼杵が匙が口元に近付くと舌を伸ばし匙の裏側を舐める、それを合図に匙を傾け粥を口の中に入れる。

そうしていて、臼杵が口を開けるのを見ると善吉の口も連動したように開けてくる。

食事を済ませ、善吉は臼杵を抱かかえシャワーを浴びせ、再び布団に寝せ、明日も来るからと約束して帰宅した。

翌日、翌々日と、善吉は朝から臼杵の家に出掛けて行き、三食作って食べさせ、風呂にも付き添って入れてやる。

四日目の午後、顔色も良くなり、何時ものニコニコした臼杵の顔を見て、善吉は一度に疲れが出た思いと、それに僅か数日だけだったが、今までと違った、より一層の親近感を持ち、可愛い弟を見るようだった。

「な、なな、臼杵の爺さんよ、あ、ああ、もっと優しく入れてくれ。あ、ああ、逃げはしないから、あ、ああ、痛いんだよ、あ、ああ・・・・・・。」

実際、臼杵は優しくアナルを攻めてきていたので“痛い”と言うほどではなかったが、せめてもの善吉の抵抗していることを知らせる幼稚な表現だった。

布団の横に座り込んで見詰め合っていた二人だったが、どちらからともなく顔を近づけ、とうとう唇をあわせ、善吉も布団に添い寝するように横になりディープキッスを始めてしまった。

(この臼杵爺は、あの立花老人と、男同士の関係にあったはずだ・・・)
善吉は、そうした思いで臼杵の目を見ていた。

(この福島の爺さんは、絶対上野新平と男の関係を持っていて、なにもかも知っているはずだ・・・)

また臼杵老人も、そうした疑いの目で福島老人と目を合わせていたので、二人が抱き合って唇をつけるのに、さして時間もかからなかったし、また互いに抵抗も無く抱き合って絡みまで始まってしまった。

服を脱ぎ捨て臼杵老人に覆い被さっていくと、臼杵老人も待っていましたと、慌ててパジャマを脱ぎ捨て、両手を広げ善吉の裸の身体を受け止め抱き締めてくれた。

唇をあわせ、どちらからとも無く舌を捻じ込み絡み合わせていたが、いつしかシックスナインでしゃぶりあいを始めてしまった。

(あの立花の相手をしていたのだろうから・・・、ウケていたのだと思うが、それにしては“硬いちんぽ”だな・・・)

福島善吉は、固くて太い臼杵のダラダラと、先走りが糸を引いて怪しく光る赤黒い雁先をしゃぶりながら、思ったより元気な“ちんぽ”に感心し、喉奥まで吸い込み、それでも全部は咥えきれなかった。

“スポッ”

善吉の口から臼杵老人の“ちんぽ”が逃げていってしまった。慌てて掴もうとしたが、素早く身体の方向を変え、善吉の股間に割って入り、白いものが混じる茂みに頬擦りし、半勃起の善吉の“ちんぽ”を咥えてきた。

そのヌメヌメした舌先が善吉の金玉の裏側に移り、鼻先で持ち上げ、蟻の門渡りに滑っていく。

「う、うっひょっ・・・、あ、ああ・・・。」

思わず喘ぎ声をあげ、もっと舐めてもらいたく、羞恥心も捨て、両足を天井に向け腰を自分の両手で持ち上げ、次を期待してしまう。

臼杵老人は、善吉が期待したとおり、舌先で菊門を捕らえ、周囲を舐め始めてきた。

時々思い出したように蕾の中央を舌を丸めて突っついて来る。

「お、おお、おう・・・、あっふん、あっふん、あ、ああ・・・。」善吉は、それだけで喘ぎもだえながら腰をくねらせ挿入を待っていた。

頭の下の固いソバ殻枕に気付き、それを無意識のうちに腰の下に押し込み尻穴を臼杵に暴した。

臼杵は終始無言で進めていった。

善吉が挙げている両足を片手で掴み、もう片方の手で臨戦状態に勃起した自慢の“ちんぽ”を扱きながら、膝たちで近づいていき、双丘の割れ目を雁先でなぞり、ヒクヒクしている菊座を捕らえた。

臼杵は、そのまま腰を押し付けていき“ずぶずぶ”っと雁を入れ“ふぅー”っと大きく息をついて善吉と目を合わせニッコリ微笑んできた。

二度、三度と臼杵との関係を続けていくうちに善吉は、新平に対するし“浮気している“との気持ちと“申し訳ない”と、いった後ろめたさも薄らいでいった。

時々、新平が出張先から戻って来て肌を合わせてくれたが、それはそれなりに“ときめき”があり楽しかった。

告白するチャンスはあったのだが、相も変わらず優しく愛してくれる新平を見ていると、善吉は臼杵との関係を告白する勇気も無く今日まできてしまった。

「あっはははっ、お爺ちゃん、ぼんやりして何を考えているのですか。」

新平が、コップに注いだビールを善吉の手に持たせながら顔を覗き込んでくる。

「善吉さん、何かかんがえごとでもあるのでしょうか。」

食卓で善吉の横に腰掛け、手にした泡がこぼれているコップを気にしながら新平と同じように臼杵が善吉の顔を覗き込んで来る。

「・・・・・・・・・、えっ、何か言ったか?」

冷たいコップを手に握らされた善吉が“はっ!”として隣の臼杵と、ニコニコ笑いながらも心配そうな優しい目で見ている新平と顔を合わせ現実に戻された。

「あ、うん・・・、いやぁ何でもないんだ。さぁ乾杯するんだろ。」

善吉は、ちょっと慌ててコップを高く挙げ、二人を交互に見つめながら乾杯の音頭は誰がやるのだろうかと待っていた。

「あっはははっ、やっぱり何か考えているんだね。乾杯の音頭をお爺ちゃんにお願いして待っているんですよ。」

新平は、ニコニコしながらも、善吉に音頭とるのを催促したが、善吉がぼんやりしていたことが分かるような気がしていた。

元気を取り戻した善吉の乾杯の音頭で三人の会食が賑やかに始まった。

そこそこ食事を済ませ、誰からともなく焼酎を飲みだし楽しい会話をし、時間が過ぎていった。

焼酎の四合ビン二本が空になる頃、臼杵も服を脱ぎ三人とも、褌だけの姿になっていた。

「新平さん、最近善さんの顔や身体はもとより、この“ちんぽ”の肌艶が良くなったと思いませんか。」

唐突ではあったが、新平としては良いチャンスで、臼杵が、褌から覗いている善吉の“ちんぽ”を掴んで、しみじみと言ってきた。

「こら、ウス。止めんか・・・。」

善吉は、そう言いながらも、酔いにまかせ、臼杵が“ちんぽ”を掴み易いように腰を突き出し大笑いしている。

「ええ、さっき風呂場で久し振りにおじいちゃんの“ちんぽ”を拝見したのですが、艶々として重量感さえずっしりしてきていましたよ。これも臼杵お父ちゃんのお陰でしょう。」

「な、何を言っているんだ、新平まで、そんな恥ずかしいことを・・・。」

まんざらでもなさそうだが、ちょっと後ろめたいのか新平の顔を見てこない。

その後、善吉と臼杵が談笑しながら食器を流し台に運び並んで、それらを洗い始めた。

褌一枚のお爺ちゃんが並んで流し台に立っている微笑ましい光景を見ながら、新平は食べ残した物をラップを掛け冷蔵庫に仕舞う。

「ねぇ、お爺ちゃん。臼杵お父ちゃんも一緒に聞いてください。」

新平が酔って冗談言っていた態度から、打って変わって真面目な顔をし椅子に座りなおして言って来た。

善吉と臼杵は、何か怒られるのではないかとの不安な目で互いが顔をあわせ、食卓に戻って来て椅子に座り、俯き加減に頷いて新平を正面から見てきた。

新平は、そうした二人の態度が嬉しかったが、反面真面目な顔で見つめられると逆に困ってしまったが、言うだけのことは言っておかないと互いの蟠(わだかま)りがすっきりしないと思い息を大きく吸い込んで話を続けた。

「今から私が言うことは、何も改めて言わなくても良いことかもしれません。でも私は、うやむやにしておきたくないんです。」

新平は、まだ片付けていなかったコップに残っている冷えたお湯割の焼酎を啜り話を続ける。

「私達三人は、縁があって男同士の関係を持って来ました。いや、これからもこうした暖かい関係を持ち続けたいと願っています。ですから・・・。」

そこまで言って、新平が口篭ってしまい後が喋られなくなってしまっている。

「うんうん、新平。良く言ってくれた。有難う。うまく言えないがな、俺達は大人だ。自分がやっていることの責任は持てる。だから後は喋らなくても分かっている。」

善吉が、立ち上がり、そう言いながら新平に近付き抱き締めてきた。それを見ていた臼杵も立ち上がり二人が抱き合っている身体を一緒に抱き締めてくる。

「新平さん、話のきっかけを作ってくれて有難う。なかなかお互い分かり合っていながらも暗黙の了解だけできていましたが、これで私も善さんとも、新平さんとも同じように愛し合えるような気持ちになりましたよ。」

「ふんどし一枚の男三人が、立ったまま何時までも抱き合っていても面白くないだろ。DVDでも見せてくれ。」

善吉は、さっさと寝室に入っていった。その姿を見て、追っかけるように臼杵が、小走りで付いていき、途中で新平の顔をみて早く来るようにと手招きして寝室に入っていった。

「ふぅー、・・・・・・・・・。」

新平は、大きく溜息をつき、今夜の計画が全て美味くいったことで安堵し胸を撫で下ろした。

かって知ったる新平の寝室に入って来た善吉は、DVDラックから適当なものを選びデッキに入れ再生を開始した。

大型液晶ディスプレイには、熟年の男達三人の絡みが始まっていた。それは、これからココで始められることの予感でもあった。

(つづく)
ーーーーー
お断り:小説の中に登場する人名、地名、企業名はすべてフィクションであり、故意的なものではありません。(源次郎)
*****************************************************************************

・上野新平シリーズ(BY源次郎)に戻る

カテゴリー: 未分類, 上野新平シリーズ, 作者:源次郎 パーマリンク

以下にコメント・投稿を記入下さい。お名前は必ず記入下さい(匿名可)。メール情報(非公開)は必須ではありません。既コメントに対しては、当該コメント下部の返信をクリックし、記入下さい。

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中